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修飾語と被修飾語を近づけるだけで、意味のわかる文になる

修飾語と被修飾語の距離

以前に、理解される文章のティップスとして、修飾の順番に気をつけましょうという記事を書きました。該当記事は前段、頭出し程度で留めていたので、そろそろ本番に入ろうと思ったのですが、その前にもっと簡単なお話をひとつ。修飾語と被修飾語の距離についてです。

修飾語と被修飾語は近いことが正義

本稿でお伝えしたいのは、修飾語と被修飾語を極力近づけましょうということ。それに尽きます。修飾語とは何か、被修飾語とは何か、修飾語と被修飾語の距離について、といったトピックに詳しい方であれば、読み飛ばしていただいてかまいません。

文章の基本であり、理解しやすい、読みやすい、上手な文章のポイントとして、修飾語と被修飾語を近づけることを説明します。とにかく、近づける。くっ付いているくらいがちょうど良いと思っておいてください。修飾語と被修飾語はくっ付ける。

修飾語とはどんな言葉? その意味と用法

修飾語の距離についてお伝えする前に、そもそもの語句の意味を確認してみましょう。

文法用語。「とてもきれいな絵」で,「とてもきれいな」はどのような絵なのか,「とても」はどれほどきれいなのかを示している。このように,文中で他の語句の表わす内容に限定や説明を加える語句を修飾語といい,修飾されている語句を被修飾語という。
引用:コトバンク

日常の会話や文章で頻出していますよね。他の語句や言葉に説明を付け加える言葉のことを、修飾語とよびます。逆に修飾される側のことを、被修飾語とよぶわけです。上記の例でいうと、『きれい』の程度や説明をするためにつけている語句、たとえば『とても』であったり『すごく』であったり、『目が飛び出るほど』などがそう。

文章のなかには、主語と述語を用いるのが基本です。ただし、主語と述語だけで完結する文章は珍しく、だいたいの場合において、主語や述語を説明する『修飾語』が並んできます。ですので文章を書く上では、修飾語と仲良くしておきたいわけです。

主語、述語、修飾語について理解を進めるために、ひとつ例文を挙げてみます。

子供が遊ぶ。

これは、主語の『子供が』と述語の『遊ぶ』だけで構成された一文です。もちろんこれだけでも、「ああ、子供が遊んでいるんだな」ということは伝わります。ここに修飾語が付け加えられると、どんな素敵なことが起きるのでしょうか。

子供が元気に遊ぶ。

こちらは、述語の『遊ぶ』に対して、どのように遊んでいるのかを説明する修飾語『元気に』を追加した文です。まあ子供が遊んでいるのですから、大抵のケースにおいて元気に遊んでいるのでしょうが、一応、どのように遊んでいるのかを説明することができます。「おお。子供が元気いっぱいに遊んでいるんだな。微笑ましい」と思えるわけです。続いて……

素っ裸の子供が元気に遊ぶ。

今度は、主語の『子供が』を説明する修飾語を追加しました。子供がどんな状態かを説明している、『素っ裸の』を足してみました。これによって、子供が元気に遊んでいる状態に加えて、どんな子供なのかを伝えることができます。「おおお。子供が一糸まとわぬ姿で元気に遊んでいるぞ。子供だから裸でもかわいいよな」と思うと。

素っ裸の子供が公園のブランコで元気に遊ぶ。

このあたりまでにしておきますが、『公園のブランコで』を追加したことで、どこの何で遊んでいるかを説明できました。これで「素っ裸の子供が公園のブランコで元気に遊んでいてよかったな。街中や駅のコンコースで素っ裸はまずいけど、公園なら許せるぞ。素っ裸でブランコってシュールだけど」と安心できます。できれば『子供』が男の子なのか女の子なのかまで説明すると、さらに安心感が高まるわけですが。

修飾語と被修飾語について説明したとことで、それぞれの距離についてのお話に移ります。修飾語の種類には、『連体修飾語』と『連用修飾語』の2種類があるのですが、国語の授業みたいになってしまうので割愛します。機会があれば、また。

修飾の距離が遠いと、どんな不具合があるのか

本稿で一番伝えたいのは、タイトルにもある通り、修飾語と被修飾語の距離を近づけましょうということです。では修飾語と被修飾語の距離が遠いと、どんな不具合があるのでしょうか。答えは明快で、どれがどれを修飾しているのかがわからなくなり、文章を意図通りに理解してもらえなくなること。

子供が遊んでいる例文くらいの、理解しやすい語句が並んでいたり、短い一文であれば困ることは少ないでしょう。しかし一文が長かったり、難解な単語が出てくると、果たしてどの修飾語がどの被修飾語に作用しているかが不明確になります。するとたちまち、文章を理解するのが難しくなったり、間違った理解をしてしまうのです。

修飾語と被修飾語が遠いために、内容を理解しにくくなった例文を挙げてみます。

できるだけ怒りで頭が真っ白になってしまっても、5秒間クールダウンし、深い深呼吸を3回取り入れるなどの工夫をして、怒鳴り散らさないように気をつけている。

この一文の何が問題かというと、(いろいろ問題点はあるのですが)『できるだけ』がどれを修飾しているかがわからないことです。もしくは、『できるだけ怒りで頭が真っ白になってしまっても』という、意味のわからない並びのまま理解される恐れもあります。

本来であれば『できるだけ』という修飾語は、最後の『気をつけている』を修飾したいのです。『できるだけ気をつけている』として、「我慢できるかわからないけども、なるべく、可能な限り、自分のなかでは最大限に気をつけているんですよ」ということを伝えたい一文になります。

ところが例文の並びのままだと、『できるだけ』と『気をつけている』の距離が遠すぎるため、修飾・被修飾の関係が希薄になりました。意味のわからない文、もしくは間違って理解されてしまうのです。そこで修飾語と被修飾語を近づける。

怒りで頭が真っ白になってしまっても、5秒間クールダウンし、深い深呼吸を3回取り入れるなどの工夫をして、怒鳴り散らさないようにできるだけ気をつけている。

こうすれば、『できるだけ』が『気をつける』を修飾していることが明確になります。例文のなかには多数の修飾・被修飾の関係がありますが、明らかにおかしな関係の見直しを図りました。

ここまでの悪文を書くことはめったにないと思いますが、修飾語の位置関係に注意するだけで、誤読や誤解や意味不明を防ぐことにつながります。この修飾語と被修飾語の関係は、とても奥が深いです。本サイトにおいても、何回もに分割して紹介していきたいと思います。現場からは、とりあえず以上です。

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