クロスメディアとは、複数のメディアを使って広告戦略を行うことです。消費者の情報の受け取り方が多様化している現在、もっとも効率的で賢いメディア戦略でもあります。
クロスメディアはひとつの商品・サービスをいろいろな媒体で宣伝する!
総務省の通信利用動向調査によると、2017年の個人のインターネット利用率は80.9%。13歳から59歳まではほぼ90%を超えており、それより上の世代の利用率の少なさが全体の平均を下げる結果に。
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd252120.html
そんなネット全盛時代でも、まだ紙媒体は高齢者を中心に愛されています。クロスメディアは、この紙媒体をも含めて様々なメディアで広告戦略を行うというものです。
ペイドメディアによる広告戦略は?
昔は広告と言えばマスコミ四媒体と決まっていました。マスコミ四媒体とは、新聞、雑誌、ラジオ、テレビ。
これらを利用した広告やCMを指してペイドメディアと呼びます。企業が費用を負担して広告を制作するタイプのものです。ペイドメディアを利用したクロスメディア展開は、例えばイメージ的なテレビCMで消費者に興味を持たせる。
そして新聞広告や雑誌広告、チラシなどで商品の説明や購入できる店などの紹介をする。さらにそこからWeb媒体へと誘導する……という流れが考えられます。
オウンドメディアによる広告戦略は?
オウンドメディアとは、企業が自ら所有する媒体で広告を打つことです。紙媒体なら広報誌やパンフレット、Web媒体ならオフィシャルサイトやブログということですね。
最近はテレビCMや新聞・雑誌広告、ポスティングチラシなどでも、Web媒体へ誘い込むような作りになっています。「〇で検索」と、検索窓にキーワードを打ち込むような演出をして、公式サイトにアクセスを促していますね。
数年前、合成防腐剤を使用していない化粧品のテレビCMで「腐る化粧品」という検索ワードが表示されたことが話題になりました。「腐る」というワードは衝撃的なものでしたが、化学物質に弱い肌の持ち主は商品の意味をすぐに理解したということです。
デリケートな肌を持つ人だけをターゲットにすることに成功したという意味では、マイクロマーケティングの成功例でもあります。
アーンドメディアによる広告戦略は?
アーンドメディアは消費者が主体となって情報を発信するSNSなどのメディアです。
口コミが情報を大きく拡散してくれますから、ハッシュタグによるキャンペーンが最近では主流となっています。企業アカウントをフォローして、指定のハッシュタグを付けて投稿することで商品が当たるというものです。
また、新聞や雑誌の面白い記事や広告を拡散目的で撮影してSNSにアップする人がいます。消費者が食いつくような宣伝をペイドメディアやオウンドメディアで行い、SNS拡散を誘導する。こういった展開もクロスメディアの一種と言えます。
クロスメディアは異なるメディアの足りない部分を補い合う
クロスメディアの良いところは、ひとつのメディアではカバーしきれない部分を補い合えるところです。
紙媒体の弱点をネットが補い、ネットの弱点を紙媒体が補う
紙媒体では、商品やサービスの説明をわかりやすく行うにはスペース的に限界があります。そのために、検索ワードでオフィシャルに辿り着くようにしているわけですね。逆に高齢者向けの商品はWeb発信よりも、紙媒体である程度完結しているほうが良いと言えるでしょう。
チラシにサイトURLやQRコードを記すことのメリットは?
チラシやパンフレットにQRコードなどの二次元コードを載せる場合があります。あれも検索ワードと同じでWebに呼び込むためのものですが、いちいち文字入力をしなくて済むという点で需要があります。画面の小さなスマホで文字入力を行うよりも、企業のサイトに直接アクセスできるのが便利という人も多いです。
ワンソースマルチユースの概念とは?
ワンソースは、ひとつの情報源、ひとつのデータ。マルチユースはいろいろな方法で使う、という意味です。一見クロスメディアとよく似ていますが、宣伝の相乗効果を狙った広告戦略とは異なり、制作効率の向上が目的です。
クロスメディアとメディアミックスの違いって?
クロスメディアという言葉が浸透したのはここ数年であり、それ以前はメディアミックスと言っていました。メディアミックスの場合、様々な複数の広告メディアを活用して商品の宣伝を行うというもの。
そういう意味ではクロスメディアと似ていますが、それぞれの相互作用は最初から狙ったものではありません。クロスメディアにおいては、その相互作用が最大の目的となるため、この2つは似ているようで違うものです。
これからの時代のクロスメディアの有り方は
クロスメディアはこれからの時代、ますます本格化していくことが予想されます。消費者は受け取る情報を様々な媒体から自分で選び、相互に利用しながら噛み砕いていきます。そんなクロスメディアをより活用していくための注意点とはどのようなものでしょうか。
情報の一元管理やデータベース化による商品データの流用
情報の一元管理やデータベース化によって、生産性が向上すると言われています。データ管理を徹底して、商品データをうまく多数のメディアに活用できるようにしましょう。
そして、それぞれの媒体で情報を完結させることなく、別の媒体へ誘導していくことも大事です。「チラシだけだとよくわからない。ネットで調べてみようっと」という思いを消費者に抱かせるのが正解です。
Web中心になっていくのは否めないがまだまだ紙媒体も有効?
前述の総務省のデータによると、インターネット利用率は60代以降になるとガクンと下がります。しかし、今の50代がネットを使いこなしているという現実があるわけですから、10年後は違った結果になるでしょう。
このままいけばもしかすると10年後は、69歳までのインターネット利用率が高まるということかもしれません。そうなれば、今後はやはり紙媒体の広告展開は抑えめになっていくのではないかという予想ができます。
また、スマートフォンやタブレット端末がこのまま進化し続け、デスクトップパソコンが減少する可能性があります。そうなった時には、クロスメディアの有り方はまた変わってくるでしょう。
クロスメディアに取り組むためのサポートを外注したい!
クロスメディアを活用したマーケティングを取り入れたいのであれば、多くの人材が必要となってきます。
マーケティングのプロによる企画立案やアドバイスが必要な時は
マーケティング業務の改革や、新しい戦略の立案などを行う際に、専門家の意見を取り入れることも必要です。その場合、マーケティング・コンサルティングを受けることも視野に入れてみてはいかがでしょうか。
広告制作、Web制作など、クロスメディアは業務がたくさん
クロスメディアは他にもいろいろと人手が要ります。広告制作やWeb制作、サイトやブログのコンテンツ作成、SNSの投稿や管理など、細かい業務がたくさんありますね。