フリーランスや副業・パラレルワーカーの皆さんにとって、面倒な事務処理の季節がやってきました。毎年2月にやってくる一大イベント、確定申告の時期です。わたしもインハウスのエディター・ライター&雑務を務める傍ら、副業で記事を書いています。
そこで初心者ながら確定申告について勉強してみたので、学んだことをつらつらと綴ってみました。そういえばわたし、大学は法学部を出ていたのを思い出したところです。
※学んだことを羅列した書き下ろし状態です。ゆくゆくは編集して、読みやすい記事にしますのでご了承ください。
「そもそも、確定申告って何?」という人にはまずこちらから。
確定申告(かくていしんこく)とは、日本の租税に関する申告手続を言い、日本においては次の諸点を指す。
- 個人が、その年1月1日から12月31日までを課税期間として、その期間内の収入・支出、医療費や寄付、扶養家族状況などから所得を計算した申告書を税務署へ提出し、納付すべき所得税額を確定すること
- 法人が、原則として定款に定められた事業年度を課税期間としてその期間内の所得を計算した申告書を税務署へ提出し、納付すべき法人税額を確定すること
- 消費税の課税事業者である個人又は法人が、課税期間内における消費税額を計算した申告書を税務署へ提出し、その納税額を確定すること
出典: Wikipedia
何年も確定申告をしているベテランであれば、会計ソフトを利用して造作もなく手続きを終えるでしょう。『会社員としての本業だけ』という人であれば、そもそも無縁の世界。
しかし昨年から会社以外からの所得を手にした人にとって、「よくわからないし、面倒だと聞いて……」戦々恐々しているはず。本稿では、初めての申告者に向けてノウハウ&ティップスをお届けします。
確定申告の準備は、まずここから
そもそも確定申告って何をするの?
確定申告とは、簡単にいえば『自分の収入を正確に申告して正しい税金を納めること』です。会社員など給与所得者の場合は、毎月の給与振込前に天引きされているので、収入の申告も納税も会社が代理で行なっています。
ですが、給料以外の所得、たとえば不動産収入や副業での収入、転職をして源泉徴収票を出していない場合などは、正しい収入を報告する必要があるのです。
「できることなら税金を納めたくないなぁ……」「国民の義務だから仕方ないけど、できるだけ少なくして欲しい」というその気持ち、誰もが抱いています。「ハイハイ。でも決まりなんでっ!」と冷たくあしらわれるのだろうと、諦めていませんか?
正確な金額で納税するための申請
でも確定申告の目的は、『正確な額を納税すること』です。払いすぎてしまった場合、もしくは納税を免除される収入部分がある場合、すなわち『正確な納税額』ではないケースに該当すれば、既に納めたお金を取り戻すことができるのです。
会社勤めをしている方でしたら、『年末調整』を行なっていますよね。あれのフリーランス版だと思っていただけたら、大枠は理解いただけるかと思います。生命保険や住宅ローン控除のほか、医療費控除や住宅ローン減税の1年目は、確定申告で還付金申請=お金を返してもらえるわけです。
確定申告をするにあたり、自分が払い過ぎた税金を取り戻すのか(還付金があるか)、それとも正しい収入を申告して納税するかの2点をポイントにすると、どんなものが必要なのかがよくわかります。
確定申告の還付金について
企業に雇用されている人
11月〜12月頃に、労務の担当者から年末調整のお知らせがきますよね。生命保険控除や住宅ローン控除(2年目以降)の申請をした経験があるかもしれません。会社が代行して申請してくれる『年末調整』の書類さえ記載・提出すれば、特に追加でやるべきことはありません。
ひとつ覚えておくと得するかもしれないのが、医療費控除という制度です。10万円を超える医療費があった場合、医療費控除として確定申告時に申請すれば、相応額の還付が受けられます。その場合、1年間に支払った医療費明細が必要になるので、通院した際の明細書は保管しておくよう心がけましょう。※低所得の場合は10万円を超えていなくても還付金が発生する可能性があります
また、住宅ローン控除の初年度は、確定申告をする必要があります。必要書類を確認して、早めにそろえて提出できるようにしておきましょう。
雇用されながら副業で収入を得ている人
最近では副業ブームと呼べるほど、本業以外の収入源を持つ人が増えました。副業で得ている報酬額次第では、会社が代行する年末調整だけではなく、確定申告が必要となります。
給与所得と別の副収入は雑所得と呼ばれ、報酬額が20万円を超えている場合は確定申告の対象となるのです。逆にいうと副収入が20万円以下であれば、確定申告の義務はなくなります。 ※ただし副収入が給与として支払われている場合は、2か所からの給与所得として合算した確定申告が必要です
