市場調査の目的と方法
市場調査には主に定量調査と定性調査という2つの方法があります。それぞれの調査の目的と特徴を見ていきましょう。市場調査によって何を知りたいのか、または何を解決したいのかによって、どちらの方法でアンケートを組み立てれば良いのかがわかってきます。
定量調査
一口に市場調査と言っても、その目的に応じて調査方法も異なります。比較できるものや数値として判断できる材料がある場合は定量調査がおすすめです。特に「AとBどちらが良いか？」といった質問や「◯◯を持っているか？」といったあらかじめ選択肢が少ない質問には定量調査が適しているといえます。
例えば、これから新たに開発する商品の中でいくつか候補があり、どちらか一方を選んでリリースする必要がある場合は、それぞれの商品の特徴を定量調査としてアンケートを取ってみるのが有効です。また、特に食品業界などの競争率が激しい分野において、市場の中で複数のメーカーや商品のシェアを調べたい場合においても定量調査は最適な方法です。
定量調査のような選択式の簡単な質問はユーザーの手間を取らせることも少なく、比較的回答を集めやすい傾向にあります。
定性調査
定量調査とは対象的に、「この商品の好きなところは？」というような漠然とした質問には定性調査がおすすめです。顧客の潜在的なニーズを把握したり、これから新たな商品を開発するための参考材料にもなり得るものです。
特に、他社にはない全く新しい商品を開発する場合においては定性調査は欠かせないものです。例えば、アパレル業界の場合は「こんなデザインの商品があったらいいのに」といった顧客の要望を知るには、定量調査で推し量ることはできません。しかし、それこそが顧客の潜在的なニーズであり、これから新たに開発するためのヒントが隠されているのです。
しかし一方で、定性調査は定量調査に比べて質問が漠然としており、質問も記述式の場合が多く、回答自体を敬遠されるケースも少なくありません。
市場調査を行うためのツール
市場調査を行う際、調査そのものの手法はもちろんですが、物理的な方法も重要なポイントです。アンケートを取る方法として代表的な3つの方法を例に詳しく解説していきます。
それぞれの方法によってメリット、デメリットは存在しますが、複数の方法をうまく組み合わせることで効率的な市場調査が可能になります。
郵送・固定電話
市場調査のアンケートを取るうえで、もっとも一般的なのが郵送や固定電話を使った方法です。これは古くから使われてきたアンケートを取るためのツールですが、最近では固定電話を持たない世帯も急増しています。
特に若年層においては携帯電話のみを契約し、固定電話の契約をしないケースが大半を占めます。結果として郵送や固定電話を利用したアンケートは、回答者の年齢層が高くなりがちで偏りが生じやすいです。
また、近年社会問題となっている高齢者をターゲットにした詐欺事件の影響もあり、純粋にアンケートを取りたいだけであっても不審に思われたり、回答を得られないまま切られてしまうことも少なくありません。さらに郵送の場合は1件あたりの送料も高く、コストに見合わないケースも多いです。
インターネット
近年急速に普及しているのがインターネットを利用したアンケートです。スマートフォンの普及によってインターネット人口は爆発的に増え、データ量も加速度的に伸び続けています。
パソコン1台で瞬時に多くのユーザーにアンケートを投げかけることのできるインターネットは、時間効率、費用効率ともに最も優秀な方法といえます。調査にかける時間や費用が限られていたり、できるだけ早く結果を知りたい場合はインターネットによる調査が最適です。
市場調査の方法としては、WEBページにアンケートを掲載したり、メールやSNSを通じて回答を集めることが一般的です。しかし、スマートフォンが普及したとはいえ年配のユーザーにとっては不慣れなため、インターネットで集めたアンケートは若年層に偏りがちな傾向があります。
対面・インタビュー
アンケートの質を重視するのであれば、対面でのヒアリングや街頭でのインタビューなどがおすすめです。電話やインターネットに比べて回答率が高く、調査自体の精度も高いです。しかし一方で、人件費や時間効率は良いとはいえません。
多少費用はかかったとしても、調査の質を何よりも重視したい場合は対面でのアンケートがベストといえます。対面調査において注意すべきポイントは、調査員のスキルによって調査結果に大きな差が生じるということです。ヒアリングの仕方や態度、雰囲気など、人的要因によって回答率も回答の質も変わってきます。そのため、対面調査を行う場合は経験豊富な調査員をアサインする必要があります。
市場調査の依頼先
アウトソーシング
自社に市場調査のノウハウがない場合は、自社で行うよりもアウトソーシングへ発注するという方法もおすすめです。市場調査を請け負っている企業には、豊富な知見を有しているところも多いです。ノウハウを活かし、より自社の売り上げアップに繋がるヒントを得る近道になります。
また、ゆくゆくは自社内で市場調査を行いたいと考えている場合であっても、アウトソーシングへ委託することによって自社商品の市場調査の方法やコツが見えてきます。冒頭でも説明したように、市場調査の最適な方法は画一的ではありません。場合によっては複数の方法を組み合わせて行わなければならない場合もあります。
自社にとって最適な方法は何なのか、それを知るためにも市場調査のプロに依頼してみるのも有効な方法の一つです。