国民の半分以上が、フリーランスの時代

国民の半分以上が、フリーランスの時代

2027年、会社員よりもフリーランスが多い国

フリーランスという働き方が、日本でも徐々に広まってきた。クラウドソーシング大手ランサーズの調査によると、2017年のフリーランス人口は1,122万人。2016年の1年間で、前年比較で5%にあたる54万人のフリーランスが誕生したという。

アメリカはどうだ。5,730万人がフリーランスであり、前年比較で4.2%にあたる230万人の増加という調査結果(Freelancing in America: 2017)がある。この調査によると2027年には、フリーランスの人口がノン・フリーランスの人口を超えるというから驚きだ。

同調査結果を元に、アメリカのフリーランス事情について学んでみた。アメリカで起きたほとんどの物事が数年後に輸入されてくるのだから、きっと他人事ではないと思う。

まずはランサーズ社の調査結果を引用し、日本のフリーランスについて解説する。日本よりアメリカについて知りたい、という方は、『アメリカのフリーランスはどうなっている?』まで飛ばしていただきたい。

日本のフリーランスはどうなっている?

日本においてフリーランスという働き方への注目が高まったのは、2015年以降だろうか。2017年に政府が『働き方改革』を掲げてから、急激に盛り上がってきた感じがしなくもない。特に、副業、複業、兼業、パラレルワークという文脈から、広い意味でのフリーランスが注目されるようになった。

余談だが、働き方改革はぼちぼち下火になるんじゃないだろうか。2017年10月に実施された衆議院選挙において、自民党が政権を獲るために上げたアドバルーンのひとつに思えるからだ。選挙に勝利した今となっては……経産省と厚労省の押し付け合いにならないことを祈るばかり。

冒頭で紹介したランサーズ社の調査は、毎年3月に『フリーランス実態調査』と銘打って実施されており、2015年から発表を続けている。マクロミルのモニターを利用したWeb調査ということで、ある程度の公平性があるだろう。

同調査においてフリーランスとは、非常に広義な解釈がなされている。旧来のフリーランスといえば、会社に所属せず、法人でもなく、イチ個人として仕事を受注し、対価としての報酬を得る人を指していた。

アメリカのフリーランス人口という本題とは外れるが、事前の知識としてランサーズ社発表のフリーランス実態調査のデータを紹介する(数値引用元はすべてランサーズ実施の「フリーランス実態調査2017」)。

日本のフリーランスを、実態調査から紐解く

広義のフリーランスは、常時雇用されながら副業で報酬を得ている人を含む。正確には4分類されており、それぞれにユニークな呼称が付いている。

・副業系 すきまワーカー
常時雇用されながら副業としてフリーランスの仕事を行なう

・複業系 パラレルワーカー
雇用形態に関係なく複数社と契約ベースでの仕事を行なう

・自由業系 フリーワーカー
特定の勤務先を持たない独立したプロフェッショナルのワーカー

・自営業系独立 オーナー
個人事業主や法人経営者でひとりで経営しているワーカー

フリーランスタイプ別 労働力人口

各々の比率や稼いでいる金額、フリーランスとして働いている時間を見てみよう。まずはフリーランスタイプ別の労働人口数から。

副業系 複業系 自由業系 自営業系
人数:2017年 458万人 276万人 61万人 310万人
人数:2016年 416万人 269万人 69万人 310万人
比率:2017年 41% 25% 5% 29%
フリーランスタイプ別 勤続年数

続いて、フリーランスタイプ別の勤続年数は以下。

副業系 複業系 自由業系 自営業系
6ヶ月以内 20% 18% 19% 7%
2年以内 34% 26% 20% 0%
5年以内 25% 25% 19% 12%
10年以内 13% 14% 16% 22%
10年以上 7% 17% 26% 59%
フリーランスタイプ別 労働時間

続いて、フリーランスタイプ別の労働時間は以下。

副業系 複業系 自由業系 自営業系
平均 6.3時間 13.7時間 14.0時間 33.6時間
15時間以内 67% 35% 41% 7%
10時間以内 16% 21% 21% 10%
20時間以内 19% 19% 12% 7%
30時間以内 5% 11% 10% 12%
40時間以内 約2% 6% 5% 16%
40時間以上 約2% 8% 12% 48%
フリーランスタイプ別 年収額

ある意味、一番気になるフリーランスタイプ別の収入額。

副業系 複業系 自由業系 自営業系
平均額(年収に占める割合) 60万円(19%) 129万円(36%) 122万円(55%) 350万円(81%)
10万円以下 56% 26% 35% 5%
50万円以下 21% 24% 18% 6%
200万円以下 15% 29% 27% 24%
400万円以下 15% 13% 11% 29%
400万円以上 5% 8% 8% 35%

日本でもフリーランスが増えているのは事実

国内フリーランスに関するいろいろなデータを紹介した。広義のフリーランスと銘打つだけあって、さまざまな働き方をする人が混在している。ゆえに、フリーランスの年収は●●●万円である、と定義するのは少々乱暴かもしれない。

ひとつはっきりしているのは、(例え広義であっても)フリーランスという働き方を選ぶ人が増えているということ。確実に、いや着実に増えてきているといえるだろう。

アメリカのフリーランスはどうなっている?