個人事業主・フリーランスとして独立している人
個人事業主として登録していたり、フリーランスとして独立している場合は、事業主としての確定申告をする必要があります。また、会社勤めをしていても(副業をしていなくても)不動産収入がある人も確定申告が必要です。
副業の確定申告で必要なもの
副業収入に対して確定申告をする場合、以下の書類などが必要となります。
■申告書
- 確定申告書A
■提出に必要な書類
- 源泉徴収票(職場のものや年金所得を証明するもの)
- 生命保険や社会保険の控除をする場合は控除証明書など ※勤務先で年末調整をしていれば必要ありません
- 医療費控除をする場合は医療機関の領収書など
- 所得の内訳書 ※雑所得の場合は、提出する必要はありません
- 副収入を得るために支出した費用を証明できる領収書
※住宅ローン控除をする場合は初年度は書類が必要ですが省略
個人事業主の確定申告で必要なもの
個人事業主やフリーランスが確定申告をする場合、以下の書類などが必要となります。
■申告書
- 確定申告書B
■提出に必要な書類
- 控除に必要な書類
- 保険料控除
- 医療費控除
- 住宅ローン控除等
- 収支内訳書 ※収支報告書には、一般用、不動産所得用、農業所得用があります。平成26年からは白色申告でも記帳が義務化されています。必要書類の保管義務はありますが、提出物は変わりません
確定申告を青色申告で行なう場合
青色申告の場合は、上記『個人事業主の確定申告で必要なもの』に加えて、決算書の提出が必要です。
青色申告の決算書は4枚構成で、4枚目が貸借対照表です。また決算書には、一般用、不動産所得用、農業所得用、現金主義用があるので、確認をしておきましょう。
確定申告をしっかりとすることで、フリーランスとしての信頼性もあがります。わからないことは税務署で教えてもらったり、税理士に相談するなどして、必要なものをそろえて、確定申告をしっかりと終えたいですね。
確定申告っていつからいつまでにやればいいの?
確定申告は2月16日から3月15日まで
気になる確定申告書の提出期間はいつから? という点ですが、平成29年の所得については、平成30年2月16日(金曜日)から受付が開始。締め切りは3月15日(木曜日)です。企業によってはこの時期に、算消化のための発注が増える傾向にあり、しかも締め切りがタイトな案件が増えます。
「年度内の予算でやってしまいたいから、早めに納品して」と厳しいことを言われた経験はありませんか? 報酬額が高くなることもあるので、積極的に受けたいもの。だからこそ確定申告は、繁忙期になる前に準備するのが賢明です。
必要があるのにやらなければ脱税になる
サラリーマンなど、本業を持ちながら副業をしている人の中には、「年末調整をしているし、確定申告の必要はない」と思っている人もいるようですが、それは危険です。
同じように、「旦那の扶養に入っているから、私は関係ない」という人も。もちろん確定申告の必要がない人もいるのですが、まずは確認をしたほうがよいでしょう。
本当は手続きをしなければならないのに、していなかったということであれば、うっかりミスであったとしても脱税ということになります。
e-Tax を利用すれば、一足早く手続きができることも
確定申告の期間については、先に書いた2月16日からというのが正しいのですが、実はもっと早く手続きができる方法もあります。それが「e-Tax」です。
これは国税庁の確定申告のシステム準備が整う1月の下旬から提出ができるようになっています。注意点は、住基カードとICカードリーダライターが必要ということ。
住基カードには3年の有効期限があります。ICカードリーダライターは最近では1,000円ほどで購入できるように。「個人で使っている人はいないんじゃないか」と思っていたカードリーダですが、最近では利用者が増えているようです。
還付申告なら1月1日から手続きができる
意外に知らない方も多いのですが、確定申告の中には、通常の期間よりも早く申告を済ますことができる人がいます。早く済ますことができる申告が「還付申告」。還付申告は翌年の1月1日から受け付けてもらえるので、税務署が混み合う前に手続きを済ませることができます。
還付申告の対象は源泉徴収や予定納税をしていた所得税額と、実際の所得から算出した所得税額を比較したとき、すでに収めた税額の方が多い人です。
月によって収入にバラつきがあるような方は、1年を通じて所得を計算してみると、源泉徴収額より多いのはよくあることです。年末には、ぜひ所得税額を確認してみてください。
確定申告って誰に相談すればいいの?
