ライターも依頼主も知っておきたい、質の高い記事をつくりあげるポイント

ライターも依頼主も知っておきたい、質の高い記事をつくりあげるポイント

自社商品をテキストベースでアピールするためには、読者を惹きこむような文章が必要です。Webメディアでは、オウンドメディアに読者が訪問したときに、離脱させない=文章を最後まで読ませることが重要となります。今回は、質の高い文章をライターに発注するときに、Webメディアの制作担当者が心がけたいポイントを紹介します。

発注側はライターと一緒に文章をつくる意識を持つ

外注するなら知っておきたいライティング依頼のコツ

質の高い文章を納品してもらうためには、発注側として押さえておくべき、いくつかのポイントがあります。

いくら能力の高いライターに発注したとしても、発注側が適切な指示やフィードバックを伝えなければ、発注側とライター側がそれぞれに考える「質の高い文章」の定義がズレてしまうのです。それでは、質の高い文章を発注するとき、どのような点に注意すれば良いのでしょうか?

読者は作り手の想像以上に記事の質に敏感

読者にばれる下手くそな記事

現在、Web上には多くのコンテンツが存在します。その中で、読者に自社メディアから新たな価値を見い出してもらうためには、ある一定頻度で記事を更新し続ける必要があります。

しかし、いくら多くの記事を配信したとしても、読者のニーズを掴めていなかったりするなど記事の質が悪ければ、読者はすぐに離れてしまいます。

そこで、発注担当者はライターの長所を引き出し、スキルを高めながら、質の高い記事を配信し続ける工夫が必要です。もちろん、「質の高い記事を書き上げたい」というポジティブで、かつ熱意を持ったライターに発注することが前提となります。

それに加えて発注者は、向上心のあるライターの意識をさらに高めるために、時間と手間をかけて、記事の質を上げるための努力とサポートが欠かせません。

忘れがちなのが、発注者の「ライターと一緒に記事をつくりあげる」という姿勢とマインドです。発注側は、プロのライターに任せておけば質の高い記事ができあがるはずだ、と考えがちですが、記事に対する評価基準は読者によってまちまちです。

ライターとともに、「こういうゴールを目指して記事をつくろう」という意識合わせができていない場合は、結果として、期待に満たない品質の記事が納品されてしまうことがあります。発注者はライターに記事を丸投げするのではなく、ライターとともに質の高い記事づくりを行なおうとする姿勢こそが大切なのです。

では、質の高い文章は何が違う?

記事制作の依頼は難しい

前述したように、「質の高い記事」は読者によって、まちまちです。しかし、良い記事には前提として、記事を構成する「質の高い文章」があります。では、質の高い文章とはどのような文章を指すのでしょうか。

質の高い文章とは、だらだらと書き綴った長文ではなく、限られた文字数の中で、必要な情報を読みやすくまとめた文章です。そのような文章をまとめ上げるために、ライターは内容を吟味して重要な情報を選び取り、文章へと落とし込むポイントに優先順位をつけて並べ、不必要な部分をそぎ落としていきます。

とくに、toB向けの記事では、読者から共感を得るような文章が求められます。toB向けの記事は「楽しませる」ということが目的ではなく、商品説明などのファクトが中心です。

また、会社間で取り引きされる製品の話が中心となるため、馴染みの薄い専門用語が頻繁に出てきます。そのため文章のトーンが単調になりやすく、読者が内容を読みこなすのに飽きを感じがちです。加えて、伝えたい製品の特徴などをイメージしにくくなってしまいます。

そこで、ひとつのテクニックとして、製品開発に関わった担当者の想いやエピソードなどを文章中に肉付けしていきましょう。

たとえば、インタビュイー(話し手)である企業担当者はライバル企業の商品について、何かしらの考えやユーザー視点での意見を持っているはずです。もしも、製品開発の担当者にインタビューができれば、「他社製品のこの部分が自社とは違う」など、製品マニュアルやプレスリリースでは決して書かれない、担当者の率直な意見や本音を訊き出すことをお勧めします。

読者は、インタビュイーの熱量を感じる話に共感しやすいもの。商品を完成させるまでの苦労話や失敗談、開発の裏側の見えない話などは、読者の共感を引き出すための重要な要素となるのです。それらを原稿に加えることで、文章全体に抑揚とリズム感が生まれるため、読者を文章中に引き込むことができます。

