フリーランスの確定申告は、白色申告より青色申告一択の理由

フリーランスの確定申告は、白色申告より青色申告一択の理由

確定申告の季節が近づいてまいりました。今年からフリーランスや副業を始めた人だと、何をどうしていいかわからないことかと思います。でも絶対にやらないといけない確定申告。

フリーランスは確定申告を行なう必要があり、確定申告には白色申告と青色申告があります。白色申告の方が簡易的であり、初心者や兼業のフリーランスとして働く人にお勧めといわれてきました。では本当に白色がお勧めなのでしょうか。

初心者が挑戦する確定申告、青色申告と白色申告はどちらを選ぶ?

フリーランスには白色申告がおすすめの場合がある

フリーランスとして働く人は毎年確定申告を行なう必要があり、確定申告には青色申告と白色申告があります。青色申告と白色申告はどう違うのかと言えば、色々な点で白色申告の方が簡易的な方法となります。

白色申告を行う際には、事前に税務署に届け出を行なう必要はなく、領収書を保存しておくだけで記帳する必要もありません。

確定申告の際には必要経費を算出し控除を受けることができますが、フリーランスを始めたばかり、あるいは副業的にやっているため総売上に対する控除を受けるべき金額も少ないという人は、白色申告によって経費をおおまかに計算するだけで、申告することができます。

フリーランスの義務となる確定申告とは?

すべての人が、国民の義務として納税の義務を負っており、様々な場面で色々な税金を支払っています。

税金の中には所得税があり、サラリーマンなどの給与所得者はあらかじめ源泉徴収という形で所得税を徴収されていますが、 フリーランスは個人事業主に当たるため、自ら確定申告を行ない納税する必要があります。具体的には、フリーランスとして年間20万円を超える収入があった場合には、確定申告の義務が生じます。

ただし、個人事業を営むにあたっては、事業上の必要経費が生じるものであり、確定申告に当たってはこれを計算し申告することによって、控除を受けることが可能です。控除の額によって、白色申告と青色申告のどちらがよいかが分かれます。

確定申告の際には控除が受けられる

確定申告の際に考慮すべきは、控除についてです。控除とは、事業を営むうえで生じた必要経費を税額から差し引くことができる金額です。

控除がある場合には、それだけ納税額を減らすことができるのです。例えば、私の様にライティングをしているフリーランスは、ライティングの仕事で使っている色々なものを経費として考えることが出来ます。

仕事で使っているパソコンの購入費、インターネットの回線費用やプロバイダーの料金、参考資料として購入した書籍代、調査のために外出した際の交通費、電気代や光熱費や家賃の一部などがあります。

もちろん、働き方は人それぞれなので、必要経費も個人によってばらつきがあることでしょう。そこで、白色申告と青色申告と使い分けを考えることとなります。

確定申告における白色申告と青色申告の違い

白色申告と青色申告には、控除に関して大きな違いがあります。白色申告は特別控除を受けることができないのに対し、青色申告は10万円もしくは65万円の特別控除を受けることができます。

ただし、白色申告の場合には特別控除が受けられない代わりに、記帳義務がないというメリットがあります。青色申告の場合には、10万円の特別控除を申請する代わりに簡易簿記を付ける義務があり、65万円の特別控除を申請する場合には複式簿記を付ける義務が生じます。

この違いが、冒頭でも述べた「白色申告は簡易的」ということです。しかし、これだけではフリーランスとしてどちらの申告がよいのかということが分かりにくいため、白色申告が向いているフリーランスについて考えてみましょう。

白色申告が向いているフリーランスはどんな人?

申請が簡易的な白色申告ですが、どのようなフリーランスに向いているのでしょうか。色々なパターンが考えられます。

例えば、事務経理に明るくない人にとっては、青色申告のための帳簿作成はなかなか労力と時間がかかるものです。 これを煩わしく思い、白色申告を選択するフリーランスは少なくありません。

次に、控除を受けられる金額の多寡によっても使い分けが可能です。例えば、年度の途中からフリーランスとして働き始めた人は、年度内の売上も少なく、控除の対象となる経費も少なくなるものです。

また、フリーランスの初心者であったり、副業的に取り組んでいる人も、売上が少ないものです。そのようなな人は、売上総額に対する経費の割合が低くなるため、控除を受けるために時間をかけて経費の計算をするのは、割に合わない作業となります。そのため、白色申告は初心者や副業のフリーランスにお勧めの方法ということができます。

白色申告でも記帳が義務付けられた

ここまで、初心者フリーランスの確定申告は、白色申告が楽でいいよ! と紹介してきました。すみません。前言撤回して、話を真逆にひっくり返します。

恐ろしいことに、平成26年分の確定申告から、白色申告においても記帳の必要が生まれたのです。あれれ。唯一のメリットだった記帳不要=楽チン確定申告の存在が消えてしまいました。

