海外の市場調査をおこなう方法と調査すべき内容のポイント7選

海外の市場調査をおこなう方法と調査すべき内容のポイント7選

海外市場調査(海外リサーチ・現地調査)とは?

海外マーケティングリサーチ
海外への進出を検討するきっかけは、企業ごとに異なります。自社工場などの生産コスト削減や新規事業の立ち上げなどを中心に、市場調査をはじめることもあるでしょう。

海外進出の際に重要な点は、「事業戦略」と「進出の目的」。そのためにも、ここで紹介する該当国の情報、つまり海外の市場調査をしっかりとおこなうことです。海外へ進出したものの、情報が足りなかったり想定外なことが続いたりすると、1~2年で引き揚げざるを得ないということにもなりかねません。

結果が見えるまでは数か月から数年かかることもありますが、事前に現地調査を含めた海外の市場調査で情報をつかんでおくなら、スムーズに始めることも可能になるでしょう。

営業も日々の業務も、支店や場所が変わると進めにくいということもあり得ます。事業所や勤務先が海外になれば、空気も畑も違う場所になるわけです。そこで事業を始め、海外で事業を成功させるためには、事前の市場調査をしっかりと行う必要があります。

国内では通常実施されていることが、海外では費用が掛かることもあれば、税金や法的な義務として制定されていることもあります。現地の政治や経済、社会情勢に加え、法規制や税制、マーケティングなど、市場調査を事前におこなうことが必要なのです。

海外で事業を成功させるために欠かせない市場調査とは

文化も話す言葉も違う海外では、商習慣も異なることが一般的です。そこで、国内の自社で行っているのと同じ仕事、もしくは自社の業務や利益を上げるための事業展開をおこなうには、市場調査が欠かせません。大まかな分類として、以下の7つのポイントを調査し、自社のスタイルに合わせることができるかを考慮することが必要になるでしょう。

政治・経済・社会情勢

メディアやニュースだけでは「安全」だと感じなくても、政治や経済、社会情勢が安定している「日本」。海外で事業を始めるとなると、社員をその国へ出向させたり、転勤させたりすることになります。

マーケティングを計画している国によっては、女性が独り歩きできないような国や、社会情勢の影響を受けてデモの度に事業所を休業にしなければならない場所もあります。観光で行くのとは異なり、事業のために社員が生活することになる海外について調査しておくのは、安全や保護にもなる重要なポイントです。

法規制・税制

各国とも異なる法律が制定されています。たとえば、営業活動をおこなう場合や、企業の拠点となる場所で就労するためには、VISAを取得する必要があります。

また、滞在期間にもよりますが、商用であれば打ち合わせであっても申請が求められる国もあります。さらに、海外での工場や事業所の利益には、税金が課されますし、出荷する場合には輸出入に関わる税金や関税も必要となるでしょう。

ビジネスパートナー

海外での会社・工場の設立で、営業を必要とする事業について、営業方針を提示したり、限定している場合もあります。そのため、該当国出の業務をスムーズにするため、現地の法律に詳しい弁護士を立てておく必要もあります。

また、税金がかかわりやすい海外からの輸出は、現地の工場の流通に大きく影響します。「Tax Free」と呼ばれる免税制度のある海外の国を使用していても、日本への輸入では申告税金の支払いが必要となり、商品ごとに税率が異なる場合があるので注意が必要です。

さらに、海外では、現地の会計事務所や税務関係者を監査役として「監理」をおこなわせるように義務づけている行政もあります。各企業の利益や税金が、適正に支払われるかを見届ける意図もあるようです。

マーケティング

日本の製品や食品は、世界でも高く評価されるため、同業者が海外進出をすると調査を始める企業は少なくありません。しかし、海外のマーケットは、日本とは異なります。日本で高く評価され売れていたとしても、海外で同じように売れるとは限らないもの。

外国人に万人受けするかは別問題になります。そこで、事前の市場調査で念入りにマーケットを調べるのは大切です。あわないからと撤退したり、マーケティングの見直しばかりでは、時間も費用も無駄になりやすいかもしれません。進出を予定している国に合わせたマーケティング戦略が必要になります。

人材

海外の会社や工場で働く人のほとんどは、現地の人、つまり外国人になります。文化や言葉が違うだけでなく、商品や品質管理に対する見方も大きく違うことも少なくありません。

海外の事業所では、海外製作では日本で販売できるものでなかった、品質管理のためにトレーニングしてもおすぐにやめられてしまうなど、現地採用の人材でのトラブルや悩みは尽きないものです。現地の人材の採用や使用をどのように進めていくかも、市場調査のポイントになります。

