「あの領域ブルーオーシャンだから、今やればファーストペンギン(※)になれるよ」というような会話がITや新規事業開拓界隈ではあふれています。ブルーオーシャンという言葉の意味、ブルーオーシャン戦略のポイントを解説します。
ファーストペンギンとは:「ファーストペンギン」とは、集団で行動するペンギンの群れの中から、天敵がいるかもしれない海へ、魚を求めて最初に飛びこむ1羽のペンギンのこと。転じて、その“勇敢なペンギン”のように、リスクを恐れず初めてのことに挑戦するベンチャー精神の持ち主を、米国では敬意を込めて「ファーストペンギン」と呼びます。日本でも、NHKの朝の連続ドラマでそのエピソードが紹介され、広く一般に知られるようになりました。
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ブルーオーシャン戦略とは?丁寧に解説!
ブルーオーシャン戦略とは一言で言うと未開拓市場を開拓して競争相手が少ない状態で優位性を築く戦略です。世の中やエリアにこれまでになかった新しい価値を提示する必要があります。
そもそもブルーオーシャンとはなんなのか
ブルーオーシャンは青い海、つまり美しく汚れていない市場領域ということです。未開拓なので競争相手がいません。十分にサービスや製品が行き渡った成熟した市場だと、シェアが増えにくいため他社の顧客を値下げ合戦や派手な広告戦略を行うことによって奪うことに終始し始めます。
ブルーオーシャンの場合は提示した価値が世の中に受け入れられれば収益性が高く、プロダクト自体に注力したビジネスが可能なのです。
レッドオーシャンとは?
逆にレッドオーシャンとは血で血を洗っ多争いの末に赤くなった海のこと、つまり市場自体のシェアがそれ以上広がらず、内部での争いに終始している状態です。
市場自体のニーズがなくなっているわけではないのですが、本来必要な企業やサービスの数に比べて提供する企業体の数が増えすぎているためこういった争いが起こるわけです。具体的には安さ合戦が始まります。
消費者にとってはありがたいですが、このタイミングで中小の似たようなサービスの企業は淘汰されていき、最終的には規模感を生かせる大企業と独自性を失わなかった一部の中小が残ります。
なぜブルーオーシャン戦略が注目されているの?
ブルーオーシャン戦略が注目されている理由は、高価値・低コストという顧客にとっての理想をそのまま実現できるからです。
提供する企業にとっても他社と争う必要がないため価格競争というのが最初の時点では起こりません。コストに関してはブルーオーシャン戦略を行う企業が大きければ大きいほど、下げることができます。
ブルーオーシャン戦略を実行する上で重要なポイント!
ブルーオーシャン戦略を実行する上では「バリューイノベーション」と「4アクション」が非常に重要です。ここでの分析に失敗するとブルーオーシャン戦略にならない可能性が高くなります。
バリューイノベーションをどう実現するか
バリューイノベーションとは文字通り「バリュー(価値)」と「イノベーション(革新)」に関して成功することです。要はこれまでのコストを下げ新しい価値観の市場を開拓するということなのです。これを同時に行う必要があるためバリューイノベーションという言い方になっているのです。
バリューイノベーションを実現するためには、次に説明する4つのアクションを行い自分たちが開拓しようとしている市場を定義する必要があります。
「取り除く」「減らす」「増やす」「付け加える」
ブルーオーシャン戦略とは今まで全くないものを独自のアイデアで生み出すことではありません。既存の市場の製品やサービスから「取り除く」「減らす」「増やす」「付け加える」ことで新しい価値を定義するのです。
具体的にNintendo DSの例をとって考えてみましょう。Nintendo DSはバリューイノベーションの好例です。NIntendo DSがリリースされた2000年代中盤、ゲームのハード業界はPlaystationやXboxといった高性能ゲーム機が席巻していました。
しかし、ゲームの高性能・操作の複雑化に伴い、一般層がゲームについていけなくなり離れるという状況がありました。
そこで任天堂はゲームにおける複雑な操作性を「取り除く」、グラフィックや音楽の美しさに投入する技術的リソースを「減らす」、誰でも親しみやすいコンテンツを「増やす」、操作性の容易さを「付け加える」ということを突き詰めた結果、Nintendo DSが生み出され大ヒットをしました。
バリューイノベーションが行われた結果、ゲームに馴染みのない高齢者や主婦といったブルーオーシャンを開拓したのです。
ブルーオーシャン戦略のメリット・デメリットは?
