読める文章を書くなら、一文一義の鉄則を
文章作成を仕事することになって、最初に教わったのが『一文一義』でした。『一文一意』という言い方もするようですが、どちらにおいても意味は同じ。「ひとつの文には、ひとつの内容しか入れないようにしましょう!」ということです。
一文一義さえ守れば、上手か下手かはさておき、読める文章になると教わりました。文章が苦手と思っている人にとって、一文一義は魔法のツールかもしれません。でもどうして、一文一義で文章が読めるようになるのでしょうか。具体例を示しながら、わたしなりの解説をしてみたいと思います。
一文一義って、どういうこと?
一文一義の意味については、冒頭で答えを書いてしまいました。わたしの理解が間違っているといけませんので、インターネット上にある語句解説を引っ張ってみましょう。
一文一義(いちぶんいちぎ)とは、ひとつの文章にひとつの事柄だけを書くことです。メール文章に限ったことではありませんが、文章は一文が長いと読みにくくなります。逆に短く書くと、スッと頭に入る、わかりやすい文章になります。
引用:書き方ができる人コム
上記は、この記事を書いている時点でgoogleの検索結果で一番に表示されたページから引用させていただきました。他の記事もたくさんありますが、どれも同様のことを伝えています。
わたしが冒頭で説明したように、「一文一義=ひとつの文に、ひとつの内容をいれること」という理解で間違いなさそうですね。
内容の詰め込みすぎが、読みにくい文章をつくる
いろいろな文章の解説で、一文一義が大事といわれています。では逆に、一文の中に復数の意味が込められていると、何が良くないのでしょうか。ひとつの文でたくさんのことを伝えられたほうが、お得な気がしなくもありません。
もしかしたら、ふたつくらいの内容であれば、ひとつの文にまとめてしまっても読みにくくはならないかもしれません。しかし内容が10や20もあった場合、やはり理解が進まなくなるのです。
ひとつの文に、復数の内容がある例を見てみましょう。
一文一義を無視した、読めない文章例
ご理解いただいていると思いますが、あえて意味の分からない内容で書いてみました。さすがにここまでひどい文になることは考えられませんが、大げさに表現すると上記のようになるわけです。
もし自分が例文のようなメールをもらったとしたら、取引しようと思えるでしょうか。わたしでしたら「うーん、なんだか面倒くさそうな担当者だからやめておこうかな……」と躊躇します。
ただし上記の悪文でも、順を追って回答していることから、必要な情報(らしきもの)は得られるのではないでしょうか。なるべく分かりにくい文を書こうと思ったのですが、まだまだわたしも未熟者のようです。
ご理解いただきたかったのは、ひとつの文にたくさんの内容を盛り込むと、理解しにくい&読み疲れてしまうという事実。ここは伝わったのではないかと期待しています。
一文一義を守ると、読める文章になる
前項の悪文を目にして、記事を読み進めることを止めてしまった方も多いのではとビクビクしています。
わたしが考える一文一義のメリットは、「読める」こと。理解をし難い長文が書かれていると、それだけで「読む気力」が削がれると思うのです。よって一文一義が守られていないと、「読めない」文章が出来上がってしまう。
逆説的に一文一義を守れば、内容の善し悪しや文学的なセンスだとかキラリと光る表現などは脇において、「読むことは出来る」文になるのです。
文章は「読まれないもの」「読んでもらえないもの」という前提に立つと、読み疲れする文は何の機能も果たすことができません。せっかく目にしてくれた人にストレスを与える、不要なものだと思います。
まずは一文一義の文章にすることで、読み疲れをさせない。その後に、内容や順番、単語選びに気を配ることで、理解してもらえる文章を目指していきたいものです。
最後にお約束的ですが、先述した悪文を少しでも読めるものに変えてみました。
一文一義で直した、読める文章例
一応、文字数も同じ程度に揃えてみました。読みやすくなっていないですかね? だとしたら……非常に残念ですが、とにかくお伝えしたかったのは、「ひとつの文に復数の内容が入っていると、読む気をなくす、意味がわからなくなる」ということ。
ひとつの文に、ひとつの内容。一文一義を守ることで、まずは「読める文章」になると信じています。現場からは以上です。