フリーランスや個人事業主って、英語表記のときはこれで決まり

フリーランスや個人事業主って、英語表記のときはこれで決まり

英語がまったくできないくせに、名刺やホームページの裏側や下の方に、Taro Yamadaとか書きたくなりますよね。じゃあ、職種名とか肩書きは? ホームページのフッター部分に英語表記を入れるとしたら? フリーランスや個人事業主が英語表記をするなら、これで決まりです。

個人事業主を英語で表すシーンに沿って使い分ける

「個人事業主」や「自営業」などの言葉そのものを英語で表記する場合と、名刺などやメールで会社名・役職を書く場合の違いを考えてみてください。日本でも名刺やメールで「個人事業主」などと書くことは殆どありません。

個人事業主という言葉を使うシーンは、申請書などに職種や業種を書くときや、「仕事は何?会社員?」と聞かれた時に「自営業です」「個人事業主です」などで使うと思います。では、名刺など自分を表す時にはどうでしょう?

会社名・肩書(役職など)が必要になります。こういった、それぞれに合わせた英語表記を覚えておくとビジネスや日常生活で役立ちます。では早速「個人事業主」「会社名や屋号の表記」「役職(肩書)」それぞれの英語表記について見ていきましょう。

個人事業主という言葉そのものを英語表記するシーンでは

「個人事業主」という言葉を英語で表すと、「Solo proprietorship」 や 「Solo proprietor」となります。これをそのまま使えば「個人事業主です」という意味で通じます。

「自営業」を英語で表すと「Self employed」。これが一番使いやすく便利でしょう。書類の申請など公的な場で職業を表すときにも使いやすいです。

日本でも日常の中では様々な言い回しを使うため、会話の中では英語の場合も様々な言い回しで使うことは勿論可能です。

例えばフリーランス=freelance 、フリーのアーティスト=freelance artist 、在宅(または自宅がオフィス)=SOHO などです。

時代によって職種も増えているので、公の場で通用する言葉と、ややフランクでも通用する言葉と使い分けられるとカッコイイかもしれません。では、メールや名刺など、会社名・役職などを書き表したいときはどうでしょうか?

会社名または屋号を英語表記する場合のおススメ

フリーランスとして、個人事業主として一人で仕事をしている場合で屋号(会社名)があれば、それをそのまま表記してしまって構いません。

例えば「TANAKA」という屋号を出しているなら、英語でそのまま「TANAKA」で良いのです。個人事業主でもスタッフを雇っていたり、ビジネスパートナーがいる場合は「仲間」を意味するCompany をつけて「TANAKA&Company」「TANAKA&Co」と英語表記するのが一番しっくりきます。

逆に、付けてはいけない英語表記は「Inc.」「Co.,Ltd」「Corporation」。これらは法人(株式会社や有限会社)を意味するので、個人事業主の場合は表記に注意しましょう。

ちなみに「inc」と「Corporation」はアメリカが主流で、「inc」は「incorporated」と、きちんと発音しないと「インク」だけではインク会社と間違われるのでご注意を。

そしてイギリス英語で主流の「Ltd」の綴りでよく見かける「Co.,Ltd」のカンマ(,)、これはイギリス人によると、「……」と映るそうで、正式には「Co.Ltd」で良いそうです。イギリス領だったころの香港で使われ始めたので「香港系?」と思われるようです。

役職を英語表記する場合のおススメ

屋号がないフリーランスや個人事業主の方は、個人名を名刺に表記することになります。自営業でスタッフがいる場合も、独りぼっちで仕事をしている場合も、役職は?と問われれば、あなたは社長、もしくは代表者。是非とも代表者の意味を名刺に書きたいと思うことでしょう。

「社長」といえば英語で「President」ですが、「代表」といえば「Owner」。一見、「社長」というと「個人事業主で他にスタッフもいないのに社長って」と恥ずかしく思い「代表」と使いたくなるのが日本人。

「社長」にも雇われ社長という意味もありますから「代表」の方がいいかなあと思うのも当然ですが、実はこの「代表=Owner」という言葉はまさに英語で「私は事業主である。私の下に社長はいるが、オーナーは私だ」との意味あいも伝えてしまう言葉。

「社長で通じるのに、何でわざわざオーナーだなんて言うんだろう。ちょっと嫌みな人だよね」と思われることが多いそうです。

ここは1つ個人事業主でも恥ずかしがらずに「President」と表記するか、職種(デザイナー・ライター・ジャーナリストなど)で済ませてしまう方がスマートでしょう。

役職はちょっと抵抗がある、という方には「TANAKA’s office」「TANAKA’s design office」などで屋号と役職を兼ねたような英語表記を付けるのも良いでしょう。

個人事業の英語表記の必要性って?どんな時に使うの?

