始めて触れるITツールに対し、「使いやすい」と思ったことはありませんか?その理由は、『インタラクションデザイン』にあります。インタラクションデザインは、デザインに携わらない方にとって、あまり聞いたことのない言葉かもしれません。
簡単にいうと、「使う人とツールの心地よい関係を築く」ための考え方をいいます。近年、多く語られる分野になってきましたが、実は何年も前から存在している言葉でした。インタラクションデザインの、意味や概念の解説、身近な例などを挙げていきましょう。
インタラクションデザインとはどういう意味?
まずは、インタラクションデザインとは何なのか、解説していきましょう。
インタラクションデザインの言葉の意味は?
インタラクションデザインとは、英語で「Interaction design」と書きます。「Interaction」とは、日本語で「相互作用、相互の影響」という意味です。いきなり、「インタラクションデザインとは、相互作用です」といわれても分かりづらいでしょう。
もう少し詳しくいうと、「人間がモノに操作や行動を示したときに、モノが反応して起こるリアクションが一方通行にならずに、その人間に適したリアクションをする」ための過程です。
また別の言い方をすると、人間とモノ(システム)との入力と出力、対話的な操作方法について指す言葉、ともいいます。
つまり、インタラクションデザインとは、できあがったデザインそのものを指す言葉、と思われがちですが、操作感を意識する考え方や分野、だと捉えるといいでしょう。
インタラクションデザインはユーザーと「良い関係を築くため」
インタラクションデザインという言葉自体は、ビル・モグリッジとビル・バープランクの2人のデザイナーによって、1990年に作られた言葉です。
しかし、人間とコンピューターとの関係性を築く上で、1950年代頃からすでに潜在的に考えるべき分野でした。そう、実は何十年にも渡り「良い関係を築くため」に、人間とコンピューターは、課題を克服しようとしている、というわけです。
ここに来て、インタラクションデザインが、近年注目を集めるようになったのには、新しい工学技術が次々と生み出されるようになった背景があります。
事実、身の回りには、スマートフォンをはじめ、iPad、WindowsやMacなど、ほんの数十年の間に、急速に新しいITツールやデザインが増えました。多くの人にとっても、はじめて触れるモノが多くなったのではないでしょうか?
デザイナーは、人間とモノとの関係性を見つめるために、必然的にインタラクションデザインの考え方が注目されるようになったわけです。
インタラクションデザインはどんな例があるの?実は身近な存在!
ここでは、インタラクションデザインの身近な例について紹介しましょう。
インタラクションデザイン例1.「iPhone」
モノとの距離も、インタラクションデザインと関係があります。モノを操作するときに、私達は直接触れるか、もしくは間接的に触れるかで操作していますが、間接的であるほど、煩わしさを覚えるもの。
というのも、作用する位置と、効果が出る位置の距離が遠くなるほど、間に挟む要素が多くなり、複雑化するためです。
その点、iPhoneは、画面全体がカーソルのように操作でき、画面の中のアプリや入力画面を、直接触れられるデザインになっています。画面と指先にズレがなく、連動しているため、体の一部のように使える、インタラクションデザインの例といえるでしょう。
インタラクションデザイン例2.「電子マネー」
電子マネーは、専用のプリペイドカードや、スマートフォンで支払いが可能です。
それに対し、現金では「財布からお金を取り出す」→「お金を渡す」→「お釣りを受け取る」→「財布をしまい込む」と、一連の動作があります。
これらの動作で、頭の中では「支払いがちゃんと完了した」と認識されますが、電子マネーでは、お金を持つ感触が省かれるため、お金を支払った感覚が薄くなります。
そこで、必要になるのが「音」の存在です。プリペイドカードを、電子マネーの読み取り機にかざすと、支払いが完了した音が鳴る、電子マネーが足りなかったら、エラー音が鳴る、といった具合です。
この音が鳴ることで、ユーザーの中で「支払が完了した」と、認識されます。こういった、フィードバック音も、インタラクションデザインから生み出された例です。
インタラクションデザイン例3.「ノートパソコンとマウス」
ノートパソコンとマウスも、インタラクションデザインを意識して、作り出されたデザインです。
というのも、ノートパソコンとマウスを世界ではじめてデザインしたのは、インタラクションデザインの言葉を生み出した、ビル・モグリッジとビル・バープランクであるからです。
折り畳めてどこでも運べるノートパソコンと、手にフィットするマウス。今ではどこにでもあるノートパソコンとマウスですが、発達した工学技術も、ユーザーが使える形でなければ意味がなかったわけです。
その他のインタラクションデザイン例
IT以外にも、インタラクションデザインは身の回りにあります。例えば蛇口の形は、ハンドル型かレバー型であるかで、使いやすさの基準が異なってきます。
スマートフォンの電話番号の配置も、使いやすさを考慮して、上から1,2,3と定められていますし、電卓の数字配置も、最も0を使うため、左下から0以降続く数字が置かれています。
デジタルからアナログまで、幅広くインタラクションデザインは反映されています。
インタラクションデザインは専門家に外注依頼するのが賢明!
インタラクションデザインは、単なる形としてのデザインだけではなく、美しさや動き、音など、様々な要素と深い関係があります。
そのため、インタラクションデザインの定義自体が、曖昧に感じられてしまうかもしれませんが、やはり抑えておくべきポイントがあります。
ここでは、インタラクションデザインを外注依頼したいと考えている方のために、大事な要素や、どういった外注先に依頼すべきかについて、簡単に解説しましょう。
インタラクションデザインで大事なことは?
どんなユーザーが、どんな風にモノに関わり、どのようにフィードバックできたか?と、インタラクションデザイナーは、ユーザーのペルソナを想定することです。
また、インタラクションデザイン研究者による、インタラクションデザインにとって必要な要素があります。
それによると、ユーザーに負担にならない量の情報をもたらす「言葉」、言葉を視覚で補う「視覚要素」。 さらに、ユーザーとモノが接する「物質あるいは空間」、ユーザーがモノを使っているときに感じさせる「時間」、製品に対するユーザーが抱く感情などの「行動」。これらがインタラクションデザインで、大事な要素とされています。
一見、抽象的な要素と思われるかもしれませんが、ユーザーがどう感じるか?どうフィードバックされるのか?などの疑問を持つことで、インタラクションデザインに反映させることが大事です。
インタラクションデザイナーに外注依頼しよう
専門的な視点が必要なインタラクションデザインを、自社内で完結させるのは容易なことではありません。
そこで、デザイン系の開発を得意とする、外注に依頼することをおすすめします。インタラクションデザインは、専門の「インタラクションデザイナー」に依頼するといいでしょう。
また、インタラクションデザインと関係のある、「UI」「UX」「Webデザイナー」を得意とするデザイナーも、探しやすくておすすめです。
インタラクションデザインを専門家に外注してユーザーと良い関係を築こう!
ユーザーとモノの間にある、インタラクションデザインの概念は、現代において、切っても切り離せない概念になりました。
それは、ユーザーにとってもデザイナーにとっても、「インタラクションデザインであること」が、すでに当然になっています。会社のホームページ一つとってみても、Webデザインにインタラクションデザインを取り入れることで、ユーザーのリピーター率が上がります。
ユーザーと良い関係を築くために、インタラクションデザインを専門家に外注してみてはいかがでしょう?