タックスプランニングとは、一言でいえば企業の税金対策のことです。日本では「税金対策=節税」という図式でとらえられがちですが、企業におけるタックスプランニングとは単なる節税対策にとどまりません。企業におけるタックスプランニングとは、健全で安定した経営基盤を築くための経営戦略のひとつなのです。
なぜ企業にタックスプランニングが必要なのか
先ほど、タックスプランニングとは経営戦略のひとつであるとお話ししました。日本の企業では税金対策は経営上の事業戦略とは別次元で考えられる傾向が強くありますが、適切なタックスプランニングは企業に利益と成長をもたらすのです。
世界的企業であるアップルやグーグルも、巧みなタックスプランニングを行うことで有名です。
また、日本でも利用者の多いアマゾンも、日本の法人税を納めていないことが話題になっていますね。先進的な企業ほど、将来発生する税金に対して適切な対策を取り、利益を追求し続けているのです。
そもそもタックスプランニングとは何か
将来発生する法人税などの税金に対して、計画的に対策を立てて企業の利益を上げる税金対策がタックスプランニングです。
常に最新の税制に合わせて適切な対策を講じておかなければ、必要なときに必要な納税額を準備できないばかりか、多額の納税によって資金繰りが急に悪化する可能性もあります。企業の経営状態を健全に保つためには、適切なタックスプランニングが必要なのです。
タックスプランニングは単なる節税対策だけにあらず!
タックスプランニングにはさまざまな手法がありますが、本来の目的は企業にとって長期的な利益を上げることです。一時的に納税額を減らして利益を得るような節税対策だけをタックスプランニングととらえてはいけません。
たとえば、法の隙間をつくような節税は企業に成長をもたらさないうえ、税務調査で否認されたり、将来的に税制が変わった際にしっぺ返しを受けたりするリスクを秘めています。
過去に行った節税対策が未来において裏目に出たり、無意味なものになったりする可能性もあるため、小手先の節税対策には踊らされないようにしましょう。タックスプランニングで追及するべきは、一時的な利益ではなく、長期的な利益なのです。
最適なタックスプランニングこそ企業の利益を作る
企業にとって最適なタックスプランニングとは、企業の経営戦略にどれだけマッチしているかどうかで決まります。単純に将来の課税所得を予想して納税額を計算し、払うべき税金を少しでも安くできないかを考えるのではありません。
現在の税制と企業の状況をふまえたうえで、企業の将来にプラスになる経営戦略を立てていくことが最適なタックスプランニングなのです。最適なタックスプランニングができている企業ほど成長し、継続的な利益を生み出せるようになるのではないでしょうか。
タックスプランニングの具体的内容やメリットを知ろう
タックスプランニングには大きく分けて「一時的な利益をもたらすもの」と「長期的な利益をもたらすもの」の2つがあります。
何度も述べてきたとおり、本来タックスプランニングで追求するべきは「長期的な利益」です。具体的にどのようなものがあるのか、メリットと合わせてご紹介します。
タックスプランニングの具体的内容とは?
長期的に利益をもたらすタックスプランニングの代表例として、従業員や役員の退職金を節税しながら効率的に準備するという方法があります。
退職金についてはさまざまな優遇措置が用意されているため、小規模企業共済などでですでに取り組んでいる企業も多いでしょう。また中小企業であれば、一定の条件を満たす研究や設備・人材への投資に対して税制上の優遇措置が設けられており、こちらもうまく活用したいところです。
退職金にしても、設備投資にしても、共通するポイントは「企業の将来にとって必要な支出(投資)を節税に使う」ということです。
納税を避けるために無駄な支出(浪費)をするのではなく、あくまで企業の将来にとって必要な支出(投資)になるかどうかを見極め、長期的な視点で考えるようにしましょう。
タックスプランニングがもたらすメリットとは
タックスプランニングの1番のメリットは、税務と経営という2つの視点で長期的な利益を追求することにより、フリーキャッシュフローが拡大することにあります。フリーキャッシュフローが潤沢にある企業ほど、健全な経営状態を保ちやすくなり、企業価値も高まります。
企業というものは、売り上げを伸ばしていくほどに抱える人材も税金もリスクも多くなるものです。最適なタックスプランニングによって、長く続く安定した企業を目指しましょう。
企業経営を左右するタックスプランニングこそ専門家に依頼しよう
タックスプランニングには税務知識だけでなく、経営的な視点も必要です。知識と経験を持ち合わせた専門家にタックスプランニングを依頼する方法をご紹介しましょう。
タックスプランニングは税理士に依頼しよう
企業経営において、最新の税制に精通した税理士との連携は欠かせません。税理士への依頼は、顧問契約なしでスポットでも依頼可能です。顧問税理士を雇うとなるとそれなりに費用が発生するため、まずはスポットで依頼してみるのもひとつの方法でしょう。
タックスプランニングの依頼に適した税理士とは
タックスプランニングを依頼する際に気をつけたいのが、税理士にも得意分野と苦手分野があるということです。税理士を探すときは、企業でのタックスプランニング経験や企業経営に対する知見がどの程度あるのかを確認し、優秀な税理士に依頼するようにしましょう。
優秀な税理士を探すなら、クラウドソーシングもおすすめ
優秀な税理士とは、あなたの企業の将来を真剣に考えられる税理士のことです。税務調査を恐れるあまり保守的なタックスプランニングしか提案しなかったり、小手先の節税対策を提案してきたりするようでは企業の将来を真剣に考えているとはいえませんよね。
しかしコネクションがない状態で優秀な税理士を1から探すのは大変ですし、一度依頼したり顧問契約を結んだりすれば気軽に変えることもできません。税理士探しに悩んだら、さまざまな税理士が数多く活動しているクラウドソーシングを活用しましょう。
クラウドソーシングとは、インターネット上で仕事の依頼をする人と仕事を請け負う人をつなぐマッチングサービスです。働き方改革に伴い、優秀な人材ほど自由な働き方を求めてクラウドソーシングに集まっています。
クラウドソーシングの中には、税理士事務所に所属しながら副業として活動している税理士もいれば、フリーランスで活動している税理士もいて、経験や得意分野などそれぞれが持つ背景は多種多様なのが魅力です。
ひとつのサイトで複数の税理士を比較して探せるうえ、依頼前にオンライン上でやり取りができるため、より企業に適した税理士を探しやすいのではないでしょうか。