ある商品が出来上がったとします。でもその商品をそのままゴロンと並べたところで、消費者は興味をそそられません。消費者の購買意欲を刺激する商品に必要なのは、広告と実績です。そしてもうひとつ、商品に必要なのはその商品をより魅力的に見せる外側。すなわち、パッケージがとても重要なのです。
パッケージデザイナーとは様々な商品のパッケージをデザインする仕事
コンビニエンスストアに行って、例えばアイスを買おうとした時。真っ赤に燃える炎をモチーフとした絵が描かれているアイスと、綺麗な青や白で南極の風景を描いたアイス……。一体、どちらが手に取られやすいでしょうか?
パッケージデザインとは、普段の買い物の中で消費者が行う商品選択の際に、様々な商品情報を一瞬で伝える手段なのです。
パッケージの色や形、絵柄などを担当する
商品の形、色、そして食品なら味。洗剤や化粧品ならば香りや効能などの商品情報を。消費者が商品棚に視線を投げる一瞬に、できうる限り多くの情報を消費者に伝えるのが商品パッケージの役割です。
かのコカ・コーラのボトルも、当時(1915年)のデザイナーの苦労の賜物です。模造品との差別化のためのボトルデザインでしたが、現在では誰もがそのボトルのシルエットを見ただけでコカ・コーラだとわかります。パッケージデザインとは、そういった役割があるのです。
紙の包みやプラスチックの容器など素材はいろいろ
商品のパッケージにはガラス、紙、プラスティック、陶器など様々な素材が使用されます。その素材によって、印刷のインクのノリや発色の鮮やかさも変化してきます。パッケージデザイナーには、そうした素材の特徴の知識も要求されるのです。
平面と立体、それぞれ取り組み方は違う
パッケージデザインというと、お菓子の袋などの平面的な印刷物を想像すると思います。しかし実は、最初に述べたコカ・コーラのように、容器のデザインもパッケージデザインなのです。
袋やラベルのデザインだけでなく、容器のデザインも担当することが可能であれば、いろいろなメリットがあります。デザイン自体に統一感が顕れ、それが購買意欲に結びつくことも期待できます。
パッケージデザイナーはメーカー、デザイン事務所、広告制作会社などに在籍
パッケージデザイナーは、インハウスデザイナーとしてメーカーの広報部や商品企画部に在籍していることが多いです。そのようなデザイナーのことを指します。そうでなければデザイン事務所、広告制作会社などに在籍して活躍しています。
メーカーのインハウスデザイナーの場合
インハウスデザイナーとは、メーカーなど企業の広告部や商品企画部などに所属。その企業専属のデザイナーとして業務を行うデザイナのことです。一般的には、社内デザイナーとか企業内デザイナーとか呼ばれています。
フリーランスと違って収入が安定しており、立ち上げたブランドをじっくりと長く育成していかれるというメリットがあります。
デザイン事務所の場合
一方、同じ会社という組織に所属するという形態は同じでも、デザイン事務所という会社に所属する場合も。
ブランド立ち上げに関わることもありますが、基本的には継続性の少ない仕事がメインとなります。メーカーに勤務するデザイナーのように、じっくりと仕事に関わって居る余裕はなく、極めて多忙な形態の勤務となるようです。
広告制作会社の場合
それに輪をかけて多忙なのが広告制作会社のデザイナーでしょう。この場合、代理店と共同で制作に当たることが多くなります。代理店との細々とした打ち合わせなどが入り、デザイン事務所勤務よりも多忙を極めるかもしれません。
パッケージデザイナーにはどういう人がいる?
パッケージデザイナーについて、もう少し詳細に解説していきましょう。
有名なパッケージやパッケージデザイナーとは?
最近日陰に追いやられている煙草ですが、発表以来三十年以上も基本的なデザインが変わっていない製品があります。
それが『ハイライト』であり、JTの前身である日本専売公社が1960年に発売して以来のロングセラーを誇ります。ハイライトのパッケージをデザインしたのは、イラストレーターの和田誠さんです。
また、『明治おいしい牛乳』やエスビー食品の『スパイス&ハーブ』のデザインはトップデザイナーとして活躍する佐藤卓さん。テレビ番組『情熱大陸』のロゴなど、パッケージデザイン以外でもその名前は有名です。
グラフィックデザインの知識は必要不可欠
パッケージデザイナーには絵心が要求されます。すなわちグラフィックデザイナーとしてのスキルが必須。グラフィックデザインができれば、様々なデザインに挑戦することに対しても敷居が低くなってきます。
経験を積んでからフリーランスになる人も
デザインの経験を積むために、インハウスデザイナーを志す人もい少なくはありません。メーカー、広告制作会社、デザイン会社などで実績を積み、コネクションも作っていきます。
様々なデザインに関わっていくことで経験値を上げ、フリーランスになるデザイナーも少なくありません。
パッケージデザイナーが主に使用するツールは?
パッケージデザイナーが使用するツールと言えば、古くは鉛筆と消しゴム、ペン、カラーインクにマーカー。そういった前時代のツールを現役で使っているデザイナーも未だ存在していますが……。
現代においては、コンピュータでの作画作業がメインになっています。『Adobe Photoshop』や『Adobe Illustrator』、『CLIP STUDIO PAINT』などのソフトが有名です。
パッケージデザイナーに仕事して欲しい!フリーランサーに依頼する方法は?
パッケージデザイナーに製品のパッケージをデザインして欲しい場合は、どこで探せば良いのかという問題があります。おすすめなのは、フリーランスのパッケージデザイナーに依頼することです。
フリーランスのパッケージデザイナーを選ぶべき理由
フリーランスのデザイナーは、豊富な経験に基づく豊かな発想力と個人ならではの細やかな気配りを持ち合わせています。
さらに、個人営業という業務形態特有の1クライアント1エージェントという一貫性です。インハウスデザイナーは1ブランドを長く見られるということがありますが、企業には必ず配置転換という宿命が存在します。
ときに企業は意味のない配置転換をして、業務を混乱に陥れることがありますよね。個人営業のフリーランスには、このようなことが一切ありません。長期間の仕事になっても、担当がいきなり交代するなどということはないということです。