フリーランスの働き方、業務委託とはどんな契約なのか

フリーランスの働き方、業務委託とはどんな契約なのか

会社員とは異なる業務委託という働き方。一言で業務委託といっても「委任契約」と「請負契約」の2種類が存在します。業務委託だからこそのメリットもありますが、同時にいくつかのデメリットも。フリーランスの契約について、営業職を例にして解説してみました。営業職なら、多くの人が仕事内容を想像しやすいですからね?

まずは、業務委託について知ろう

業務委託というのは、会社に雇用されずに、仕事の依頼を「会社と対等の立場で受ける」働き方です。例えば、今まで会社員として、商品を販売していたとします。

まず出勤日数や働いた時間に応じて、基本給が支払われてますね? それに加えて、インセンティブや、ボーナス、報奨金などを会社から受け取る仕組みなのではないでしょうか。

では、同じ営業の仕事を、もしあなたが個人事業主として、会社から業務委託されていたらどうなるのでしょうか。会社に雇用されるかたちではないため、基本給や残業代、有給休暇やボーナスがなくなります。

さらに、労働基準法や労働契約法上の保護を受けられません。労災や社会保険の適用も受けられなくなるため、自分で万一に備える必要があります。

しかしその反面、もちろん契約内容にもよりますが、売れた商品代金の50%を受け取ることができたらどうでしょう? 毎日直行直帰で、営業活動の前に一旦会社に立ち寄って会議に出席したり、日報や月報の作成、同僚の尻拭いをする必要がなくなるのはどうでしょうか?

もし、自分の営業力に自信があるのなら、働けば働くほど稼ぐことができるので、魅力のある働き方だと思います。

業務委託といっても、形態はさまざま

業務委託には、いくつかの契約形態が存在します。例えば『委任契約』。これは、仕事を依頼する会社が、納品物や成果物を目的とするのではなく業務自体が報酬の対価となる契約です。会社の受付業務や、経理、事務などの仕事です。

定められた期間、業務を遂行することを委任されているため、例えば怠慢や不注意によって業務が滞れば責任を問われますが、事務処理件数の増減や、効率化などに対して、責任を問われることはありません。

次に、成果や納品物の完了に責任を問われる『請負契約』があります。成果物に対して報酬が支払われる代わりに、どこでどのように成果物を制作したのか、などについては責任を負いません。

Webサイトのデザインから構築を、納期を決めて依頼されるなどが、これに当たります。このように、業務委託にはさまざまな業種、業務内容があり、ネットで少し探しただけでも、多くの仕事が見つかるはずです。

稼げる業務委託にはどんな仕事があるの?

例題に営業を挙げていますが、もちろん、他の職種も豊富です。例えば、大型免許を持っている場合、業務委託で大型ドライバーの求人を探すと、月収平均100万円といった内容が見つかります。

運輸会社で正社員の報酬額は、月給40万円に満たないようなので、運転技術に自信があれば、業務委託の方が圧倒的に稼げますね。

ITエンジニアの業務委託求人には、共同受注という名目で、契約金の90%をエンジニアに分配する、というものもありました。

案件の紹介から、契約(共同受注)、取引先への請求・回収業務までを代行してくれるそうなので、技術力には自信があるけど、自分で仕事を取るのは苦手な人には、とても魅力的な内容ではないでしょうか。

そのほかにも、賃貸住宅の原状回復に伴うクリーニングの業務委託や、社会人寮または学生寮の管理業務、スマホなどの訪問サポートなど、生活スタイルや得意なものに合わせて稼げる業務委託の仕事は、実はたくさんあることが分かります。

業務委託にデメリットはないのか

仕事を依頼してくる会社側にとって、業務委託を使うメリットを考えてみます。

  • 健康保険や厚生年金、雇用保険等の負担義務がない
  • 残業・休日などでの割増賃金の支払い、年次有給休暇、最低賃金の適用などの労働者保護法令に従う義務がない
  • 解雇予告の手続き義務があるため、社員は簡単に切れないが、業務委託なら契約を打ち切ることができる

などなど、逆に考えれば、個人事業主にとってこれらがすべてデメリットになります。本来は労働であるにもかかわらず、業務委託の契約を結ぶことで、これらのメリットを受けようとする会社も、少なからず存在します。

社員として営業の仕事をする場合、ノルマがあることも多いと思いますが、業務委託にノルマを課す契約は、実はNGです。

また、業務委託の場合、勤務時間や仕事の進め方、委託された仕事以外の付帯業務に対して、嫌なら断ることができます。定時できっちり営業活動を行なう要求、営業所での会議・日報作成……こういった仕事は、断っていいのです。

これらを強いる場合は、『偽装委任』という違法行為の可能性があります。業務委託のことをしっかりと知り、契約書にどんな内容が書かれているか、きちんと把握することが大切ですね。

業務委託の仕事をする上で大切なこと

業務委託で気をつけることはノウハウやスキルを簡単に渡さない、社員の方々を意識的に育てないことだと私は思います。業務委託で仕事を行なうあなたは、会社にとって単なる助っ人です。数ヶ月成績が悪かった、社員と折り合いが悪くなったなどで、契約をきられて仕事を失う可能性があります。

あなたの成績がよければ、会社はノウハウやテクニックを欲しがるでしょう。講演会などが催されるかもしれません。もちろん見合った講演料がもらえるなら、受けてもいいとは思いますが、できるだけノウハウや技術は出さないようにすべきではないでしょうか。

また、教育して社員が育ってしまえば、あなたが要らなくなるかもしれません。仕事上の付き合いだとドライに考えることも、業務委託で行なうには必要なことです。しかし、自分の自由にできて、しかも成果に責任を負わないのが、業務委託の仕事を行なう大きなメリットです。

上司や同僚、部下に不満を抱え、自分の成績を気にしながら、後輩も育てなければいけない……といったストレスと付合い続けるのが尊いとされたのは、終身雇用が一般的だった昭和の時代まででしょう。

会社が実力主義、コスト削減をよしとするのであれば、自分のちからを信じ、一歩踏み出して自由になるのもひとつの道だと思いますよ。