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100名のライターを採用して分かった、センス・文章力よりも必要なスキル

一億総ライター時代、突入?

インハウスのコピーライター・ライターとして働き続けていると、新入社員や中途社員の面接を任せてもらうことがあるんですね。ライターとしてバリバリのキャリアを持っている人もいますが、新卒はもちろん、中途入社でも未経験からチャレンジする人が意外と多いことに驚きます。

わたし自身がこの道に足を踏み入れるもっとずっと以前は、コピーライターって人気職種だったそう。いまでも一部の人からは羨望の眼差し(はちょっと言い過ぎ)を向けられますが、参入障壁の低さが売りみたいなところがあります。

だって基本的に、日本語(ドメスティックでの活躍なら)さえ読み書きできたら、その道を目指すことが可能なんですから。もっと言うと、資格が必要な商売ではありませんから、名刺に肩書きを入れたり、自分で宣言するだけでも立派なライターになれてしまいます。

ライターに必要な能力とは

誰でも挑戦できるのに、未経験の方に面接で聞かれがちなのが、「ライターに必要な能力は?」という質問です。

特に若手のライター志望者に、わたしが決まって答えているのが以下の二つ。

大体が『きょとん』とされます。でも本当にそう思っているんです。恐らく期待していた答えは、文章力とか調査力とか情報収集力とか、コミュニケーションスキルなんでしょう。

もちろん、彼らが期待していた回答のスキルも、あったら重宝します。むしろ一流のライターは、文章は上手ですしコミュニケーションスキルも高い。しかしポテンシャル採用の皆さんには、テクニカルスキルを求めていません。きっとそれは、どの制作会社も編集プロダクションも同じなのでは?

素直さがライターの武器になる理由

未経験者〜初心者にとって、素直さは唯一の武器と言えるかもしれません。経験がない or 浅いのですから当然、特別な能力がなくても不思議ではない。むしろ変な色に染まっていないとしたら、自然体で世の中の動向を吸収しまくれると考えられます。

先輩や上長の教えに対して、疑問を持つのは悪いことではありませんが、まずは従ってみる。素直な気持ちで、先人の教えをなぞらえてみることで得られる物がきっとあるはず。

ライターが職人的な要素を持ち合わせていた時代(少なからず今も)なら、とにかく師匠の背中から学んでいました。超絶昭和的な発想ですが、それで発展した部分が大きくあったと思うのです。わたし自身も新人の頃は、コピーを書いて上司に提出するも、朱が一切入らない! 「やったー、イケてるんだ」と思ったら、「朱の入れようがない」と突き返されたトホホな経験が何度もあります。

当時は「このクソ上司めっ」と恨んでもみましたが、いまとなっては良かったんでしょう。コピーチェックする人が絶対的な指標になるとは限りませんが、少なくとも会社からはその能力を認められた人。誰かにコピーや文章を認められた人の声ですから、一度は聞いてみる価値がありました。

素直にアドバイスを聞き入れてみると、クライアント受けが良かったり、キャンペーンの成果が高かったり。若造がイキがって「これ、最高っす。若者にしかわからない感性があるんです」とか言ってないで、さっさと謙虚になってれば良かったと思えます。

好奇心がライターの武器になる理由

ライターに好奇心が大切だと思っている、武器になると考えている理由がいくつかあります。ひとつは、好奇心があれば必要な情報を積極的に集めるから。仕事で必要だからと割り切るのではなく、興味を持って深く深く知ることは、アウトプットの質に関係すると思っています。

広告コピーにしろ記事の文章にしろ、ターゲットに合わせた情報提供が必須です。仮にテーマに対して知見を持つターゲットが設定された場合、彼らを上回る知識なり情報を持って文章にしなければ、読み手にベネフィットはおろか、メリットは提供できません。

もうひとつ奇心がライターに必要だと思う理由は、興味の幅が広ければ、手がけられる仕事が増えるから。同時に、取材を行なう場合の話の膨らみ方が変わってきますよね。取材については本稿では触れませんが、ライターとして活躍するなら、好奇心を持って情報収拾やその一環としての取材が不可欠です。

編集者が求めるのも好奇心

出版社や編集プロダクションの編集者が求めている物も、ライターの好奇心だったりします。誤解を恐れずに言えば、ライターとは言葉を使って表現する仕事です。表現と言うと「ライターは芸術家だと思っているのか」と笑われそうですが、ここでの表現とは文字にあるように、表に現すこと。伝えたい事柄や考え方について、文字を使って表現することを意図しています。

何かを伝えたいという気持ちがあってライター職を選んだのであれば、「これを世の中に発信したい」という題材があるはず。別の言い方をすると、企画を持っていると考えられます。企画術について詳しく書きませんが、伝えたいことがあって、それを一番上手に表すために企画が存在している。

伝えたいこと、そして企画の源流にあるのは、発信者の知りたい欲求を深掘っていく好奇心だと考えます。編集者が求めているのは、あなたの好奇心からはじまった企画なのです。『知りたい欲求』を追求する好奇心こそが、編集者や読者の琴線に触れて、読まれる広告なり記事が出来上がると思っています。

素直さを身につけて、好奇心を育てよう

ライターやコピーライターに必須の能力は、素直さと好奇心。もしあなたが一流のライターを目指していらっしゃるのならば、まずはふたつの能力を存分に鍛えてみてはいかがでしょうか。

自分の好奇心に蓋をしない『知りたい欲求』を追いかけてしまう素直さがあれば、知識は増え、企画が膨らみ、熱意に変わり、読み手に届けられることになると思います。あなたの好奇心がおもむくままに、探求してみてはいかがでしょうか。現場からは以上です。

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