確定申告について調べてみると、結局のところまだまだちんぷんかんぷん。大学(法学部)の授業ですら、教えてくれなかったような気がしています。もしかしたら教えてくれたのに、聞いていなかった可能性もあるんですが……。学校では習っていないと仮定して、じゃあ誰に教えてもらえばいいのか。
確定申告をすると、税金として払ったお金を返してもらえるかも知れないのは、ここまで書いてきた通りです。確定申告って、わたしたちが得をするためのもの。しっかり知って、賢く節約していくことが、フリーランスとして生きていくには必須のサバイブ術です。
改めて、確定申告の仕組みについて書いてみます。
どうしてお金が返ってくるの?
会社勤めの人の月々の給与明細には「所得税」と記載されています。これは、会社がお給料を出す前に、所得税分を差し引いて計算しているから。
しかし、この所得税の金額は結構アバウトなんです。前年度の金額を「参考」にして、月額で所得税を納めているわけですから。これが、『源泉徴収』という聞いたことのある名目です。
アバウト、ざっくりした納税額のまま生きていくのは辛いので、きちんと正確な金額を納税する仕組みにしましょうね、というのが年末調整という制度になります。年末に実際の所得金額から、しっかりした所得税額を計算して余剰分を返してくれているというわけです。
フリーランスには関係の無いことなの?
では、フリーランスの場合はどうなのでしょうか? フリーランスだから関係ないのでしょうか。実は、基本的にフリーランスに発注を行なう場合、クライアントに源泉徴収の義務がありません。
そのため、フリーランスは事業所得の約10%(厳密には、支払金額が100万円以下の場合、10.21%。100万円超の場合、100万円を上回った金額の20.42%)の所得税を自ら納税する必要があるのです。その手続きのことが、確定申告。白色申告と青色申告に分かれる確定申告ですが、各手続きに必要な準備を行ない、申告する必要があります。
所得税の対象となるものは、お給料だけではありません。株の配当金や退職金、利子での収入など、フリーランスの仕事以外の、全ての収入元から算出するものなのです。
確定申告初心者は、誰に訊く?
