副業ブームに乗っかって、あれやこれやを論じているこのシリーズ。第三弾は語句解説です。副業推進の文脈で、やたらと耳にするようになった言葉、複業、兼業、パラレルワークにダブルワークやパラレルキャリア(パラキャリなんて略す人もいるようです)。どれも同じように思えるけど、実際のところどうなの? を解説していきます。
副業と複業と兼業とパラレルワークの違いは
前稿では、副業が政府によって推進される理由について、長々とご紹介しました。ここでひとつ気になったのですが、政府は『副業・兼業』と言ってますね。ふたつに分けているのですが、それぞれどういう意味なのでしょうか。違いはあるの? そういえば『パラレルワーク』なんて言葉もあります。副業を英語にしたらパラレルワーク? 違いますね。さらには、『複業』って表記するケースもありました。他にも『ダブルワーク』なんて言い方も。文章のブログらしく、ここで語句について考えてみます。
副業という語句の意味
冒頭で『副業』の意味については紹介しました。ざっくり振り返ると「本業を持っている人を対象にした言葉で、本業とは別に収入を得るために働くこと」です。本業以外で収入を得る手段ですから、副業の種類・職種は無限にあります。
複業という語句の意味
では複業とは何を指すのでしょうか。
複数の本業を持つこと。副業のような片手間仕事としてではなく、生業として別の業種を二つ以上兼務すること。
引用:コトバンク
なるほど。複業とは、本業が複数あることを意味しているようです。確かに漢字をバラしてみると、複数の複と生業と書いてありますね。
副業との違いは、本業との差分を考えると良さそうです。副業であれば、あくまでサブという扱いで、労力や所要時間は本業に圧倒的な比重があります。しかし複業の場合は、本業と同程度の労力や時間をかけることが想像できました。
また得られる収入においても、副業の場合は本業を超えることは少なさそう。逆に複業であれば、本業と同等以上の収入を手にしていても成り立ちます。
とはいえその比率に明確な定義はありません。本業の片手間でやっているのが副業、本気でやっているのが複業と考えておきましょうか。そもそも複業の場合は、本業という概念がないというか、どちらも(どれも)本業である状態を考えるのが妥当です。
兼業という語句の意味
なんだか残念な気持ちになりました。副業や複業との違いがわからない……。いろいろと調べてみましたが、正確で明確な定義はなさそうでした。
ただ『兼業農家』という言葉があるように、何かを兼ねている状態だと考えられます。もう少し突っ込む&解釈すると、本業以外に事業を行なうことと言えそうです。会社員でありながら、農家を経営している状態。家庭菜園は違いますよ。
または、喫茶店を営みながら、同じ敷地のなかで古着屋を経営していたら、これは喫茶店と古着屋の兼業と言えそうです。
複業との境目は見えませんが、副業との違いは事業と呼べる程度に本腰を入れているか。つまり、複業と兼業は同じと考えても差し支えないでしょう。
パラレルワークという語句の意味
パラレルワークという言葉が流行り出したのは、いまから5年くらい前からでしょうか。徐々に言葉が浸透して、ちょっと進んだ人や粋な働き方をする人が、パラレルワーカーとして目立ち始めました。
ところでパラレルワークって、副業や兼業と何が違うのでしょう。単に格好つけて英語にしてみただけ?調べてみると……やはり明確な定義がありませんでした。そこでまず、英単語を分解してみるところから。
パラレル=平行であること。SF好きの人でしたら、パラレルワールドという言葉にワクワクするでしょう。今いる世界と平行して、別の世界がある。その世界には自分と同じ人が存在するかもしれないし、まったく別の人間(と言えるのかわかりませんが)が生活をしていて……。
同じように、パラレルワークですから、仕事が平行して存在する状態を指します。仕事が平行って??? 同時平行でビジネスをしている状態のことです。複数の収入源となるビジネスがある、ひとつの仕事に依存しない、囚われない働き方を意味します。
副業との違いは、複業の解説にあった通りで、お小遣い程度の収入を得る仕事ではなく、本業と同等のビジネスを実施していることです。
本業と同等という言葉自体が間違っているような、2つ以上の仕事を同程度に取り組んでいるのがパラレルワーク。メインの仕事もサブの仕事も区別がありません。
またパラレルワークと同じような登場シーンで、パラレルキャリアという言葉が使われることもあります。
こちらも正確に定義された意味はありませんが、複業的な意味合いよりも広い定義になることがしばしば。パラレルワークや複業は、2つ以上のビジネスをしている状態を言いますが、パラレルキャリアの場合はビジネスに限定されないことが多いのです。
いわゆる本業としての会社勤めをしながら、NPO法人に所属して仕事をしている場合。NPOでの働きは無報酬の場合が多いですが、本人の生きがいであったり使命を感じて取り組んでいる状態は、パラレルキャリアと呼ばれることも。似たような意味合いで、プロボノという言葉もあります。
プロボノ(Pro bono)とは、各分野の専門家が、職業上持っている知識・スキルや経験を活かして社会貢献するボランティア活動全般。また、それに参加する専門家自身。
引用:wikipedia
本業の会社が複業や副業を許可していない場合、またはプロボノとして参加している団体に資金力がない場合において、専門的スキルを持った人材に無償で活躍してもらうパターンです。
副業の文脈で考えると、ついつい収入アップに目が行きがちですが、自分の力や価値を無償で提供し、世の中を良くしていこうという取り組みですから、人間の承認欲求を満たすにはもってこいの働き方でしょう。現場からは以上です。