ここからは本題である、アメリカのフリーランス人口についてをアップワーク社の調査発表を引用して紹介する。同発表は英語であるが、筆者の英語力は中学卒業レベルで止まっているため、誤訳があるかもしれないがご容赦を願いたい(と予防線を張らせていただきました)。

Freelancing in America 2017 スライド

まず英語の得意な人に向けて、スライドシェアに掲載されているFreelancing in America 2017の資料を紹介しよう。以下資料を読解できる方にとっては、この先の記事を読んでいただく必要はなくなったかもしれない。


アップワーク社とは

スライドを読み飛ばした方々に向けて解説をさせていただくのだが、その前に調査を発表したアップワーク社についての紹介を少々挟ませていただく。

クラウドソーシングについての説明は省くが、アップワーク社は、ElanceとoDeskが合併してできた会社だ。両者ともアメリカのクラウドソーシングプラットフォームとしては、1位・2位を争う存在だった。2015年に上位2社が手を組んだ結果、Upwork(アップワーク)が誕生したことになる。日本国内に置き換えれば、ランサーズとクラウドワークスが一緒になった状態。

それぞれが独自のオンラインワークプレイス(つまりクラウドソーシングのプラットフォーム)を有していたが、oDeskのサービスをベースにUpworkへと生まれ変わった。登録しているワーカー数は、世界各国で1,000万人を超えるというから、海外にオンラインワーカーが多数いることがわかる(国内においては、ランサーズ・クラウドワークスともに100万人を超えた程度)。

アップワーク上には、年間300万件以上のジョブポスト(仕事の依頼)がなされており、流通総額は10億ドル(※1$=108円換算で108,690,000,000円! っていくらかわかりますか)を超える。一点注意したいのが、流通総額とはワーカーに支払われた報酬額ではなく、ジョブポストされた金額の合計ということ。すべての仕事が完遂されれば、10億ドルの流通が生まれ、そのおよそ20%が手数料としてアップワークに支払われる仕組みだ。

アメリカのフリーランス人口は5,730万人で、労働力人口の36%に該当

アップワーク社ページより引用

アップワーク社の調査によると、2017年の米国内フリーランス人口は57.3MM(=5,730万)に上る。2016年と比較すると230万人の増加(YoY +4.2%)。

毎年、増加傾向にあり、現状のペースが続くとしたら、2027年にはフリーランスの人口が、ノン・フリーランスを超える計算だとか(ノン・フリーランスとは、フリーランス以外のすべてを含む)。

1,000万円以上稼ぐフリーランスが、17%を超えた

アメリカはフリーランス市場が盛り上がっており、その経済規模は140兆円を超えた。昨年対比で30%も増加しており、アメリカの全産業市場から見ても無視のできない数字となっている。

140兆円市場がどのようなものか、ひとつ参考を挙げる。厚生労働省の資料によると、2025年の日本の医療・介護給付費は74兆円と試算されていた。いわゆる2025年問題であるが、日本における危機的な金額が、アメリカではフリーランスの市場にはるか及ばない。

市場規模の増加を証拠付けるように、年収$75K(約750万円)のフリーランスは、フリーランス全体の36%(前年は31%)に増加。年収$100K(約1,000万円)のフリーランスは、17%(前年は15%)と増えている。974万人のフリーランスが、年収1,000万円を超えているわけだ。

一方で興味深いのは、自らの貯金を切り崩しているフリーランスの比率である。毎月1回以上、貯金に手を出していると回答したフリーランスは、ノン・フリーランスと比較して63%:20%になる。おおよそ3倍が、貯金を切り崩すという結果からわかるのは、収入の不安定さだ。市場が伸びているアメリカにおいても、フリーランスの安定感のなさがよくわかる。

ギグ・エコノミーではなく、フリーランス・エコノミー時代の到来

この増加傾向から見る働き方の変化は、ギグエコノミーと呼ばれる潮流には収まらない。ではなんと呼称するべきか。同調査によると、「ギグエコノミー(10%)」「シェアリングエコノミー(13%)」「オンデマンドエコノミー(25%)」と呼ぶべきとの声を抑えて、圧倒的に「フリーランスエコノミー(49%)」と呼ばれるべき現象だと回答している。