もう一度繰り返しましょう。白色申告は、控除のメリットが少ない=節税に繋がらない=税金として納める額が減らない=手元に残る現金が減るかわりに、記帳という手間がいらない方法でした。

青色申告に比べてラクなイメージがありますが、平成26年(2014年)1月以降の取引については、事業所得、不動産所得または山林所得を有するすべての白色申告者に対して、記帳と帳簿等の保存が義務付けられたのです。あらら。

白色申告のメリットがゼロになったわけではない

白色申告者は、平成25年(2013年)12月まで、帳簿の作成と帳簿等の保存が義務ではありませんでした。帳簿をつくらないで確定申告が完了したので、『帳簿作成の手間がかからない』という大きなメリットがあったわけです。

ところが、平成26年(2014年)1月以降の取引からは、帳簿の作成および帳簿等の保存が義務づけられました。大事なことなので3回も書いてます。つまり帳簿作成において、青色申告者と近しい労力が発生することになり、最大のメリットが失われたわけです。

じゃあ白色申告のメリットはまったくないかというと、そうでもありません。薄っすらと残っている白色申告のメリットは、青色申告に比べて決算書のボリュームが少ない&帳簿が簡易で済む、届出が必要ないこと。「薄っすらと残っている」と書きましたが、まだまだ思いの他にメリットがありましたね。

白色申告、デメリットも変わらず存在します

青色申告と比較したときに、白色申告のメリットが減ったわけですが、デメリットはどうでしょう。最大のデメリットである、青色申告に比べて『節税につながる特典が少ない』ことは、きちんと引き継がれています。

青色申告のように、所得から差し引ける特別控除はありません。事業の赤字を翌年以降、3年間繰越すこともできません。さらに青色申告の特典は、所得税だけでなく、住民税や健康保険料などにも影響します。白色申告には、所得税以外のメリットもないというデメリットがあります。

白色申告者の帳簿

白色申告者に帳簿作成と保管が義務付けられたわけですが、どんな帳簿が必要になるのでしょうか。大前提として、青色申告者と同じように、1月から12月までの期間の帳簿作成・保存の必要があります。

ただし白色申告の帳簿は、青色申告と比較したら極限にシンプルな記帳が可能です。言っていれば、家計簿のようなもの。必要以上に構えなくて大丈夫です。

法定帳簿とは

白色申告者が必ず保存する帳簿のことを、法定帳簿と呼びます。法律で定められた帳簿ってこと。内容は、事業の売上や仕入、経費などが記載されます。先述したように簡易でかまわないとされており、例えば小売業の現金売上などは、1日の合計金額をまとめて記載するだけでも問題ありません。

任意帳簿とは

法定帳簿と別に、もうひとつ任意帳簿という存在があります。任意帳簿とは、業務にかかる取引について作成した帳簿のこと。法定帳簿ではないほうの帳簿、と思えておけばこの際はOKです。売掛帳や固定資産台帳などが該当します。

白色申告と青色申告で作成する帳簿の比較

青色申告で65万円控除を受けるには、複式簿記による帳簿を用意する必要がありますが、白色申告では収入金額や必要経費がきちんと記帳されているだけでかまいません。ただし記帳にあたっては、数字の基となっている請求書や領収書の整理は必要となります。

それを考えると、実際の手間は簡易簿記を用いる10万円控除の青色申告とそれほど変わりません。あ。青色申告にも大きく2種類ありまして、控除額が最大65万円になる場合と、控除額が最大10万円になる場合です。帳簿の記入方法だけみると、65万円控除を狙うなら複式簿記、10万円控除でOKなら簡易簿記。白色申告の場合でも、簡易簿記での記帳が必要です。

帳簿作成と税制メリットで考える、青色申告と白色申告の違い

本稿の前半で紹介してきた、白色申告は帳簿作成がないからラッキー! というメリットはなくなりましたが、いくつかの楽チンは残っていました。逆にデメリットは相変わらず健在。

帳簿作成の有無に差がなくなったところで、青色申告と白色申告の一番の違いは、税制メリットの有無です。青色申告は白色申告と比べて複雑な帳簿をつける代償として、税金が安くなる特典が用意されています。

税制メリットを享受できる青色申告者になりたいなら

白色申告と比べて面倒な事務処理があることを理解した上で、それでも青色申告をしたいのなら。まず必要になるのが、事前の税務署への届け出です。確定申告する時期になって、「おら、青色申告さするだ」と宣言してもダメ。

開業日から2か月以内の届出が必要になります。もしくは白色申告から青色申告に変更するという人の場合、、その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を税務署に提出しなければなりません。提出が1日でも遅れると、青色申告できるのが1年先に延びてしまいます。その辺は、お役所的な処理をされる、というかお役所が相手ですので。

ということで、基本的にはフリーランスや個人事業主が確定申告をする場合、青色申告をお勧めします。税制メリットよりも簿記の勉強時間&帳簿作成時間が惜しいという方の場合は、白色申告でいいんじゃないでしょうかね。