在宅ワークの基本、「契約」を理解して安心安全にスタート

在宅ワークの基本、「契約」を理解して安心安全にスタート

契約業務を苦手とする在宅ワーカーは案外多いもの。でも在宅ワークをする上で、避けて通れないのが現実です。そこで在宅ワークをするなら知っておきたい、契約のキホンのキをまとめてみました。

そもそもどうして契約は必要なの?

「契約ってなんだか面倒」「仕事だけに集中したい」。私の周りの在宅ワーカー達からもそういう声をチラホラ聞きます。気持ちとしてはわかるものの、やっぱり契約はきちんと取り交わすべき。

時々聞くのは「報酬はすべての業務を終えてから」という口約束だけで仕事を始めてしまうケース。どんな仕事もいざ始めてみると、思った以上に時間とコストがかかるものです。

納品後、途中でかかった経費をすべて請求できたとすれば、ごく稀なケース。契約していなければ「経費はすべて報酬に含めてくれる?」と後で言われたとしても何の反論もできません。

仕事を始める前に、どの経費はどちらが負担するのかをきちんと決めておく、それが契約です。想定されるトラブルを未然に防いで気持ちよく在宅ワークに専念するために、契約は絶対に必要なのです。

在宅ワーカーから契約の話は切り出しにくい!?

契約に苦手意識を持つ在宅ワーカーの中には「在宅ワーカーから契約の話を切り出しにくい」と感じている人もいるようです。この点はどうでしょうか?

実際、クライアントの立場にある方に聞いてみたところ、「契約について自分から提案できる在宅ワーカーは管理がきちんとできていると感じるし、信用できる」とのこと。契約の話を嫌がるクライアントは、逆に何かやましいことがあるのかもしれません。

このようなクライアントとは仕事をしない方が安全でしょう。危機意識を持って取り組むということも、実は在宅ワークをする上で大切な要素といえるかもしれません。

在宅ワークに必要な契約とは?

在宅ワークをするうえで必要な契約は2種類です。1つ目は、すべての取引に共通する基本的な取り決めを定めておく「基本契約」。

いわゆる「業務委託契約書」がこれに当たります。在宅ワークをしていると、突発的な追加作業が生じるのはよくあることですが、それは「契約条件の変更」になります。このような変更があった場合の対応についても「業務委託契約書」に明記しておくのがベストです。

2つ目は、個々の取引についての事項を定める「個別契約」。案件ごとの報酬額や納期に関する事項を記載する「発注書」がこれに当たります。

デザイナーやライター、イラストレーターなどいわゆる著作権等が生じる納品がある在宅ワーカーは、成果物の著作権等の知的財産権に関する取扱いについても発注書に記載しておきましょう。

対等な契約こそが良好な関係を続けるコツ

厚生労働省のデータによると、在宅ワークの受注先として半数以上を占めるのが「以前の勤め先・取引先・知人」だそうです。良好な関係を続けているからこそ声がかかるわけですが、そういった相手ほど実は契約を取り交わすのが難しかったりします。

なぜなら、そもそも契約はトラブルが発生した場合を想定していろんな取り決めをするものだからです。誰だって良好な関係の相手とわざわざそんな話はしたくないはず。「何かあったら話しあえばいい」と思ってしまうのは無理もありません。

しかし、契約内容や理解が曖昧だと、かえってトラブルのもとになってしまいます。「対等な立場で契約を結ぶことが良好な関係を続けるコツ」。

そう肝に銘じて、重要事項はきちんと交渉して契約するという姿勢を貫きましょう。くれぐれも発注側にとって、ただの「都合のよい人」になってしまわないように。

契約書は在宅ワーカーにとっての「守り札」

契約内容をきちんと書面にするのは、お互いの権利関係を明らかにするためです。万が一、裁判になった場合に証拠となるのはもちろん、契約書があることでお互いが契約内容を確実に履行し、裁判を回避しようとする抑止効果もあるといわれています。

仕事に集中したいなら何はさておき、まずは契約をしっかり取り交わしましょう。

なお、発注者はこれらの契約書を3年間保存するよう定められています。もちろん、在宅ワーカーの皆さんも大切に保管しておきましょう。何もないにこしたことはありませんが、契約条件をめぐるトラブルに見舞われたときに、契約書はきっとあなたの味方になってくれるはずです。