さて、いい事ばかりに感じられるブルーオーシャン戦略ですがデメリットもあります。戦略を実行する企業の規模等によっても適性が異なるため、正直誰でも試せるというわけでもありません。
ブルーオーシャン戦略のメリット
ブルーオーシャン戦略のメリットは何と言っても競合がいない事です。新しい価値を提示したい上に安いとなれば消費者にとって圧倒的に有益ですので、拡散力という意味でも強力です。
特に今の時代消費者がSNS等で自発的に拡散してくれるため広告のコストも下げることができます。目新しいものと相性がいいSNSとも相性がいい戦略です。
また、企業の規模が大きければ長期にわたって低コストを実現することが可能になるので、他社が参入しても優位性を逆転されづらいです。IKEAやユニクロなどはその好例です。実際中小企業があの価格でアパレルや家具を展開し続けることは不可能でしょう。
またブルーオーシャンもいつかはレッドオーシャンになります。レッドオーシャンになるまでの間に自社ブランドの価値を高め顧客を育てることが可能です。
ブルーオーシャンを開拓した場合他社のどれよりも時間をかけてそれを行うことができるのです。ブルーオーシャンからレッドオーシャンへの引き継ぎがうまく行えれば、長きにわたって優れたブランドとして市場に君臨することになります。
ブルーオーシャン戦略のデメリット
ブルーオーシャン戦略のデメリットは、これから試そうとしていることに前例がないということです。「取り除く」「減らす」「増やす」「付け加える」を行ったところで市場に必要とされなければバリューイノベーションは失敗に終わります。
また、ブルーオーシャン戦略は競合がないところに低価格で革新的なサービスを広めるというものなので、低価格との相性が悪く企業の規模感が小さい中小企業や個人事業主には向かない戦略です。低価格だから革新的なサービスが一気に広まるというところがポイントなので、どちらがかけてもブルーオーシャン戦略にはなりません。
また、ブルーオーシャン戦略は真似する企業がたくさん現れた時点でブルーオーシャンではなくなります。
競合が現れるまでの間に自社ブランドの価値を確立できていればいいのですが、昨今はビジネスのスピードが速くなっており後から現れた他社にシェアを奪われてしまうケースもあります。
また、ブルーオーシャンとして開発した市場自体がニーズがなくなってしまうというケースもあります。これは主にテクノロジーの発展や別のブルーオーシャンの出現によって発生します。
ブルーオーシャン戦略の3つの事例をご紹介!
ブルーオーシャン戦略には具体的にどのような事例があるのでしょうか。有名な3社の事例をご紹介します。
事例1. シルクドソレイユ
シルクドソレイユは世界的に有名なサーカス団です。これまでのサーカスから動物ショーや花形パフォーマー、館内販売といった要素を取り除き、鑑賞環境の快適さやアート性を付け加えたことでブルーオーシャン戦略を成功させました。
事例2. 塚田農場
塚田農場は自社農場を所有することで高品質な食品という価値を付け加えました。自社農場を所有することで仕入れのコストも下がりました。高価値・低コストが実現されブルーオーシャン戦略を成功させました。
事例3. QBハウス
QBハウスはこれまでの理容店にあったシャンプーを取り除き、理容師の業務負担とかかる時間を減らしたことで、多くの顧客を短時間でヘアカットできるようになりました。さらにシャンプーなしでの理髪を実現するために、顧客についた髪を吸い取る掃除機のような機械を付け加えました。安くて早いという高価値・低コストが実現されブルーオーシャン戦略を成功させました。
ブルーオーシャーン戦略で成功する事業を
事例を3つほどご紹介しました。ブルーオーシャン戦略とは、勝率の高い事業や市場を見つけるための戦略です。
ブルーオーシャン戦略を実行しようと思ったら、専門のコンサルタントをみつけるのが近道。ただしコンサルタントといっても、本当にその業界に明るいかはわかりません。
確実な方法はありませんが、考えに考え抜いて、業界に知見のある戦略かを見つけましょう。場合によってはフリーランスのコンサルタントや企画者、マーケターなどに依頼するのもありですよ。