絵本の制作を外注するときは、印刷会社とのやり取りがメインになります。相手は印刷のプロですが、外注する際には印刷に関する専門用語など、ある程度の知識を持っておかなければいけません。こちらでは、絵本の制作を考えている方に役立つ絵本づくりの制作工程と、絵本制作で知ってほしい3つの注意点をご紹介します。
絵本を制作したい!絵本づくりの方法とコツとは
絵本の制作を考えているなら、絵本づくりの制作工程を知っておかなくてはいけません。制作工程を知ることで、段取りよく進められますし、納期も定めることができます。
ストーリー制作からスタート
絵本はストーリーとイラストが要です。特にストーリーが面白くなければ、子どもたちが聞いてくれません。子どもたちが興味を持っているもの、喜んでくれるものを中心にテーマを決めましょう。
多くの子どもたちが興味を持つのは、ヒーローが悪者をやっつける起承転結がわかりやすいストーリーになります。ストーリーが完成したら、校閲・校正作業を十分に行いましょう。目で追っているだけでは気づかない文章の誤りは、音読することで見つけることも可能です。
ページのレイアウトを決める
ストーリーが完成したら、どのページに文章を載せるのかページのレイアウトを決めましょう。このときに次にくるイラストを考慮するのがコツです。
ストーリーの見せ場でイラストを大きく描きたいなら、見開き2ページを使用するなどストーリーに合わせてレイアウトしましょう。ページ数が多くなると、絵本の制作費用もかかりますので、予算も考慮することを覚えておいてください。
イラストは少し大きめに描くのがコツ
イラストを描くときは、仕上がりよりも少し大きめに描くのがコツです。
絵本は製本するときに「製本箇所(ノド)」といって、内側に食い込んで見えなくなる部分があります。生保箇所は絵本の厚さなどにも異なりますが、最低15mmは開けておかなくてはいけません。
そのため、イラストを描くときはノドに注意して描くことが大切です。中央部分のノドとなる約30mmに、メインキャラクターなど見せたいイラストは描かないように注意しましょう。
入稿用データをつくる
ストーリーやイラストが完成したら、印刷会社に渡すための完全データを用意しなくてはいけません。完全データとは修正不要で印刷できるデータのことです。
イラストの原画やストーリーのテキストのみでも、印刷を承ってくれる会社はありますが、その分費用がかかりますし、断られるケースもあります。完全データは、専用の画像編集ソフトやデザイン系のソフトを使用して作成し、PDFデータをメールなどで送付して入稿します。
入稿方法は印刷会社によっても異なるため、データ作成の前に確認しておきましょう。
絵本制作の完全データ入稿で注意してほしいこと
絵本の制作で完全データを入稿するとき、知ってほしい3つの注意点があります。子どもたちに喜んでもらえる絵本を制作するためにも、しっかりと踏まえておきましょう。
イラストのデータはCMYKになっているか
描いたイラストをスキャンニングした場合、注意してほしいのが画像データのカラーモードです。カラーモードがRGBデータである場合、印刷後の色合いが異なってしまいます。描いたイラストとできる限り近い色合いで印刷するには、CMYKデータでなくてはいけません。
スキャンニング後、パソコンの画面を見ても色の違いが出るので判別できますが、わからずにデータ作成した場合、CMYKに変換する手間がかかりますのでご注意ください。
テキストに誤字脱字はないか
ストーリー制作後、校閲・校正が大切だとお伝えしましたが、この際に誤字・脱字のチェックは非常に大切です。イラストデータのカラーモード変換については、印刷会社によっては有料で対応してくれるところもあります。しかし、ストーリーのテキストについてはチェックされません。
誤字・脱字のある絵本を子どもたちに読み聞かせたり、そのまま流通させたりするのは大きな信用問題でもあります。ストーリー制作では、誤字・脱字がないよう心掛けるのはもちろん、校閲・校正でもしっかりとチェックしましょう。
印刷に関する専門用語の知識を身につけておく
