Webライターについての記事をたくさん書いてみましたが、いよいよ一番の注目ごと『Webライターの収入』に触れてみます。Webライターってどのくらいの収入を得られるものでしょうか。年収1,000万円? 500万円くらい? まさか200万円の生活保護レベル?
Webライターの収入はズバリ!
Webライターが得られる収入は、千差万別です。はい。答えになっていなくてすみません。明確な金額を提示できないのには、きちんとした理由があります。逆にいうと、この理由をきちんと抑えていけば、自分がWebライターになったときの収入額が予測できるでしょう。
Webライターの収入は人による。営業職の収入は人による。経営者の収入は人による。どんな仕事でも、収入額は一律ではありませんので。職種による収入額を一言でいい切ることはできませんが、Webライターの収入の仕組みを紐解くことで、何をどのくらいやったらいくらになるのかがわかります。
Webライターが収入を得る手段
Webライターの収入の仕組みを紹介していきます。まず最初に、Webライターの仕事がなんなのかを見ていきましょう。どんな仕事なのかを知った上で、それぞれの収入額がわかれば、何をどれだけやったら、Webライターの収入がいくらになるのかがみえてきます。
Webライターの仕事とは、Webに掲載される記事・文章を作成すること。インターネットで閲覧できる文章は、すべてWebライターの仕事になり得ると解釈してください。ニュースサイトの記事、企業のホームページ、インターネット上の広告やランディングページ、メールマガジン、オウンドメディア……。これらすべて、Web上に掲載されているものであれば、書いた人をWebライターと呼称できます。
ライターによってはWeb専門ではなく、雑誌や新聞や書籍といった紙媒体で執筆する人もいます。普段は紙媒体でライティングをしているけど、たまたま今回の仕事はWebに掲載される記事だった。そんなときは、書いた本人は「自分はWebライターです」とは思っていないかもしれませんが、Web上に掲載されているので、その仕事についてはWebライターと呼んでも間違いではありません。
逆にWeb専門でライティングをする人が増えています。Webサイトのページ数が増えたことで、文章作成するライターが求められるようになったから。さらに細かい話はこちらの記事を参考にしてみてください。Webライターの仕事について、詳細に解説しています。
Webライターが収入を得る仕組み
Webライターは、記事を書くことで収入を得ています。これは普通の仕事の話ですね。経理担当であれば、経理の仕事をすることで収入を得る。営業職であれば、営業活動することで給料をもらう。レジ打ちのパートであれば、レジを打つことで時給をもらう。同じようにWebライターも、記事を執筆することで収入が得られます。
例に挙げたいくつかの仕事と異なるのは、Webライターの場合は執筆した記事の数によって、収入変動の可能性があること。経理や営業であれば、会社に雇われている場合は、決められた固定給があります。パートのレジ打ちであれば、時給が定められており、働いた時間に応じた収入です。
Webライターの中にも、時間給であったり月給で収入を得る人がいます。企業と雇用契約を結び、正社員だったり契約社員みたいな形で働くケースですね。ちなみにアルバイトも雇用契約を結んでいるので、この基準であれば企業に雇われている人。
そうではなくて、格好良い言い方にすると『フリーライター』『フリーランス』という働き方が、Webライターには最も多い働き方です。企業と雇用契約を結ばず、仕事の成果に応じた報酬を受け取る働き方になります。仕事の成果に応じて収入が決まるのは、会社員だって同じだと思いますか? 実際、仕事の成果に応じて昇給する会社って、世の中にどのくらいあるのでしょうか。年功序列の旧態然の仕組みが崩壊したといわれて久しいですが、でも、まだまだ会社勤めは安泰だと思われていますし、勤続年数が長くなればそれなりに昇給していきます。
フリーのWebライターが得られる収入は、長くやっていると自動的に高くなる、多くなるものではありません。10年、20年と活躍してきたベテランでも、仕事をしなければ一円も収入はありませんし、記事執筆の手を抜けば、明日から仕事がなくなる=収入が途絶えてしまうのです。
怖いですね。だったら、会社員でWebライターになりたいと思う人が多いかもしれません。ところが、正社員(契約社員でもかまいません)でWebライターを採用する会社は、すぐに見つかる、たくさん募集をしている、とはいえないのです。圧倒的に、フリーランスのWebライターと、記事ごとに契約を結んでいる発注者が多い。Webライターとして収入を得るのならば、フリーランスという選択が一番、スタートを切りやすいのです。
