助詞の種類と使い方を覚えれば、文章は読みやすくなる

助詞の種類と使い方を覚えれば、文章は読みやすくなる

文章を書く上で、助詞の利用は避けられません。しかし多用し過ぎると、理解を妨げる原因になります。特に、同じ助詞が連続すると、読みにくいだけではなく、稚拙な文章に見えてくるから注意が必要です。本項では、助詞の種類や使い方について、具体的な例文と分類を紹介します。また助詞の『の』について取り上げ、理解してもらう文章を書くには、助詞の使い方が重要だという理由を突っ込んでみました。

助詞について意味と使い方をマスターする

ところで助詞って何のことか理解できているでしょうか。女子でもなければ、女史でも徐氏(たぶん中国の人)のことでもありません。

助詞(じょし)とは、日本語の伝統的な品詞の一つである。他言語の後置詞、接続詞に当たる。
引用:Wikipedia

こうなると、「品詞ってなんだよ……」という疑問も生まれてきますね。調べておきましょう。

品詞(ひんし、英: parts of speech[1])は、単語を文法的な機能や形態などによって分類したもの。
引用:Wikipedia

いやー、びっくりするほど解決しませんでした。超ざっくりまとめると、品詞というのは単語の分類、助詞というのは伝統的な単語の分類。助詞がやっぱりわかりませんね。

助詞は名詞とセットで使われる

文章を作成するときに、必ずと言っていいほど、動詞や形容詞が出てきます。さらには名詞も多用されがち。動詞と形容詞と名詞が一文に出てくるとき、名詞にくっ付く一文字のことが助詞だと理解しておきましょう。『が』とか『を』とか『に』がそれです。

私がパンを食べる。

例文の場合、パンの前後にある『が』と『を』ですね。名詞に助詞をくっ付けたことによって、動詞・形容詞との意味関係を示します。他にも名詞同士の意味関係を明示するために『の』や『と』が用いられることもあります。

私がヤマザキのパンを食べる。

『ヤマザキパン』というふうに、どんなパンなのか、どこのパンなのか、ときには誰のパンなのかを説明するときに使うやつです。

助詞は単独で登場することはない

さらに解説しておくと、助詞は単独で用いられることはありません。「の!」とか「が!」であったり「や!?」みたいな一文ってないですよね。オノマトペ的に用いられることはありますが、それは助詞として使われているわけではありません。助詞は『助ける』という感じが充てられていることからも想像できますが、何かを(この場合他の品詞)助けるために存在するのです。名詞や動詞、形容詞に意味を与えたり文法の関係を示すために、便利に使われるやつだと覚えておきましょう。

助詞は四種類存在する

乗りかかった船なので、もうひとつ助詞についての常識を記載してみましょう。日本語の助詞には、大きく4種類が存在します。

助詞の分類1:格助詞

主な使われ方は、名詞にくっ付いてきます。助詞を従えた名詞と、他の語との意味や関係を明示する場合です。他の語とは、他の名詞であったり動詞や形容詞の場合があります。本当にどうでもいい例文を記してみました。

  • 木々
  • 浜田さん松本さん
  • グラス中にビールが注がれている
  • 昨晩録画したテレビ番組見る
  • 早朝からカレーライス食べた

助詞の分類2:接続助詞

用言や助動詞にくっ付いてきて、接続助詞より前の語句を後の語句に合体させて、前後の語句の関係を示します。難しい言い方をすると、従属節の述語となっている動詞・形容詞・名詞について、主節との意味関係を示す役割があります。まじで難しいですね。例文を見たらスッキリするかも……しないかもしれませんが記載します。

  • 会社きてタイムカードを押します
  • 目が覚めたので起床した
  • 目が覚めたのに起きなかった

それぞれが接続助詞で繋がれているのですが、2個目と3個目に注目してください。『ので』『のに』という接続助詞を用いて、前後の文節を繋いでいます。『ので』を用いることで原因を表し、『のに』を用いることで期待に反することを表しました。接続助詞の使い方によって、前後に文節の繋がりを意図通りに変化させることができるんですね。

助詞の分類3:副助詞(取り立て助詞、取り立て詞)

助詞の時点でお助け品詞なのに、さらに副がついたことで下っ端感が半端ありません。でも使い方としては、あらゆる語句にくっ付いて、特別な意味を表すことができます。

  • このパン食べました
  • このパン食べました
  • このパンだけ食べました
  • このパンなどを食べました
  • このパンまで食べました

青字になっている部分が副助詞ですが、『は』『も』『だけ』『など(を)』『まで』の用い方によって、どの『パン』を食べたのかに異なる意味が生じるのです。面白いですね。

助詞の分類4:終助詞

終助詞は他の分類と異なり、文末に用いられるケースがほとんどです。話し言葉で登場することが多く、話し手から聞き手への伝達内容や態度を表すことができます。

  • パンは美味しいです
  • パンは美味しいです
  • パンは美味しいです
  • 『よ』を用いれば、話し手というか食べ手の感想を伝えていることが表現できますし、『か』を使うことで疑問を表し、『ね』にすれば共感や同意を求めることができます。

    助詞『の』が続くと意味不明ワールドに

    助詞の種類が理解できたところで、気をつけたい使い方を紹介します。助詞の活用で注意が必要なのは、連続して同じ助詞を用いないこと。一文の中に同じ助詞が連続で登場すると、語句の関係が理解しにくくなるためです。

    助詞『の』が連続する例文

    理解が難しいということを感じていただくために、同じ助詞が連続する例文を書いてみます。特にやりがちなのが、『の』を多用するパターンです。

    私の好きなパンの小麦粉の生産地の農家の数は地域にあるパチンコの店舗数の1.5倍程度と教えてくれたのは誰のお父さんだったか忘れてしまった。

    順番に読んでいけば理解でいないことはありませんが、やっぱり読みにくいと思います。しかも助詞『の』には、複数の意味があるんです。ところが読み手は、(もしかしたら書き手も)どの意味合いかを読みながら考えてくれません。でも頭のどこかに引っかかるから、読了するのに負担がかかる。

    もうひとつ。お恥ずかしいことに、同じ助詞が連続していると、どうしても稚拙な文章に見えてきます。理解しにくく、かつ稚拙な文章。ライターとしてお金をもらうのであれば、ありえない文章です。お金をもらっていなくても、ビジネスで稚拙な文章は致命的。ラブレターだって、「あ。この人ってちょっと頭が弱いのかも」と思われたら、お付き合いに進展するのは難しいでしょう。

    同じ助詞が連続することで発生する、理解のしにくさと稚拙さを避けるなら。助詞の部分を他の助詞や言葉に言い換えるのをお勧めします。例文の場合は、

    私が好きなパンで使っている小麦粉の生産地にある農家数は、地域にあるパチンコ店数の1.5倍程度だと教えてくれたのは、誰かのお父さんだったが名前を忘れてしまった。

    とかなんとか。もともとが長ったらしい悪文なので、驚くほどスッキリさせることは難しかったです。それでも多少は理解しやすく、稚拙さも減ったのではないでしょうか。

    助詞の使い方をマスターすることで、理解しやすい文章であったり、稚拙に見えない文章がつくれるはず。現場からは以上です。