資金

米ドルの為替の流れは、日本円と動きが異なります。営業や販売を目的とした調査の場合は、「収益等の税金」、「事前納入費用」、「代理店経費」、そして、「出資者(スポンサーやパートナーシップ)などの契約費用」などが必要となります。海外での会社設立や工場の開設では、資本金額に応じて、初期費用や海外進出で必要な金額が高額になる場合もあるので注意が必要です。

また、海外での会社設立には、現地の法規に合わせて「登記(Business Registration)の費用」や「資本金」、「事務所の開設費」、「口座開設」に必要な費用などをデポジットとして納めることが必要になる国もあります。こうした費用にかかわる為替の変動や、現地の銀行での資金調達をした場合の金利やレートなどの情報も必要でしょう。

その事業の競合

海外マーケットでの主力事業等について把握しておくことも必要です。競合の事業がどのくらい存在し、販売価格や相場がいくらになっているのかという点は、営業に大きく影響します。

自社で可能な調査方法。海外市場調査で外注以外の方法は?

海外市場のマーケティングリサーチを外注するなら

世界で共通の英語が話せれば、海外進出やマーケティングがスムーズに進むわけではありません。自社で市場調査おこなう場合、現地でのコミュニケーションを必要とする言語や地理などの地元の情報、どのくらい調査期間を設けるかについても調べておくことがおすすめです。自社で調べる場合は、JETRO(日本貿易振興機構)などのサイトからも情報を得ることもできるでしょう。

言語

「英語が話せる」「英会話が可能」といっても、どの程度話せるのかがとても重要なビジネスの世界での英語力。外資系企業やMBAなどビジネスで英語を使用するには、TOEICで700点を必要とする企業が多いようです。ときには、800点越えが要求されることも少なくありません。

海外拠点が英語圏であれば、第2言語として英語だけでも問題はないかもしれません。しかし、アジアを含め英語が通じない現地では、人材育成やマーケティングにも第3言語として現地の言葉が必要になることもあります。

地理

海外事業部や工場の住所(位置)など、現地での地理などの情報も市場調査に含めておきたい情報です。たとえば、輸出入のときに工場や海外拠点から港までの距離や、空港からの距離などは、出荷をスムーズにおこないスケジュールを組み立てるのに必要になります。

あまりにも遠いと、予定していた貨物船に乗せられず、出荷や納品が遅れたり、顧客からのクレームや信用失墜などの問題につながったりすることもあり得ます。日本ほど交通の便がよくない場所の方が、工場の維持費が安かったとしても、輸出入に時間がかかりすぎると収益に影響することもあります。JETROのサイトでは、各国の都市の情報も掲載されています。

期間

企業やマーケティングの内容によって異なるとはいえ、数日~1週間程度で基本情報を得ることも可能です。市場調査では、データとして掲載されているものも多く、資料として集めるのは早く進められることがあります。

しかし、現地の状態は、季節や時期によっては、稼働しにくいこともあり得ます。短期間で調査できたとしても、通年でどの程度の稼働が可能になるかを調べるのも重要です。

海外市場調査で依頼できる一般的なメニュー

海外の市場調査において、外注に依頼する方法を採用する場合に、調査に含まれる一般的なメニューについても把握しておくことがおすすめです。調査方法は、調査会社により異なりますが、情報として得ることができる一般的な項目を紹介します。

市場調査に含まれる一般的なメニューとは

情報収集

海外拠点とする国の市場調査の要となり、海外のマーケティングを知り、海外への進出を検討するうえで必要な情報になります。

アンケート・回答

マーケティング戦略に重要なポイントとなるため、現地ユーザーの正確な情報を得る方法のひとつです。

写真撮影・動画撮影

習慣や文化の違う海外において、現地での人材確保やコミュニケーション方法、ライフスタイルや費用を積算するうえで役立つ情報になります。

レポート作成

上記3つをまとめ、レポートとして報告してもらう調査方法です。

海外の市場調査は事業を成功させるためにも有益!

海外は、ビジネスでも畑も違えば、空気も違う場所です。そこで事業を始め海外で事業を成功させるためには、市場調査をおこなうことで「事業戦略」を立て、「目的を持って進出」することができます。

市場調査は、外注の場合プロフェッショナルな専門業者への依頼可能がです。調査方法はさまざまであっても、海外への進出には有益であり、海外で事業を成功させるためにも重要なのは市場調査と言えるでしょう。