もちろん実績が認められて正社員になったり、タイミング良く正社員の求人が見つかることもありますよ。でもいったん、Webライターとして最も可能性が高い選択肢として、フリーランスを想定しておきましょう。フリーランスといっても、現在が在職中の人であれば、副業として始めることも可能な世の中ですから、必要以上に怖がらないで大丈夫ということも付け加えておきます。
Webライターの収入の仕組みは、仕事をやった分=納品した記事の分だけお金をもらう(専門的な言葉を使うならば、業務委託契約)。よって収入額は、『記事を書いて納品した数×契約した金額』ということになります。
Webライターの仕事を探したいと思ったら、こちらの記事を参考にしてみてください。未経験からでも始められる、Webライティングの仕事が見つかる情報をまとめています。
Webライティングの記事あたりの収入額
Webライターの収入が『仕事の数』と『1記事あたりの報酬額』で決まるとなると、どのくらいの記事数を書くことができて、ひとつの仕事でいくらもらえるのかが気になりますね。実はこちらも明確な答えはありません。なぜなら、最低時給のような価格が決まっているわけではないから。ひとつの記事を100円で依頼するのも、1万円で依頼するのも、お金を払う側の自由なのです。もちろん、提示された金額で仕事を請け負うかは、Webライターが自分の意思で選択します。
ここではいくつかの例を挙げて、ひとつの記事に支払われる金額をみていきましょう。
コタツ記事で得られる記事あたり収入
コタツ記事とは、Webライティング業界で使われるスラングみたいなもの。コタツに入ってぬくぬくしながら書ける記事を意味します。想像してみてください、あなたが冬の寒い日に、自宅のコタツに入りながらパソコンに向かっている姿を。机の天板には、みかんや煎餅が置かれていて、湯のみ茶碗に入った緑茶からは、もわもわと湯気が上がっています。一歩自宅を出れば、吹きすさぶ冬の風が切りつけてきます。こたつ、さいこー。
そんな状態でも、コタツ記事を書く仕事は進められます。依頼された記事の内容は、インターネットで情報を調べながら書くことができるから。有識者や発注主に話を聞かなくても、ネット上で調べた情報だけで、記事をつくりあげることができるのです。専門知識は不要ですし、仮に踏み込んだ内容になっても、エビデンスは問われません。だから、コタツの中にいながらでも執筆できる。
コタツ記事に必要なのは、インターネットに繋がる環境と、情報を調べる力と、最低限の文章力と時間だけ。誰でもできるWebライティングの仕事といえます。近年のWebライターブームを牽引したクラウドソーシングによって、コタツ記事を作成する仕事が増えました。コタツ記事を作成して収入を得るWebライターも増殖中。いやいや、これを悪いと言うつもりはありません。ひとつの仕事として成立しているのですから。
またクラウドソーシングを引き合いに出しましたが、有名なコンテンツ制作会社や編集プロダクションでも、コタツ記事を制作していますし、フリーランスに発注しています。ですからクラウドソーシング=コタツ記事ではないということを理解ください。
コタツ記事の単価例
コタツ記事の単価例は、よく揶揄される言い方で『1文字につき1円』です。1円と聞くと驚くかもしれませんが、1文字あたりの金額ですからね。100文字の記事なら100円。1,000文字の記事なら1,000円です。例えばこのブログ記事、5,000文字程度なので5,000円です。
1文字1円以下の仕事も往往にしてありますが、駆け出しの頃は仕方ないかもしれません。1文字あたり0.5円換算なんて仕事も、たくさん出回っていますし、それを手がけるWebライターが大勢いるのです。今では1記事で数万円の収入があるWebライターでも、初心者の時は1記事2,000文字で1,000円だった、なんて人もいるくらい。
2,000文字1記事を書くのに2時間だったとして、1日に3記事受けて6,000円の収入。1ヶ月20日稼働したら12万円の月収。これが多いか少ないかは個人の判断によりますが、最初はそのくらいかもね……という印象です。以下にクラウドソーシングのクラウドワークスで、わたしが依頼を受けたときの画面を掲載します。発注主に迷惑がかからないようにと、モザイクが多めですが、文字数と報酬額は見ていただけるでしょう。
トライアルということで1文字あたり1円=1,000文字で1,000円という仕事でした。トライアルに合格すると報酬額がアップするということで受注したのですが、結果は、次の依頼から1文字あたり1.5円=2,000文字記事の収入が3,000円になったんです。試しに交渉してみたら、10記事ほどやってもらえれば1.8円で考える、とのこと。他の仕事があったのでお断りしましたが、やたらと刻んでくるなと思いながらも、本当に記事執筆料が上がるんだなとわかった経験です。
大手との契約で得られる記事あたり収入