多額の収入がなかったとしても数千円でも返ってくれば嬉しいものです。ならば、しっかり確定申告したいですよね。でも企業に勤めていればいざ知らず、フリーランスだと頼れる人がいないので不安にもなります。
では、誰に訊けばいいのか? 答えは『税務署』です。堅苦しい響きにドキドキするけれど、本を見るより、インターネットで調べるより、ずっと簡単に理解ができます。という話をWebサイトに掲載しているので、ちょっと矛盾していますけど。
ショッピングセンターでも話せる確定申告
税務署と聞くと、なんだか緊張してしまうかもしれません。それに、あなたの街のどこに税務署があるか、知らないという人もいるかもしれません。でも大丈夫。最近では確定申告の相談のためにさまざまな場所に出張してくれています。
公的なところだと、市役所や図書館。変わったところだと、ショッピングセンターでも相談の場が設けられているケースもあるんです。初心者の質問に対しても、しっかり話を聞いて分かりやすく教えてくれるとか(まだ行ったことはありません)。
Webで完結! 確定申告は3つの方法
自宅からネットでできる? 確定申告をする方法
自宅にいながら、ネットを使って確定申告をする方法があります。2004年からはじまった、e-Taxというシステムを使うことで、税務署に出かけることもなく、自宅にいながら確定申告をすることができます。そのe-Taxを利用する方法として
- 申告書のデータを自宅で作成、電子証明書を利用してインターネットを使って送信する方法
- 申告書のデータを自宅で作成して、印刷したものを準備して、税務署に郵送する方法
- 申告書のデータを税務署のPCで作成して、そのまま送信する方法
の3つがあります。「どこで作成するか」「どうやって送信するか」によって、自分にとって一番やりやすい方法を選ぶことができます。それぞれのメリットデメリットを見極めて、確定申告の準備をしましょう。
1:確定申告書の作成、送信も自宅からネットからする方法
e-Taxを使って、自宅からネットですべて終わらせたい場合は、いくつか事前準備が必要です。それさえクリアできれば、すべて自宅で作業することができるので、何かと忙しいフリーランスや、副業で仕事をしている人には、とても便利なシステムといえます。
メリットとして……
- 確定申告の時期に税務署に出かける必要がない
- 夜間受付、土日祝日も受け付けてくれるので、いつでも提出をすることができる
- 添付書類を送らなくていい
- 基本的なデータが受け継がれるので、変更がなければ特に記入する必要がない
なるべく時間を節約したい人や、慣れている人にはオススメの方法ですね。
ネットで確定申告をするための準備
e-Taxを利用するためには、いくつか事前の準備が必要になります。
PC推奨環境
国税庁で動作を確認されている環境が推奨されています。国税庁のホームページをみて、まず最初に、ご自分のPCで使用できるか確認しましょう。
電子証明書の取得
作成したデータを送信するための、電子証明書を取得する必要があります。電子証明書の取得のためには、これまでは住基カードが必要でした。 ※平成28年1月以降に初めて電子証明書を取得する場合は、個人番号、いわゆるマイナンバーが必要となります。電子証明書の期限は3年となっていますので、平成28年1月以降も期限が切れていなければ、同じ電子証明書を使用することができます。市区町村の窓口で申込み、取得には500円程度の費用がかかります。
ICカードリーダー
e-Taxで作成したデータを、電子証明書を使って送信するためには、ICカードリーダーが必要になります。3,000円程度で家電量販店やネットショップでも購入できます。
こうしてみると、事前準備に費用がかかる点や、意外と手間がかかる点を考えると、少しハードルが高いかもしれません。
2:確定申告書の作成は自宅、送信は郵送する方法
申告書の作成と送信を両方とも自宅でネットで済ませるためには、事前準備が必要であることがわかりました。ネットで気軽に確定申告をしたいな、と思っていても、事前準備に費用がかかったり、電子証明書の取得のために役所に出かける必要があるのはデメリットです。
そう考えると、申告書の作成はe-Taxを使い、印刷して税務署に郵送する方法が、忙しいフリーランスにとって最も効率的かもしれません。
自宅のPCからe-Taxのシステムを使って申告書を作成できるので、必要な資料をまとめながら作業ができ、メリットも大きいのではないでしょうか。
3:確定申告書の作成、送信を税務署のPCでする方法
自宅からネットで確定申告しようと思っても、初めての人には難しいかもしれない! そう思ったならば、税務署に直接行くのが一番早くすみます。
税務署には、確定申告作成コーナーがあり、備え付けのPCから確定申告書を作成することができます。税務署の署員がすぐそばにいるので、わからないことは聞きながら作業を進めることができます。
