数年前からAIや人工知能、機械学習、ディープラーニング……などの言葉が、メディアに踊るようになりました。AIに精通したエンジニアであれば、日本でも年収1,000万円を優に超える価値の高い存在といわれます。ところで、AIとはなんなのでしょうか。今さら人に聞けないというあなたも大丈夫。
AIの基礎の基礎、機械学習とは何で、目的や方法について、わかりやすく解説いたします。
機械学習とは?AIや深層学習とどう違う?
IT技術の急激な進化によって、人工知能をビジネスに活用する機会も増えてきました。しかし、技術の進化するスピードが速すぎて追いつけないと感じている人も少なくありません。特に人工知能(AI)の分野は、イメージはあるものの詳しいことはよく分からないというケースがよく見受けられます。そこで今回は、人工知能のひとつの要素として知られる「機械学習」について詳しくみていきたいと思います。
人工知能(AI)とは
機械学習について知るためには、まず人工知能(AI)についての予備知識が必要です。人工知能(AI/artificial intelligence)は、コンピュータを用いて人間の知能と同様のはたらきを人工的に実現したもの。
- 学習
- 推論
- 判断
といった人間が日常的におこなっている動作を、コンピュータによって再現することをいいます。
最新のテクノロジーをみると、新技術のように感じるかもしれませんが、人工知能(AI)開発の歴史は1950年代にまでさかのぼることができるのです。1950~1970年代において、人工知能(AI)は、ニューラルネットワーク研究と深く関連づけられていました。
ニューラルネットワークとは、数学モデルのひとつです。人間の脳機能に関する研究や、神経科学分野の研究を基にして計算機上のシミュレーションを展開していく方法が試みられました。
こうした研究は、生物学と区別するために人工ニューラルネットワークと呼称されるようになり定着。人工知能(AI)研究の源流となっていきます。機械学習の研究が活発化し始めたのは、第二次人工知能(AI)研究ブームといえる1980~2010年代のことです。
機械学習はAIの一部分
機械学習は、人工知能(AI)のひとつの要素です。名称のとおりに、コンピュータに学習をさせることで判断の精度を向上させたり、より複雑な物事をできるようにしたりします。
つまり、機械学習はさまざまな可能性を秘めた人工知能(AI)の知力アップの手段、もしくは強化手段のひとつということができるでしょう。
深層学習は機械学習の一部分
機械学習の一部には、深層学習(ディープラーニング)と呼ばれるものがあります。これは、人工知能(AI)研究が活発化する1950年代の前段階である1940年代から続く、生物の脳におけるニューロンをモデルとしたアルゴリズムです。これらをまとめると、
- 深層学習は機械学習における一要素
- 機械学習は人工知能(AI)の学習手段の一つ
- 人工知能(AI)は機械学習や深層学習によって進化する
になります。人工知能(AI)という大きな容れ物に、機械学習が、機械学習という容れ物の中に深層学習が入っているイメージです。
機械学習でできることは?何をどのように学習するのか
人工知能(AI)と機械学習の関係について理解したところで、今度は機械学習でできることについてみてみましょう。機械学習は、3つのアルゴリズムがあります。
機械学習1. 教師あり学習のアルゴリズム
教師あり学習(Supervised Learning)では、事前に任意のデータが与えられます。
入力データにはあらかじめそのデータの正解となるものが付与されており、プログラムは正解を基に「入力と出力の正しい関係性」について学習。そして一度関係性について学ぶと、プログラムはその相関を未知のデータに対して適用することができるようになります。
ここでいう「教師」とは、
- データを与える人間
- 正解
ということになるでしょう。入力データと正解は1対1の関係で紐づけられており、反復訓練的な学習ともいえます。答えから、いわば逆算的な思考をするのが教師あり学習のアルゴリズムです。
この教師あり学習に向いているのは、
- 分類
- 予測
などといわれています。例として挙げると、
- 分類:写真に写った複数の人物をそれぞれのデータと照合する
- 予測:過去のデータから降水量や来場者数を予測する
などです。
機械学習2. 教師なし学習のアルゴリズム
教師なし学習(Unsupervised Learning)では、正解(教師)がない状態から与えられたデータの構造や特性を学習します。この学習方法に適しているのは、
- 推論
- 予測
- 分析
などです。正解がないため、プログラムは算出した特徴量から
- 構造
- 法則
- 傾向
といった要素を導き出して、正解を探します。正答率が存在しないため、得点などの報酬制度も併せて用意しなければなりません。教師あり学習と教師なし学習を混在させることで精度を高めることも、機械学習のひとつです。
まず教師あり学習で学ばせ、膨大な訓練データによる教師なし学習をおこなうことは、「半教師あり学習(Semi-Supervised Learning)」のように呼ばれることもあります。
機械学習3. 強化学習のアルゴリズム
強化学習(Reinforcement Learning)は、試行錯誤を繰り返して目標を達成するというアルゴリズムです。
与えられた環境をプログラム自身が観測し、各プロセスを自ら評価しながら行動をおこない、得点などの報酬が最大化するやり方を学んでいきます。これは、人間でいうところの「練習」に近いかもしれません。乗り物を運転する、楽器を演奏することを想像してみてください。
これらはいずれも、「運転」や「演奏」を知識として知っているだけではできません。体を使って実践し、練習を繰り返すことで上達していきます。機械学習における強化学習のアルゴリズムも同じです。得点や報酬といった「目標」を設定し、その目標に向かってプログラムを活動させていきます。
機械学習はどこで使われている?活用法を紹介
では、さまざまな方法で学習を重ねている機械学習は、どこで使われているのでしょうか。多くの活用事例の中でも、特に目覚ましい進化を遂げている3つの分野をご紹介します。
医療
医療の世界において、機械学習は医療従事者との密な連携によって役立っています。機械学習でデータの分析や傾向の把握をおこなうことで、収集したデータをより効果的に活用。診断や治療の改善と向上につなげています。
金融
金融においては「データの洞察」、「不正防止」という2つの側面において機械学習が役立っています。膨大なデータを分析して取引のタイミングや市場の傾向を推測したり、不正のサインを常に監視したりすることによって、経済に貢献。
銀行などでも積極的に活用されています。
交通運輸
機械学習は、物流業界にも大きな貢献をしています。道路交通状況のデータからより収益性のある経路を特定する、データからみた予測によって事前にトラブルを阻止するなど、
- モデリング
- 分析
を中心に活躍。小売業界のスムーズな運輸にも一役買っています。
機械学習の活用を適切な費用で依頼したい!おすすめの方法は?
機械学習は、活用目的によって学習のさせ方が異なり、適したプログラムもさまざまです。ビジネスに直結した有用な機械学習を実現する上では、専門的な知識をもったエンジニアやコンサルタントの協力をあおぐことが何より大切といえるでしょう。
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