上で紹介した発注主は、やりとりする中でどこの企業かわかってきました。都内にあるIT系の会社だったのですが、いわゆる中小企業。大量の記事が必要だったようで、多くのWebライターを探していました。先方がいうには、月間に最大100記事は依頼できるとのこと。少なくとも100記事作成していて、1記事が3,000円だとすると30万円を使う計算です。
企業規模から判断するに、100万円も200万円も予算を持っていない可能性がありました。価格交渉をしながらも、「これ以上は無理なんだろうな」と。どんなに優れた記事を提供できるとしても、ない袖は触れないわけです。月間の予算が100万円で、必要な記事数が50記事であれば、1記事あたりに支払えるのは5,000円が限界。Webライターとして収入をアップさせたければ、ある程度の予算を持っているクライアントに出会わなくてはなりません。安く買い叩こうという気持ちがなくても、原資がなければどうにもできませんので。
となると確率論として大きな予算を持っているのは、大手企業でしょう。同じように月間50記事が必要だとして、倍の予算を持っていれば、1記事に1万円まで支払う体力がある。大手だからといって記事価格を高額にできるとは限りませんが、投下できる予算を考えたら資本のある会社が有利です。確率論として、大手企業と取り引きすることが、Webライティングでの収入を上げる近道かもしれません。
実際に同じくクラウドワークスで、上場企業から仕事の依頼をもらいました。最初は企業名がわかりませんでしたが、取り引きするうちにわかってくる。直接聞いてもいいですし、納品した記事が掲載された先を探せば、運営している会社がどこかわかりますよね。わたしの場合は直接聞いたのですが、上場している会社でした。その場合、1文字あたり2円での契約提示。先方の言葉を信じるのであれば、1記事1万円くらいは支払えるとのことでした。
専門知識で得られる記事あたり収入
大手企業からの依頼ではなくても、ある程度の高額を期待できるのが、専門知識を必要とする記事作成です。専門知識とは幅広いのですが、わかりやすいところで、法律関係の記事であったり、医療・医薬関連の記事であったり、ビットコインに関する知識と運用経験だったり、人材・採用関連の知見だったり……。何かしらの資格や経験を有する人に依頼したい記事の場合、書けるライターが少ないわけですから、ライティング価格が上昇する傾向にあります。仮に安い価格を提示されても、パワーバランスがフラットもしくは売り手に傾きます。強気の価格交渉がしやすいといえるでしょう。
ただし医療の資格を持っている=医師であったり、法律の資格を持っている=税理士や弁護士であったり、士業であることを求められる場合、自分自身の経歴と照らし合わせる必要があります。これはこれでライター側が、ない袖は触れないわけです。学歴や経歴を詐称するわけにはいきませんからね。
この流れは2016年後半に発生した、welqという医療系メディアによる社会問題が端を発しています。同メディアは、プロ野球球団を所有するDeNA社が運営していました。医療に関するメディアでしたが、記事を書いているのは素人。大学生や主婦をクラウドワークスで囲い込んで、コタツ記事をつくらせていたのです。
人の健康に影響のある記事で、運の悪いことにSEO対策がばっちりなされていたため、Googleの検索で上位に表示されていました。何も知らない人は検索からレコメンドされた記事を見て。書いてある内容を信じてしまう可能性があった。記事に書かれている内容は、素人がネットサーフィンして拾った情報なのに。結果としてDeNA社はメディアを閉鎖し、社長と会長が記者会見で謝罪することになりました。
というような社会問題が起因して、特にYMYL(ユア・マネー/ユア・ライフ)に関する領域は、Googleが検索アルゴリズムを見直したり、記事を執筆するライターを吟味するようになったのです。Webライターの書く記事に対して、情報の正確性が求められるようになったということ。よって専門知識が必要な記事は、たとえ執筆時にはコタツ記事であったとしても、一定以上の知識・経験、もしくは資格が求められるようになったのです。
逆に考えると、資格を持っている人であれば、記事作成による収入をアップするチャンス。ああ、医者になっておけばよかったなぁ。
実績が認められて得られる記事あたり収入
専門的な資格を持っていなくても、コタツ記事だとしても、収入を上げる方法があります。手取り早いのは、コタツ記事の欄でも書いてしまいましたが、実績を積み上げて価格交渉をすること。発注者の立場で考えてみると、初見のライターに仕事を依頼するのは冒険です。どんな文章を書くかはおろか、どんな人物なのかもわかりません。編集側で相当に手を入れる必要があるかもしれませんし、納期を守らなかったり修正依頼に対応しなかったり、そもそも納品してこないケースもあります。
