読める文章のためには、「一文一義」が大切という記事を書きました。本稿ではその理由と、一文を短くするテクニックについてご紹介します。ダラダラと長くなった文章を、すっきり短くすることで、読める文章になる方法とは?
一文の量は、情報量と理解度のトレードオフなのか
どうして人は、長い文を書いてしまうのでしょうか。一文一義を守るだけで、(守れない人と比べて)何倍も何十倍も読める文になるというのに。
理由を推測すると、ひとつは単に文章が下手くそなケース。何も考えないで思いついたことをつらつらと書きなぐる習慣が身についていると、ついつい他人には理解しにくい文章になるでしょう。
もうひとつが、伝えたいことが多すぎるケース。小田和正さんもその一人で、「伝えたことがあるんだ」と歌っています。その理由がまた自分勝手で、「君のことが好きだから」だそう。ぼくは君のことが好きだからとにかく伝えたい。
こうなるとどうにも一方通行で、相手に想いが届く可能性は低そうです。もっとも色恋沙汰なので、気持ちと勢いで押し切るという手法が通用することもしばしば。とにかく伝えたい、という気持ちもバカにはできません。
ビジネスにおいても、熱意が求められることはありますが、基本は相手に受け入れてもらえるかどうか。文章にしても同じです。独りよがりの文章は、読みたくならない文字の羅列にしかなりませんからね。
一文と文章の使い分け
この記事を書き上げるために、ひとつ前提条件を整理させていただきます。それは、文章と一文の違いについて。
一般的に文章とは、
1 文を連ねて、まとまった思想・感情を表現したもの。主に詩に対して、散文をいう。
2 文法で、文よりも大きな単位。一文だけのこともあるが、通常はいくつかの文が集まって、まとまった思想・話題を表現するもの。
3 威儀・容儀・文辞などとして、内にある徳の外面に現れたもの。
引用:コトバンク
このような意味で使われています。引用文の中にもあるように、一文だけで構成されることもありますが、基本的には「いくつかの文が集まって」いるものを文章と表記するようです。
本稿においても文章とは、いくつかの文がまとまった物=この記事全体を文章、ひとつの句点で区切られた範囲=一文として扱いたいと思います。
一文が長いことでのメリットとデメリット
メリットというと本意ではないのですが、一文が長いことも時として有利に働くことがあるかもしれません。一文が長いということは、ひとつの文章にたくさんの情報が詰まっている可能性があります。
という一文には、りんごが甘いという情報しか入っていません。対して
であれば、りんごの甘い理由や生産地と生産者、鮮度や栽培方法などの情報が詰まっています。このくらいの情報量であれば、読んだままに処理できるかもしれません。りんごの話ですしね。
デメリットについては御察しの通りですが、少々解説をしてみます。
少し込み入った、専門的な文章の場合を想定してみましょう。一読しただけでは理解できずに、何度か読み返す必要が出てきそうな予感がします。また長い文章になると、文の構造を把握しにくく、結果として理解しにくくなることが挙げられます。
一文が長いことで、情報量が増えるという(一見)メリットがある一方で、理解しにくいというデメリットが出てくるのです。
一文を短くするための技|情報量を減らす
一文の長さによるメリットとデメリットについて書いてみました。わたしの主張としては、基本的に一文は短い方が読まれる・理解されるです。ではどんな書き方をすれば、一文が短い読まれる文章になるのでしょうか。
一文に含める情報量を減らす
一番簡単な方法は、一文の中に含める情報量を減らすこと。つまり一文一義を守るということです。参考になるかわかりませんが、情報量を詰め込みすぎた一文を紹介してみます。テーマは、『働くお父さん ー会社員の悲哀ー』です。
一文の情報量が多すぎる例
読みにくいことこの上ないのですが、会社勤めをするお父さんの苦しい胸の内が伝わりましたでしょうか。
上記の悪文は、情報がぎっしり詰め込まれていることを理解いただけたでしょう。ざっと挙げてみると
- 会社員(であるお父さん)は仕事での我慢が多いが、家族を養うために我慢している。
- 自分の意向と異なる業務も完遂する。
- 取引先からの無理や要望に応えるため、社内で頭を下げている。
- 上司からは常に売上アップを求められる。
- ストレスが多すぎて体調を壊すこともある。
これだけの情報が詰め込まれていました。この一文で伝えたかった主題が見えないですし、読んでいて疲れてしまいませんか?「会社員つらい、辞めたい」ということは、伝わったかもしれませんが。
情報過多の文を脱するまとめ
わたしたちの書く記事は、誰もが好意的に読んでくれるわけではありません。「たまたまSNSで友人がシェアしていたから、興味本位で読んでみた」ということも多々あるでしょう。
また誰もが文章を読むのが好き、読書が趣味、というわけではありません。普段から文章に接していなければ、例文のような情報過多の一文を目にしても、理解することができないのではないでしょうか。
せっかく書いた文章ですから、一文を短くすることで、少しでも多くの人に読んでもらいたいもの。その方法のひとつとして、一文に情報量を詰め込みすぎないことをお伝えしました。
不定期ですが、ちょっとの工夫で一文が短くなるティップスを紹介していきます。現場からは以上です。