完全データ作成するときや入稿時に、印刷に関する専門用語をある程度理解しておけば、印刷会社とのやり取りもスムーズになります。これはデータに不備があった際に適正に対処するためにも、必要な知識です。
画像のリンク(埋め込み)方法やテキストのアウトライン化、トンボ作成など基本的な印刷に関する専門用語や知識は身につけておくことをおすすめします。
絵本の制作にはどのくらいの費用がかかるのか
完全データの作成が難しいから、データ作成から印刷・製本までを印刷会社に依頼したい場合、どのくらいの費用がかかるのかご存知でしょうか。印刷する紙の厚さや製本方法によっても費用は変わってきます。ここでは、絵本の自費出版する際にかかる費用とコスト削減方法についてご説明しましょう。
絵本の自費出版の方法と費用
絵本の自費出版には「個人出版」「企画出版」「協力出版」と3つの出版方法があります。制作にかかる全ての工程を自身で行う個人出版では、販売に関する知識も必要になるため、もともと出版業界経験者でなければ難しいでしょう。
企画出版は出版業者がテーマを決めて原稿を募集し、選定した原稿の中から絵本化する出版方法です。絵本作家を目指しているなら、費用を抑えて出版できるチャンスがあります。協力出版は制作工程を出版社と分けて仕上げる出版方法です。
イラスト以外の工程はすべて出版社にお願いすることもできますが、費用はかなりかかります。ストーリーなどもお願いすると50万円~100万円かかってしまうケースもあるので、予算があるなら控えたほうがいい出版方法でしょう。
全ての工程を依頼した場合、イラストは1点30,000円から依頼が可能、テキストのデータ化は1文字1円と明確なので安心です。協力出版で必要な絵本の制作費用は、販売登録料込で約250,000円前後になります。
絵本の制作コストを抑える方法はあるのか
絵本の制作コストをできる限り抑えたい場合、制作工程のすべてを自身で行うか、印刷する紙の品質を下げたり、製本方法をソフトカバーに変えたりすることで実現できます。
しかし、紙の厚さや製本方法は絵本のクオリティにも大きく影響するため、コスト削減ばかりにこだわると絵本自体の品質低下も招く恐れがありますのでご注意ください。また、書店などで販売するには販売登録料など手数料がかかります。
手数料を抑えるには、書店ではなく、ネットショップを立ち上げたり、ECサイトを活用したりすれば手数料を削減できますのでリサーチしてみましょう。
絵本制作は外注がおすすめ!イラスト・原作・印刷も依頼可能
絵本制作の費用を抑えるには、すべての制作工程を自身で行わなくてはいけません。
しかし、文章やイラスト、データ作成のスキルに自身がないなら、外注依頼もおすすめです。では、絵本作家だけでなく、フリーランスのイラストレーターなどへ外注依頼する方法をご紹介しましょう。
イラストが好みの絵本作家に依頼する
絵本のイラストは挿絵制作を請け負っている絵本作家さんへ依頼するのがおすすめです。絵本作家として出版経験もあるため、制作に関する知識が豊富にあります。
どのようなストーリーにすれば子どもたちが喜んでくれるのかという知識もあるため、制作段階から綿密な打ち合わせが可能です。書店へ行けば作家の作品を見ることができるので、「この絵本のように描いてほしい」という具体的な要望もできます。
ただし、絵本作家に依頼する場合、料金体系は作家によってかなり差があります。すべて要望に沿って制作した場合、データのみで約50,000円以上かかることを覚えておきましょう。
フリーランスのイラストレーターに依頼する
絵本制作はフリーランスのイラストレーターに依頼するのもおすすめです。イラストレーターはフリーランスで活動されていることが多く、イラストのみの作成も頼めます。もちろん、見積もりの相談もできるので予算内で絵本制作をしたい場合におすすめです。
フリーランスを探すなら、クラウドソーシングを利用してみましょう。全国だけでなく、海外在住の優良なフリーランスが多く在籍しているので、お好みのタッチのイラストレーターがすぐに見つかります。