伝わる文章を書くためには、日本語の乱れを嘆くよりも変化を許容する

伝わる文章を書くためには、日本語の乱れを嘆くよりも変化を許容する

若者言葉の4分類と日本語の変化について書いた記事があります。日本語が変化した理由は、若者が使い方を変えたことだけではないけど、考察としては面白いという意見をいただきました。気を良くしたわけではありませんが、本稿でも日本語の変化について書いてみます。

日本語の変化を許容してこそ、伝わる文章になる

日本語の変化例として取り上げたいのは、短縮語と名詞の変化です。日常生活においては、変化したことを気にしないで利用しているケースが多いもの。意識しないほどに馴染んでいることからも、言葉は変化するものという前提から考えると、決して間違った使い方ではありません。むしろ誰もが使っている言葉に合わせていくほうが、理解してもらうことを目的にするならば正解と考えられます。

どうして略語・短縮語は3文字か4文字が多いのか

日本語の変化、というか乱れ? いやそもそも、日本語じゃなくて英語の場合もあるんですが、略語ってありますよね。ある単語を省略して呼びやすくするあれです。この「ブログ」だって略語になります。ブログの場合は使われる中で略語になったというよりも、最初から略語で出回った感じはありますけど。ちなみにブログは「WebLogする」を縮めて「ウェブログ」→「ブログ」になったというのが通説です。

短縮語も日本語の変化の一種と捉えたら間違いでしょうか。有名なところだと、コンビニの『セブンイレブン』が『セブン』、『ファミリーマート』が『ファミマ』、『ローソン』が……そのまんまですね。あとは『マクドナルド』が『マック』、関西の場合は『マクド』。知人に『コンテンツマーケティング』を『コンマケ』と省略する人もいました。なんだか『根負け』しそうで、長続きしなさそうな略し方だと感じたのを思い出します。

ところで身の回りにある(見聞きする)略語は、基本的に3文字か4文字ですよね。どうしてなんでしょうか。まぁ単純に覚えやすいからなんだと思いますが。たしか電話番号が4桁区切りなのも、人間の記憶に留め易いのが4桁までだったからと聞いたことがあります。

そうするといよいよ、最初っから4文字以内の社名なりサービス名なり、ネーミング段階で頭をひねるほうが得策のように思えてきました。わたしもサービス名称などを考えるときには、やはり3文字〜4文字のネーミングを考えることが多いです。ただクライアントや上司やあれこれの要望を満たそうとすると、どうしても長ったらしいネーミングになってしまうことも。

そこで意識するのが、新しいサービスや社名が広まったときに、どんな略され方をするのかです。当ブログは『ライターズウェイ』という名前ですが、略されるとしたら『ライウェイ』? まぁライターズウェイくらいであれば、そのままで呼ぶことになるんですかね。

短縮語については、定着や馴染みを目的とした呼称の変化、つまり愛称と捉えるのが正しいでしょう。

一般名詞は動詞に変化することが多い

続いての日本語の変化例として挙げるのは、もともとは名詞として使われていたものが、動詞化と呼べる変化を遂げたパターンです。少し例を挙げてみましょう。

  1. 相手投手がスライダーを投じたので、渾身の力を込めて打ちにいったが空振ることになった。
  2. 会議中に意味を理解できない言葉が出てきたので、おもむろにパソコンを立ち上げてググった。
  3. 半年前に鳴り物入りで入社した制作部の人を、上司がマネジメントできず飼い殺すことになった。

例文の最後の部分、『空振る』『ググった』『飼い殺し』はそれぞれ、辞書を引いても出てこない可能性が高い言葉です。可能性が高いと書いたのは、決して責任放棄ではなく、日本語の変化に対応している辞書があるかもしれないから。

基本的には辞書には、そのままの形で掲載されていない言葉になります。なぜならそれぞれ、名詞からつくられた動詞だから。過去には名詞として使われていた言葉でしたが、多くの人が動詞として使うようになって、誰もが自然に受け入れた結果としていまがあるんだと思われます。

本来ならばそれぞれ、『空振る』→『空振り』、『ググった(ググる)』→『グーグル』、『飼い殺す』→『飼い殺し』が(旧来の国語的な意味で)正しい言葉で、辞書にも載っている使われ方です。

このような、名詞が動詞化した言葉は他にもたくさんあります。例えば、ワイドショーを賑わすネタを提供し続けている文春砲が、「大物俳優Aの不倫現場を見事に隠し撮ることに成功した」場合に用いられる『隠し撮る』→『隠し撮り』ですし、「月末に支払われる原稿料が未入金なので、発注主に電話をしたら『他部署に聞け』『担当が違う』とたらい回すものだから腹が立った」場合に用いられる『たらい回す』→『たらい回し』であって、「バンドマンの彼が『誕生日プレゼントだ』と言ってオリジナルソングを弾き語るものだから、バカバカしくなって別れた」場合に用いられる『弾き語る』→『弾き語り』なわけです。

文章は伝えるためのものだから、日本語の変化に敏感であれ

名詞の動詞化については、ちょっと国語の授業すぎて面白くなかったですよね。ここでお伝えしたかったのは、日本語は変化をし続けていて、必ずしも辞書に載っている意味が正解とは言い切れないということでした。記事中にも書きましたが、文章を書く目的は『読み手に伝えて、理解してもらって、行動に移してもらうこと』なわけです。

国語的に正しくない言葉であったとしても、そちらが一般的に流通していたり、読者層では正しい言葉とされていることが往往にしてあります。堅苦しいことは言わずに、読み手に寄り添った言葉を使うほうが、本質的な目的にたどり着けると思います。現場からは以上です。