これなら、後から不足する資料があったり、何か間違えてしまってやり直すということもありません。ただ、確定申告のシーズンになると、税務署の窓口はとても混雑します。
なるべく資料は自宅でまとめるなどしておくと、税務署で慌てることなく作業できますね。フリーランスとして独立した人、副業として副収入を得ている人、それぞれ状況は違いますが、確定申告期限の3月15日間際になって大慌てで準備をするよりは、余裕をもって確定申告を済ませましょう。
フリーランスがやるべき確定申告書作成までのステップ
確定申告書の作成前に知っておきたい源泉徴収の仕組み
確定申告や書類作成のお話をする前に、フリーランスの源泉徴収について触れておきましょう。源泉徴収はサラリーマンで言うと、会社が社員に代わって給与から所得税などを納税するシステム。
では、フリーランスの場合はどうでしょう? 基本的に、税金の管理はすべて自分でやらなければなりません。しかし、クライアントや仕事の内容によって、源泉徴収されるケースとされないケースがあるということを覚えておきましょう。
たとえば、あなたが報酬を受け取るときに、10.21%の税金(100万円以下の報酬に対して)が差し引かれていたら、それは源泉徴収されています。
この場合は、確定申告時に、源泉徴収された額を申告することにより、納め過ぎた税金が戻ってくるケースが多くあるのです。あなたの報酬が源泉徴収されているかどうか? まずは、それを確認してみましょう。
38万円を超える年間所得がある人は、確定申告をする義務がある
フリーランスになりたての人は、確定申告って一体何? 確定申告書ってどうやって作成するの? という疑問を抱えているのではないでしょうか。
確定申告とは、1年間で収めた税金の額をはっきりさせる手続きのこと。フリーランスに関しては1月1日から12月31日までの所得(収入から経費を差し引いたもの)を明記した申告書を作成して税務署に提出します。
税金を納め過ぎていた場合は払い戻され、逆に税金を納め足りていなかった場合は納めます。「確定申告」と「書類の作成」と聞くと、なんだか大変な作業のように思えるでしょう。
しかし、フリーランスとして実績を積んでいく上で、確定申告は避けては通れない道。いったん確定申告の流れを把握すれば、スムーズに作成作業が進むはずです。
では、どんな人が確定申告をするのか? 1年間の所得から基礎控除額38万円を引いて残額がある人 = 38万円を超える所得がある人が、確定申告をする義務があります。 ※人によっては、基礎控除に他の控除額が加算されるケースもあります
毎年、確定申告できる期間が決められ、今年は2018年2月16日(金)〜3月15日(木)までとなっています。
白色申告と青色申告の違いについて知っておこう
まず、確定申告書を作成しようと思ったときに、「白色申告」か「青色申告」かのどちらかを選ばなければなりません。それぞれが持つ特徴を踏まえた上で、自分で好きな方を選べます。
ただ、青色申告には前もって申請が必要であり、すぐにはできないことを覚えておきましょう。
白色申告の特徴
- レシート保管や簡易帳簿への記録をもとに、比較的簡単な事務処理で済む
- 収入が少ない人向き
- 特別控除などはない
青色申告の特徴
- 事前申請が必要 ※開業後2カ月以内、またはその年の3月15日まで
- 細かな記録と経理知識が必要
- 特別控除がある
フリーランスが確定申告書を作成しようと思ったら、白色申告から始める人がほとんどです。そして、収入が増えるにつれて、特別控除などの恩恵が受けられる青色申告に移行していくパターンが多いと言えるでしょう。
フリーランスビギナーの確定申告は「白色申告」!
ここでは、フリーランスになりたての人が選びやすい「白色申告」の流れをご紹介します。
- レシートや領収書を集める
- 帳簿を付ける
- 確定申告書の作成
まず、確定申告書の作成に備えてやるべき作業は、レシートや領収書を保管して、帳簿を付けることです。また、帳簿と領収書などの保管は白色申告者すべてに義務付けられています。
帳簿は普通のノートへ手書きでも問題ありませんし、オンラインで無料配布されているフォーマットを利用してもいいでしょう。
帳簿の記入は、シンプルに日付と内容、金額、取引先を記録していくだけ! そして、年が明けると1年間の帳簿と領収書などがそろい、いよいよ確定申告書を作成する準備が整います。
ちなみに源泉徴収された報酬がある場合は、年末年始にかけてクライアントから発行される源泉徴収票を大切に保管しておきましょう。
さて、白色申告に必要な書類ですが「確定申告書B」と「収支内訳書」の2種類の用紙になります。この2種類の用紙は国税局のホームページからダウンロードするか、税務署の窓口から受け取りましょう。
どうやって確定申告書を作成・提出する?