ライターに依頼するときの3つのポイント

3つのポイントを抑えて記事依頼

ここまでは、質の高い文章について確認しました。次は、外部ライターに依頼するときのポイントを紹介します。

まず1つ目のポイントは、ライターと対等な立場で記事をつくろうと意識することです。これは非常に重要なポイントですが、意外と見落とされてしまいます。

たとえば、発注者はライターに対してギャランティを支払う立場なので、ライターよりも立場が上だと思い込みがちです。そして、発注者の立場が上で、受注者(ライター)の立場が下、という関係を示したとします。

その場合、明らかな発注者の間違いをライターが指摘しづらくなる関係が成り立ってしまいます。また上下関係がハッキリしている場合は、下の立場になったライターが、内容について疑問点を質問しにくくなるかもしれません。

そのようなことを防ぐためにも、初めの打ち合わせ時に、「一緒に記事をつくっていく対等な立場である」という、お互いの関係を明確に発注者側から伝える配慮ができれば、良好なパートナーシップを築けるでしょう。

二人三脚で記事をつくりあげる、という気持ちが伝われば、ライターのモチベーションアップにもつながります。

2つ目のポイントは、発注者がライターと一緒に、記事の起承転結といった構成を設計することです。記事を設計することは、「スケルトン」や「構成案」と呼ばれます。

このスケルトンをきちんと組み上げることは、記事の良し悪しを決める肝要な部分です。しかし、経験の浅いライターにアサインした場合、ライターが記事全体の流れを上手に設計できないときがあります。

そのときは、発注者側は想像している記事の流れをスケルトンとして落とし込み、前もってライターに示します。ライターは全体の構成を理解できれば、記事を書き上げるために必要な情報を整理しやすくなるため、文章を書きやすくなります。またインタビュー案件のときは、発注者が用意したスケルトンがあることで、記事の流れに沿った適切な事前質問集をつくりやすくなります。

3つ目のポイントは、依頼する企画の意図をライターにしっかりと伝えることです。なぜなら、ライターに企画の意図を知らせることによって、説得力のある文章をつくりやすくなるからです。

もしもライターに企画の意図を伝えず、インタビュー案件を発注したとします。その場合、「なぜ、その担当者をインタビュイーとして選んだのか」などの理由を理解できないまま、ライターがインタビューに臨んでしまいます。すると、インタビュイーから本来引き出すべき内容を訊くことができず、内容の薄い文章になってしまう可能性があります。

前述したとおり、toB向け記事における質の高い文章とは、製品に関わった人の熱量が感じ取れる文章です。プレスリリースだけでは、熱意を読み取れません。ライターが製品の関係者にインタビューするとき、インタビュイーから本音を引き出せるように、企画をしっかりと組み立て、ライターに意図を伝えることが重要です。

質の高い記事制作のポイントまとめ

オウンドメディアを訪問した読者は、貴重な時間を記事を読むことに費やしています。たとえば、業務に必要な情報を得るために、2000文字のコラムを5〜15 分程の時間をかけて読みます。

もしも、それが読みづらい文章であれば、理解するために余計な時間がかかるため、無駄な時間を使わせます。一方で、情報がコンパクトにまとまった質の高い文章で構成された記事は読みやすく、理解する時間を短縮させる価値があるのです。

また質の高い文章は、読者の脳に知見や知識を与えます。たとえば、ある企業の担当者が、ライバル会社の良質な記事を読んだときに、「A社では、このような開発をやっている」という情報を元に「自社でもこのようなモノづくりをしてみたい」と、新たなアイデアを生み出すきっかけになるかもしれません。

質の高い記事をつくり上げるには、ライターの筆力はもちろんのこと、発注側にも相当な労力が求められます。しかし質の高い記事は、価値あるコンテンツとして認知されることにより、読者に影響を与え続けることができます。

顧客に自社商品への興味・関心を高めてもらうためにも、質の高い記事づくりに努める必要があります。オウンドメディアで商品の魅力を十二分に伝えられるような質の高い記事づくりに注力することが、いま、他社メディアとの差異化を図るための重要なポイントといえるでしょう。素敵なライターさんと出会えますように。