修飾語の順番について、数回に分けて記事を投稿してきました。本稿では、“修飾語の順番は長いが先”について書いてみます。ちなみに過去に書いた修飾関係の記事に『修飾の順番を正しくすれば、理解できる文章に早変わり』と『修飾語と被修飾語を近づけるだけで、意味のわかる文になる』がありますので、気になったらご覧になってください。
修飾するときは、長い修飾語を先に、短い修飾語を後に
結論はタイトルと冒頭文でお伝えしてしまいました。ひとつの文に複数の修飾語(文節)が登場する場合、長い修飾語を先に記載し、短い修飾語を後に記載しましょう。修飾語の順番を逆にしてしまうと、それだけで理解が進まなかったり、内容を間違えてしまうことがあるのです。
この修飾語の順番について、難しいけど深く学びたいと思った人は、以下の書籍を読んでみてください。修飾語に限らずですが、日本語の文章を書くための常識とテクニックが満載です。ちなみに著者は本多 勝一さん。『ほんだ しょういち』ではなく『ほんだ かついち』と読むのがポイント(正解)というのも覚えておくと……いや別に覚えておかなくても問題ありません。読んでください。
どうして長い修飾語を先に記載するのか
文章を書いていると、ふたつ以上の修飾語が登場するケースがあります。例文を書いてみましょう。
意地悪な読み方をされないためには、もともとの例文を以下のように直せばいいのです。
『転ばないように』を先にすることで、正しい理解を促すことにつながりました。これが、修飾語が複数ある場合は、長い修飾語を先にするということです。『転ばないように』は7文字、『早く』は2文字ですので、7文字の『転ばないように』を先に記載する。
長い修飾語を前に持ってくると理解しやすくなる例文
結論とその理由を説明し終えたので、いくつかの例文を挙げさせていただき、徹底的に『修飾語が複数の場合は、長い修飾語を先に書く』を覚えていただきたいと思います。
これは正直、修飾語の順番が間違っているのか、間違っていないのかわからない一文です。そのまま読んでいくと、『かわいい天使』に見える『幼少期の私』の『子供の(頃の)写真』かなと思えます。これが正しいとすると、かわいい天使がいるのならば、かわいくない天使もいるようです。また自分の幼少期の写真を「かわいい天使みたい」と言っているわけで、ちょっと気持ち悪い。ただし『幼少期の子供の』と書いてあるので、重言でなければ、自身のことではないとわかりますね。
これならいかがでしょうか。
少なくとも、自分の子供の頃の写真をみて「私ってかわいいわ」とは言っていない状態になりました。
あたりにすることで、より誤読しない一文になるのですが、本稿の目的である「長い修飾語を前に」を忠実に表記したところで正解にしておきます。続けてもうひとつ例文を。
猛暑日、酷暑日が続いていますが、太陽の日差しと合間った道路からの照り返しが、容赦なしに道ゆく人の体力を奪っています。そんな姿をエアコンが効いて涼しい車の中から見ている性格の悪いドライバーのことです。でも何かがおかしい。書かれたままに理解すると、『エアコンの効いた車内』から飛び出して『暑い車外を歩く』ようにも読み解けます。無理やりですけどね。でも伝えたかったのは『自分は涼しい車の中にいて、炎天下を歩いている人を見ていた』こと。
とすることで、ドライバーの性格の悪さが確実に伝わります。
とにかく、複数の修飾語が登場する場合は、長い=文字数の多い修飾語を先にする。同じ文字数の場合はどうするんだという話もありますが、とりあえず文字数で判断いただければ大丈夫ということをお伝えさせていただきました。言葉の順序を意識するだけで、伝わりやすい、理解されやすい文章になりますよ。現場からは以上です。