確定申告書の作成は、手書き、または国税局のホームページからデータ入力する方法があります。国税局による『確定申告書入力コーナー』では、入力データを途中で保存したり、自動計算機能などもあるので便利です。
同時に「所得税の確定申告の手引き(確定申告書B用)」と「収支内訳書(一般用)の書き方」を確認しながら、作成作業を進めていきましょう。そして、書類の作成が終わった後は、各控除関係の書類の添付をして、いよいよ提出となります。
確定申告書の提出方法
提出の方法は前項で解説した通り、3つあります。
- 郵送する
- 税務署に直接持って行く
- e-Tax
e-Taxはインターネットで納税するシステムですが、事前準備やICカードリーダーなどの購入が必要になります。書類添付の省略や還付が早いと言うメリットもありますが、確定申告ビギナーの人は、郵送するか税務署に行くという方法がお勧めです。また、書類に不備がないかどうか心配! という人は、税務署に直接行って質問すると安心でしょう。
確定申告ができるようになったということは、フリーランスとしての成長の証! 必要な知識を身に付けて、年に1度の確定申告をスムーズに終わらせましょう。
確定申告における租税公課とは? 落とせる経費を見逃さないための税の話
少し小難しいですが、税のお話を記載しておきます。うっかり計上し忘れているかもしれない、「租税公課」についてです。
いまさら聞けない確定申告! 経費にできる租税公課とは?
確定申告のなかでも青色申告を行なう際に必要となる損益計算書。経費欄のトップ項目にあがっているのが「租税公課」です。租税公課とは、経費で落とすことができる税金や公的な負担金のこと。
しかし税金と名のつくものすべてが租税公課として計上できるわけではなく、事業に関した税金であることが条件となります。一方で、経費にできるのに見落としてしまっている税金たちもチラホラあってもったいないです。
わたしも自分で帳簿をつけ始めた頃、なんとなく仕訳してはいるものの、いったい「どれがOK? どれがNG? ん〜わからない!」と諦めかけたこともありました。そこで、毎年来る確定申告へ向けて、あらためて租税公課について調べてみました。
租税公課(ソゼイコウカ)って何デスカ?
租税公課。暮らしのなかではあまり見かけない言葉です。読んで字のごとく「租税」と「公課」を組み合わせたもの。
租税とは国や地方におさめる税金のこと。公課とは、住民票の発行手数料や罰金など、公的機関に支払う税金以外のものを意味します。
個人事業主が経費に計上できるのは事業に関わる税金に限られており、住民税など個人にかかる税金や、交通違反による罰金などは租税公課とはなりません。
プライベートにも仕事にも使っているもの、たとえば自宅 兼 事務所や車などにかかる税金については、どれだけの割合を仕事に使っているかによって、使用分を経費として計上できます ※これを按分(あんぶん)といいます
わたしたちフリーランス・個人事業主になじみの深い税金といえばおもに所得税、住民税、個人事業税、消費税といったところでしょうか。
個人事業主が納める税金のベースは確定申告にあり
確定申告書の2枚目は住民税用です。所得税の確定申告を行なうと、その額をもとに住民税や個人事業税も算出されるようになっています。ただし消費税は別途、専用の確定申告書を作成して提出します。
所得税
確定申告により自分で算出します。後日届く納税通知書に従って3月15日(確定申告の提出期限日)までに税務署へ納めます。各種控除の結果、所得税が0円になることも。
住民税
都道府県民税と市町民税をあわせて、住んでいる市区町村へ納めます。一括納付または分割納付(4回払い)を選択できます。
個人事業税
青色申告特別控除前の所得金額に対し、業種により3〜5%課税されます。事業主控除が290万円あるため、それ以下であれば納めることはありません。納税通知書は8月、11月の年2回送られます。
消費税
売上時に預かった消費税(仮受消費税)から、仕入などで支払った消費税(仮払消費税)を引き算して納付税額を求めます。
ただし開業後の2年間と、前々年の課税売上高が税込1,000万円以下のとき納税義務は免除となり、消費税の差額があっても納める必要はありません。スキルで報酬を得るタイプのフリーランスは仕入がかからない分、ちょっと恩恵を受けられそうですね。
もったいない! 見落としがちな租税公課あれこれ
上記の4つの税金のうち、租税公課として経費で落とすことができるものはどれでしょう? 答えは「個人事業税」です。「所得税」「住民税」が該当しないのは、これらが事業に関係する費用ではないためです。
消費税については課税事業者の場合のみとなります。もし事業のお金で支払った場合は、「事業主貸」で処理するのが適切です。