ミレニアル世代が、フリーランスエコノミーを牽引する

フリーランスの増加に拍車をかけているのは、ミレニアル世代と呼ばれる若い人々だ。1980年代から2000年代初頭に生まれた人を指す、ミレニアル世代(18歳〜34歳くらいの層)。まさにいまの経済を牽引している層であり、特にWeb/IT業界においては、イノベーションを起こし続けている彼らだ。

ミレニアル世代におけるフリーランスの比率は、2017年調査段階で47%となっており、過半数に迫る勢いというから驚く。日本においては、圧倒的に会社に所属して、いわゆるサラリーマン(男女)として働き始めた世代である。

アメリカではすでに、複業の時代

フリーランスエコノミーを推し進める存在として注目されるのが、Diversified Workersである。直訳すると『多様化する労働者』ということになるが、先述したランサーズ社の表現にすると、複業系パラレルワーカーが該当する。雇用形態に関係なく、複数社と契約ベースでの仕事を行なう人々だ。

Moonlighters/Temporary Workers(=副業系 すきまワーカー)が16.4M(全体の29%)、Diversified Workers(=複業系 パラレルワーカー)が19.8M(全体の35%)、Independent Worker(=自由業系 フリーワーカー)が17.7M(全体の31%)、Freelance Business Owner(=自営業系 独立オーナー)が3.4M(全体の6%)という構成になる。

Diversified Workers=複業系パラレルワーカーは、直近3年で18%から35%と圧倒的に増加したことからも、復数の企業や発注者と契約に基いて仕事を行なう人が増えているとわかる。

フリーランスは、柔軟さと安定性を求める

続いて見てみたいのは、増加しているフリーランスの思考と行動部分だ。

自由と柔軟さがフリーランスを選ぶ理由

フルタイムのフリーランスとして働く理由は、「Freedome & Flexibility」だという。自由かつ柔軟な働き方であるがゆえ、フリーランスとして働く人が多い。これは日本でも同様と推測できる。またパートタイムのフリーランスは、家計の補助として選択されている。

63%が顧客分散で安定を担保

フリーランスの多く、63%が「復数の(Diversified)顧客を持つべき」と回答しており、平均すると月間4.5の取引先がある。取引先の分散を行なうことで、少しでも収入を安定させようという思考の結果だろう。たとえ1社からの仕事が途絶えても、収入を0にしないというのは納得できる。安定性を求めるゆえの行動だ。

また69%のフリーランスが、自身の働き方をポジティブにとらえている(前年は63%)。不安定な働き方であることを理解し、リスクヘッジをしながら自由で柔軟な働き方を享受している結果だろう。

仕事の獲得はオンラインが過半数を超える

2017年調査からの変化ではないが、フリーランスが仕事を得る手段として、オンラインを活用していることがわかる。オンラインで仕事を獲得したことのあるフリーランスは59%に上り、2016年調査の54%から増加している。オンライン経由での仕事が増えていると回答したのは71%に達し、ミレニアル世代らしくオンライン活用が進んでいることを示した。

スキルのアップデートが、フリーランスとして生き残る術

今後もフリーランスは増加すると考えており、全回答者のうち67%(前年は56%)が、各業界・ジャンルのトップレベルプロフェッショナルはフリーランス化すると予測している。

フリーランスが働き手の多数を占めるようになると、その安定性が保証されなくては経済を揺るがすリスクになるだろう。盛んに議論されている、AIが人から仕事を奪うか議論もそのひとつ。

同調査では、フリーランスはAIの来襲に備えていると結論付ける。フルタイムで働くフリーランスとノン・フリーランスの比較では、AIやRoboticsに対する影響を実感しているのは49%:18%という結果。またこの脅威に対して対策をしているのが、65%:45%である。具体的には、自らのスキルをアップデートしているという。

日本の被雇用者のように、保証や安定がないフリーランスゆえ、将来を見据えた行動をとっていると考えられる。

日本でフリーランス人口が過半数を超える日

以上がアメリカのフリーランス事情だ。日本においてはまだまだ市民権を得ているとは言い難い働き方だが、海の向こうでは多数派になりつつある。

日本における広義のフリーランスでは、クラウドソーシングの普及に伴って、Webライターと呼ばれる職種が盛んだ。ところがアメリカにおいては、ハイスキルな人材、高度な専門スキルを有する人材こそが、フリーランスとして働き始める傾向にあるように感じられた。

アメリカから遅れて、例えば2035年くらいになると、日本でも過半数がフリーランスという働き方を選択するのだろうか。広義のフリーランスという概念で考えると、その答えは「Yes」と言えるように思う。来る日に備えて、スキルのアップデート、自己研鑽をしておくことが望ましい。現場からは以上です。

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