冒頭でも述べたようにインターネットの国際的な普及に伴い、個人事業主がネット上にサイトやECコマースを開設することで、国際的なマーケット展開をすることも可能となりました。

そこで、HTMLやCSSなどのコーディングに詳しくない人でもアマゾンやYahoo!ショッピングなどの国際的なECコマースサイト上で商売をしようと考える人も少なからずいると思います。

この時に社名や屋号は英語表記が必要となるケースが多いのです。レンタルサーバーも商用利用の際、登録する屋号には日本語と英語表記の両方が必要となるケースがほとんどですね。

このように個人事業でもネット上で営利活動を行なう場合には英語表記が必須となるケースが多いので覚えておいて損はないでしょう。

一般的な屋号の例として | 末尾に“office”や“store”を使う

個人事業の場合、屋号には「◯◯事務所」や「◯◯商店」、あるいは「◯◯屋」というのが多いと思います。これはそのまま英訳して、“事務所=office”、“商店・屋=store”と英語表記するのが一般的です。

特殊な例としては「研究所」や「◯◯会」という屋号があるかと思いますが、こちらも直接英訳して“研究所=laboratory”あるいは略して“lab”、“会=company”あるいは略して“com”で良いでしょう。。

“com”は法人格(株式会社や有限会社)でも頻繁に見かけますが、companyは元来「集団」という意味ですので、英語表記では「会」の意味で使ってもなんら問題はありません。

個人事業の場合、肩書きはどう英語表記するの?

会社HPや名刺などでは代表やスタッフを紹介するコンテンツで肩書きを英語表記するケースというのも想定されます。個人事業ではトップは「代表」や「店主・店長」という表現になりますね。「代表」は“a representative”や“a delegate”、「店主・店長」は“shopkeeper”や“store manager”が一般的な英語表記となります。

デザイナー事務所などの代表者に多いのは「チーフデザイナー」や「シニアデザイナー」という肩書きです。その個人事業所を代表するという意味ですので、先に紹介した“a representative”を使って“a representative designer”とするのが形式的な表記になりますが、単に“chief designer”や“senior designer”とするだけでも意味は十分通じます。

ただし、“a representative”を付けない場合には、組織全体の代表という意味合いは薄れてしまうので注意しましょう。(“chief”や“senior”は一部署のトップという意味になります)

個人事業主と法人格、どちらが有利?

個人事業主と法人格(株式会社など)を比較するとよく言われるのが、「税制面は法人格を取得した方が圧倒的に有利」ということです。

社名や屋号、肩書き等を英語表記する際にも“company”は汎用性が高い英語表記ですが、そこに“limited”(あるいは略して“.ltd”)とすれば法人格が明確となりますので、信用度はアップします。

しかし、法人格を持つということは登記をしたり、税申告の際の複雑な手続きなどが必要となるので、一人で事業展開をしている個人事業なら特に法人格を取得する必要性があるかどうかは疑問です。帳簿付けや法人登記に時間を割かれるぐらいなら、事業に集中したいというのが本音です。

個人的にはある程度、事業拡大してスタッフやアルバイトの雇用ができるようになってから法人格を取得するという考えで十分だと思います。ただし、個人事業でも所轄の税務署と都道府県税事務所に事業所登録はしておく必要性がありますのでそこは忘れないようにしてください。

個人事業主の名刺にまつわるエピソード

実際にあった珍しい英語の名刺の肩書きで「百姓(farme)」という名刺があります。なるほど、個人事業主の農家やお百姓の場合、職業そのものとして決しておかしくないのに、いざ名刺として頂くと「おっ?」とインパクトがあります。

せっかくのフリーランス、個人事業主なので、英語表記で記した肩書きが、そのまま新しい職業の名前となることも大いにあるのではないでしょうか(記憶に残る「ハイパーメディアクリエイター」のように)。

インパクト重視でいくのか、仕事をより多くもらえるために的を得た職種を書いておくのか……。名刺に限っては制限はないので、何を書こうが個人の自由です。

ただし「それだと意味が違っちゃってるよ。間違ってる」と指摘されるようなことの無いよう英語での表記には、お気を付けください。