また領収書や契約書に貼付する印紙の代金(印紙税)も忘れずに租税公課へ計上しましょう。事業と個人で共用しているものにかかる税金は、使用の割合に応じ按分(あんぶん)した金額が経費になります。
たとえば自宅 兼 事務所として使っている住まいにかかる固定資産税や、営業にも使っている自家用車にかかる自動車税、軽自動車税、自動車取得税、重量税などは按分して計上します。
もし事業のみに使用しているのなら按分する必要はありません。ちなみに国民健康保険料(税)や国民年金掛金、介護保険料などは税金ではありません。
「社会保険料控除」として確定申告時に所得から差し引くことができるので、払込証明書は申告まで大切に保管しておくと安心ですね。うっかり計上し忘れているものがないか、再度ご確認くださいませ。
サラリーマンだって申告できる、確定申告の「医療費控除」
確定申告で医療費の一部を取り戻せる
確定申告における医療費控除とは、その名前の通り1年間にかかった医療費を申告することで所得控除が受けられることです。もっとわかりやすく言えば、たくさん病院に行ったり薬を買ったりして医療費がかさんだ場合には、その年の税金を安くしますよ、という制度。
この制度は納税者なら誰でも利用することが可能です。もちろん、フリーランスだけでなく、年末調整を行なっている会社員でも可能です。その医療費ですが、1年間で10万円以上の医療費の支払いが対象となっています。健康な人であれば年間10万円も医療費を支払うことはないのではないかと思うでしょう。
しかし医療費控除の内容をきちんと知っていれば、意外と10万円程度は支払っていることがわかります。以下、具体例をいくつか挙げてみますので、これまで見過ごしていたケースがあれば、確定申告の際に申請してみてはいかがでしょうか。
医療費控除は、生計を同一にする扶養家族分が合算できる
確定申告における医療費控除について、多くの人が勘違いしているのが「ひとりで10万円も医療費がかかる年なんて無い」と思っていること。
確かに健康な成人であれば、年間10万円も医療費を払うことはそうそうないでしょう。しかし、実は医療費控除は「生計を同一にしている家族」の医療費の合算であり、決して自分ひとりにかかった医療費ではないのです。
例えば夫婦 + 子供ひとりの家庭で奥さんが専業主婦の場合、3人の合計医療費の合算が10万円を超えれば確定申告が可能になります。
子供が小さければ通院治療費がかかってしまったり、体育会系の部活でけがや骨折をしてしまったり、あるいは家族内でインフルエンザが広まって全員で通院したり……。自分ひとりだけなら届かなくても、家族3人合わせれば年間10万円を超えてしまうということ、あるのではないでしょうか。
このように生計を同一にしている家族分を合算して10万円を超えていれば、確定申告を行なうことで所得控除を受けることができるのです。
医療費控除できる治療費とはどういうものか
医療費控除ができる医療費には、どのようなものがあるのでしょうか、まずは病院へ通った際の治療費。病気やけがの程度により、入院した際には入院費用も対象です。
次に通院先から処方された薬の購入費。さらに、医院への交通費も対象です。ただし、自家用車ではなく公共交通機関を利用した場合のみが対象となります。足のケガにより電車やバスが利用できない場合、タクシーで通院したのであれば、タクシー代を交通費の対象とすることが可能です。
そのほか、出産費用も医療費、ドラッグストアにおける医薬品の購入代金も医療費として算入できます。
共通して注意すべき点は「治療」のために費用が発生する点であること。医療費控除で議論となるポイントとして「治療 or 予防」があります。
医療費控除は「治療」のための支出に限定されます。いくら病院治療費とはいえ、インフルエンザの予防接種代は対象外となり、薬局で購入する花粉症対策のマスクも対象外なのです。
ほんとに? こんなものも医療費控除できる
治療という点に重きを置いた医療費控除の算入基準ですが、意外な支出も医療費控除として確定申告の際に申告することが可能です。
インプラント治療
例えば歯科医師によるインプラント治療がそれ。通常インプラントは保険適用外のため高額になるケースがほとんどなので、これが適用されると嬉しいですよね。 ※美容目的は対象外
肩こり治療の医薬品
筋肉痛や肩こりの際に行なうお灸や、はり治療の治療費も対象です。また、薬局で購入する医薬品についても意外なものが対象となります。
いそじん、最強
のどが荒れた時に第一想起する、『イソジン』は「医薬品」扱いとなり医療費に該当するんです。同様にちょっとしたケガの際に使用する絆創膏やガーゼ、消毒薬も医療費ですし、患部を固定するサポーターも算出対象になります。
花粉症のお供
花粉症の目薬も点鼻薬も医療費です。これらひとつひとつの単価は安い物が多いですが、年間トータルで考えるとそこそこの額になるでしょう。
単身者でも、医療費控除の10万円に届く?
