ライターが抑えておきたい、若者言葉の4分類と日本語の進化の歴史

ライターが抑えておきたい、若者言葉の4分類と日本語の進化の歴史

ら抜き言葉を例にして、日本語は乱れるのではなくて変化しているという記事を書きました。本稿では別の例で、日本語の変化について考察していきます。

若者言葉を中心に、日本語の変化をたどる

日本語は、世界でも有数の美しい言葉なんじゃないかと思っています。同じように、日本語の様式美を唱える学者さんや傑物の方々がいらっしゃるでしょう。そもそも日本語が使われ始めたのは、正確な文献はないものの、5世紀以降からという説があります。

稲荷山古墳(埼玉県)

日本国内で見つかって学術的に認められているなかで、最古の文字記録は『稲荷山古墳出土鉄剣(金錯銘鉄剣/きんさくめいてっけん)に刻まれた文字です。稲荷山古墳とは、現在の埼玉県行田市にある古墳のこと。稲荷山古墳で出土された鉄剣に、115文字の漢字が印字されていたそうです。鉄剣に記された文字のなかには、人名を当て字で表記した部分があり、この当て字を「万葉仮名」と呼び、最古の日本語とされています。

と記載しましたが、実際のところは諸説がありすぎて、どれが正解かわかりません。よくわからないので、5世紀から日本語が使われていたとしましょう。それから長いながい歳月を経た日本語は、大きな変化を遂げて16世紀のちの現代に生きています。テレビの時代劇を見ても、現代語とは少々様子が異なるようです。

時代劇のころ(江戸時代あたり)から時計を一気に進めて、20世紀後半と21世紀のいまを比べてみても、やはり日本語は変化しています。『ら』抜き言葉はひとつの例ですが他にも流行語の類もあるわけです。流行語のなかには、一時的な盛り上がりではなく、何年経っても使われ続ける言葉があります。

流行語が定着した新語は、若者が使い始めて市民権を得ていったように思うのですがいかがでしょうか。若者によって考案され老若男女に定着した、変化した日本語。日本語の変化の鍵には、若者の存在があるんじゃないかと思うわけです。

若者が生み出した新しい日本語の種類

言語学者の井上史雄氏は、『数十年後の使用がどうなるか』に着目して、若者言葉を4分類しました。分類の仕方として興味深いので、井上先生の4分類を紹介させていただきます。

若者が老いて不使用になる 若者が老いても使用を続ける
後の若者が不使用になる 一時的流行語
(新語、時事用語、はやり言葉)
コーホート語※同世代語
(生き残った流行語、世相語)
後の若者が使用を続ける 若者世代語
(キャンパス言葉、学生用語)
言語変化
(新方言、確立した新語)

バッチグーはもう古い、一時的流行語

一時的流行語とは「チョベリバ」や「バッチグー」など、流行り廃りの早い流行語を指します。いまさら文字にすることが、もう恥ずかしいですね。

ついつい使い続けてしまう、コーホート語

コーホート語とは、次の世代の若者たちに使われることはないものの、特定の世代で使用が続いていく言葉です。「超●●」や「ナウい」などが該当します。

大学時代に戻れる、若者世代語

若者世代語とは、若者文化の象徴となる言葉で、若者の間では代々受け継がれていきます。「学食」や「般教(一般教養科目)」「フル単(ひとつも落とさずに単位を修得すること)」などが該当し、大学生の間で使われることから『キャンパス言葉』とも呼ばれる言葉です。

新幹線って正式名称じゃない、言語変化

言語変化とは、若者が使い始めた言葉ですが、いわゆる死語にならずに世代を超えて使われ続けるものを指します。『ら』抜き言葉もここに分類されますし、。語尾に「じゃん」を付けること、意外なところでは「新幹線」も該当するそうです。たしかに正式名称は『都市間高速鉄道』で、それらの総称が新幹線になります。

日本語の変化は、時代を写す鏡

井上先生による若者言葉の4分類を紹介しました。若者と限定はできませんが、他にも『短縮語』や『ギャル語』『インターネット語』などが、ある世代によって生み出された新語といえそうです。KY(空気読めない)やJK(女子高生)などのアルファベットを用いた略語も、新しい言葉のひとつになるんでしょうかね。

こう考えると、日本語の変化というのは、象徴する出来事や時代の空気感によって起きる進化と思えてきます。言葉を用いて伝える行為を生業とするライターであれば、流行語や若者の言葉、世代によって利用される言葉には敏感でいたいもの。街の喧騒に耳を澄ませなが、日本語の勉強を続けていこうと思いました。現場からは以上です。

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