市場調査で行うアンケートの種類
市場調査のアンケートには大きく分けて4つの手法があります。事実を明らかにするための事実調査、商品に対する課題や売り上げが上がっている要因を仮説を立てて検証する仮説調査、CMや商品そのもののイメージを調査するブランドイメージ調査、そして商品やサポートに満足しているかを表す満足度調査です。
それぞれの役割と調査の目的を詳しく見ていきましょう。
事実調査
事実調査とは、その名の通り顧客が感じている事柄を把握するための調査です。商品の味は美味しいと感じるか、見た目は食欲をそそるか、価格は適正であるかといったように、商品に関する質問を投げかけ、率直な意見としてヒアリングします。
また、自社商品だけではなく、サービス開始前の段階においても事実調査は有効です。口コミやSNSで話題になっていることなどをアンケートで収集することで、これから流行るであろう潜在的なニーズを引き出すことができます。同様に、自社の発売前の商品を試してもらい、その感想をヒアリングすることも有効です。
抽象的な課題やアイデア出しの段階において事実調査は有効な手段であり、アンケートを行うことによって具体的な形として徐々に見えてきます。
仮説調査
仮説調査とは、自社で抱える問題点の仮説を洗い出し、それをもとにアンケートを取る方法です。例えば、なかなか売り上げの伸びない商品があったとします。その商品が抱える問題点を自社内で徹底的に洗い出し、いくつかの仮説を立ててアンケートを取り、検証するのが仮説調査です。
実際にいくつかの課題は見えているものの、それらの中で何を優先的に解決すべきなのかを知るためには有効な方法です。また、どの課題を解決すればどの程度のユーザーに支持されるようになるのかを知ることもでき、経営効率のアップには欠かせない調査方法のひとつです。もし仮に、仮説調査で原因や解決方法が見つからない場合は、事実調査など別の方法によってアンケートを取ることもあります。
ブランドイメージ調査
ブランドイメージ調査とは、自社または商品の知名度を図るために行われる調査です。メーカーまたは商品名がどれだけ世の中に知れ渡っているかを知るために役立ちます。マーケティング戦略のうえでも重要で、ブランドイメージが定着していれば広告費を抑えることも可能です。
ブランドイメージ調査では、ポジティブなイメージだけではなく、マイナスのイメージを持たれている場合もその結果が顕著に現れます。しかし、マイナス要因となっている事柄をクリアすればブランドイメージの復活にもつながるため、チャンスと捉えて課題に取り組むことで売り上げアップにつながります。
満足度調査
顧客満足度という言葉を耳にしたことのある人は多いのではないでしょうか。これを調査するための手段が満足度調査です。商品やサービスに対して満足しているか、不満な点はないかを多角的に洗い出します。
満足度調査においては、単に商品やサービスだけではなく、サポートの充実度、営業の質など、人的要因も直結することが大きな特徴でもあります。どれほど良い商品であったとしてもサポートが疎かになっていたり、営業の人間に商品知識がなく質問に答えてくれないような場合は顧客満足度は大幅に低下してしまいます。
裏を返せば、商品やサービスに課題があったとしても、それ以外の部分で顧客満足度はカバーできるということでもあります。これから商品を購入する層ではなく、既存ユーザーのニーズを適切に把握するために満足度調査は重要な項目です。
市場調査におけるアンケート収集のコツ
市場調査でアンケートを収集する際、当然のことながら調査内容によって質問項目も変わってきます。それぞれのアンケートにおいて、どのような点に注意して質問項目を設定すべきなのでしょうか。
アンケートの種類ごとに注意すべきポイントをそれぞれ確認していきましょう。
幅広い質問を網羅すること
事実調査においては、商品やサービスに関する質問を幅広くヒアリングすることが重要です。
例えば食品を扱う企業の場合、見た目や大きさ、色や味、香りなど、商品を構成するあらゆる項目を網羅してアンケートを組み立てることで、ユーザーの潜在的なニーズを把握することができます。どのような商品を開発すれば売れるのか、アンケートの結果に沿った商品を開発することによって売り上げアップが期待できます。
この他に、商品開発のヒントになるようなアンケートも有効です。周囲で流行っているもの、SNSで話題となっているものなどを調査することで、それらをヒントに新たな商品をリリースすることにもつながります。
掘り下げた質問をすること
仮説調査においては、できるだけ質問の幅を狭めることが重要です。例えば、商品に対する不満点をヒアリングする際、味や見た目、価格など複数の候補を挙げ、それらの中で不満だと思うものにチェックを入れてもらうようにします。
自社商品に対する課題を解決するためには、その商品のどのような部分が欠点であるのかを把握する必要があります。そのために、まずは社内で意見を出し合い、ユーザーにとって不満だと思われる事柄をピックアップしておくことで、仮説調査はスムーズに行うことができます。
多角的なイメージ調査
ブランドイメージ調査においては、特定の分野の中で想起するブランドは何か、ブランド名を聞いたことがあるか、実際に購入経験があるかなど、多角的に質問をします。
想起するブランドであった場合、その分野において自社は大きな強みを持っているといえます。また、ブランド名を挙げ、そのブランド名を耳にしたことがあった場合もブランドイメージは強いことが分かります。
ブランドイメージを調査する中で、自社の欠点や課題が見えてくることもあります。多角的にイメージ調査をすればするほど、その課題もより鮮明に浮き彫りになってくるでしょう。
不満点の特定
満足度調査において必ず出てくるのが自社商品やサービスへの不満点です。単にアンケートを取っただけでは無意味であり、不満点を洗い出すだけではなく、その原因を特定できるような質問項目を網羅することが重要です。
そして、不満点を改善するために社内のあらゆる部署を巻き込んで一丸となって取り組むことで初めて満足度調査の効果が得られます。
市場調査を効率的に行うために
市場調査やマーケティングは精度の高いリサーチとデータ収集がカギとなります。アンケートを活用するためには、質問の内容やボリューム、アンケートを取る方法も重要です。自社で市場調査のノウハウがない場合、効率の良い市場調査を行うためにはどのような方法があるのでしょうか。
アウトソーシングの活用
自社に市場調査のノウハウがない場合は、アウトソーシングへの委託も可能です。アンケートのテンプレートはインターネットでも入手可能ですが、個別の企業やニーズに応えるためには雛形にないオリジナルの質問項目を盛り込むことで、より精度の高いアンケート結果となります。
アウトソーシングの業者には豊富な市場調査のノウハウを有している企業も多く、委託することで精度の高い調査結果を得ることができます。