付き合いの長いライターと同じ費用を支払うには、何かあったときの授業料が高すぎるわけです。わたしが経験して一番辛かったのは、取材から任せていたのに、取材後にバックれられたこと。取材時に行かないのであれば、約束の時間をすっぽかしたというお怒りをいただきます。ただただ平謝りするしかないのですが、取材まで終わっているとなると、もう一度話を聞かせて欲しいと頼むのは、あまりに失礼。信用できるいつものライターではなかったのに、遠方だからを言い訳にして取材に同席しなかった自分を呪いました。結果として、なんとか連絡がついて音源だけ送ってもらい事なきを得たのですが。
そんな経験があると、初めての取り引きとなるライターに対して、重要な仕事を任せるのはためらいます。重要度の低い仕事から依頼して、力量や人間性を確かめたくなるもの。ライターとしての腕と人間性に納得がいったところで、難易度が高かったり高額な支払いができる仕事を頼むようになります。
業務の幅を広げることで得られる記事あたり収入
Webライターが報酬をアップさせるのなら、手っ取り早いのは多くの仕事を手がけることです。安い記事を大量に書くこと、文量(文字数)の多い記事を書くこと、ライティング以外の仕事も手がけること。ライターが関わる仕事の周辺業務までを巻き取れば、収入のアップが期待できます。ライティング周辺業務として思い浮かぶのは、実際に受注して収入アップした例で6点。
- 企画から担当する
- 取材から担当する
- 写真撮影も担当する
- グラフや画像作成も担当する
- CMSへの入稿も担当する
- ストックフォトから画像選択も担当する
番号付きリストにしましたが、順番に意味はさほどありません。その時々に必要とされる周辺業務について、自分ができることであれば提案してみるだけ。取材については、最初から『取材記事制作』みたいな打診を受けるでしょう。撮影が得意な人であれば、「撮影までするので●●●●●円になりませんか?」と提案してみる。わたしの場合、Web記事の写真であれば、ある程度までは対応できると自負があります。ただし紙媒体、とくにポスターなど大きなサイズに使うのであれば(取材記事でポスターって想像しにくいですが)、撮影を打診されてもお断りしています。
取材記事の単価例
上記はわたしがランサーズで受注した、取材記事制作の仕事です。こちらもプライバシーに関わりそうな部分をボカしたので、字が読みにくいかもしれません。内容は、取材して記事制作すること。文字数は6,500〜7,000文字を指定されており、かつWebと紙の両方に掲載するため、そこそこ高画素数な写真撮影も依頼されています。撮影する写真は、インタビュイーのピンでニコパチ(正面を向いて笑顔のところをパシャり)。これで交通費別の53,000円ということですから、文字数あたりで割ってみると、8.15円。
取材と撮影があるので、往復の時間も加味して2時間は余計にかかるため、単純に1記事の収入とはいえませんが。まぁ、悪くない金額ではないでしょうか。ちなみに最終的には、取材時間が2時間必要とのことで、交通費と合わせて2万5,000円を別途支給で着地。原稿料と合わせて7万8,000円(税別・プラットフォーム手数料別)なので、コンテンツ作成に理解のある発注者さんでした。このように、対応できる仕事の範囲を広げておくことが、Webライターの収入アップに直結するわけです。
人脈を活かすことで得られる記事あたり収入
最後に紹介するのは、本当にオマケみたいな情報です。誰もが真似できないので、該当する人は「ラッキー!」くらいに思ってください。あなたに、有名人・著名人と深い繋がりがあるなら。有名人と親和性の高いメディアに対して、彼や彼女の取材記事をかけることをアピールしてみましょう。例えば、メジャーリーガーのイチロー選手と大親友なら。2018年の特殊な契約について、「来期の開幕戦が日本で開催されるので、そのタイミングで引退試合を催して、球団が大儲けしたいっていうから。自分としてはまだ現役でいけるので、メジャーの引退試合が終わったら、すぐに日本球界に復帰するわねえ」なんてコメントをもらえるかもしれません。
夢見たいな話ですが、そんなスクープを取ってこれるのは、著名人と特殊なコネクションがある人の特権です。他のライターには書けない記事がつくれて、世の中のニーズが高ければ、必然的にライティングの収入は上がっていくでしょう。
Webライティングで収入をアップするには、特殊な経験・人脈をもつか、努力あるのみ
基本的にどんな仕事であっても同じですが、何もせずに多額の収入を得られるわけがありません。ノーワーク・ノーペイってやつですね。ライバルと比較して卓越した成果をを上げられるとか、他の誰にも真似できない記事をつくれるとか。わたしのような凡人であるのならば、人一倍の努力によって、平均の1.1倍くらいの収入が見込めるでしょう。
Webライターが楽して儲かると思っているのであれば、踏み出そうとしている一歩をすぐに止めた方がいい。在宅で働けるとか、好きな時間に仕事をできるなんて言われていますが、会社に行かないことや定時がないこと=楽な仕事ではありませんから。現場からは以上です。