これを機会に、昨年の医療費をざっくりと計算してみてはいかがでしょうか? あまり病院に行かないという人でも、歯科や薬局での医薬品の購入をした記憶があるかもしれませんね。交通費まで換算わけですから、思っていたより支払っている可能性があります。
例えば花粉症であったり禁煙外来であったり、あるいは歯石除去であったりと、健康な方でも通院するケースと言うのは思っている以上にあるものです。ましてや持病があればその頻度が上がり、10万円以上を支払っていたかもしれません。
所得控除の条件は様々な制約があるので、詳細は国税庁のHP等を参考にしてみてください。
※ちなみに、年間所得200万円以下の場合、医療費控除は10万円以上ではなく所得の5%となります。例えば年間所得150万円であれば7万5千円を超えれば申告できます
個人事業でこの経費は認められるか、専門家に聞いてみた!
確定申告で経費として認められる基本的な要件
個人事業主の場合、確定申告で経費として認められる経費の内容としては、原理原則として「業務で必要である」という名目を考える必要があります。 ※税理士や税務職員によっては見解が異なるケースもあります
個人事業主の場合、自宅で業務を行なうことも多いでしょう。その場合、家賃の一部を経費で落とせるという話は多くの人が耳にしたことがありませんか。業務で必要である、という名目が立っている場合は可能なんですね。
趣味の支出を個人事業の経費として申告してみる
実はわたし、夜景撮影の趣味を持っています。先日も都内をはじめ、横浜や静岡県まで足を伸ばしてきました。その都度、念のため移動に使った高速代とガソリン代の領収書を保管しています。また長時間露光のために、カメラのシャッターをリモート化する機械(リモートレリーズ)を購入したので、それも領収書を貰ってみました。
ついでに……ガメツイのですが、前から欲しかった手袋を購入したんですが、それも領収書を。大寒波の押し寄せた今年は、手袋がないと撮影にならないですからね(という言い訳です)。
これらが経費にならないか相談したところ……、「静岡までの交通費とリモートレリーズが該当するのでは」と答えてもらえました。その理由は、昨年に執筆した記事のひとつに、静岡の夜景写真を利用したから。夜景スポットの紹介記事ではありませんでしたが、記事内の一項目を使って写真と場所の紹介をしました。
交通費は取材名目になりますし、夜景のためにレリーズを購入するのも理由になるとのこと。趣味にも使えるとはいえ、業務への関連性が認められる場合は経費として申告しても大丈夫という結果でした。
休日の旅行費を個人事業の経費として申告してみる
休日を利用して、ふらりと小旅行をすることがありますよね。このときの交通費はどうでしょうか。結果は、現地で撮影した写真を利用したり、グルメスポットの記事や旅行体験談に利用したのであれば、OKとのこと。
「小旅行ついでに訪れたところを仕事にした」ケースでも、記事に利用した場所以外も訪れて個人的に楽しんだかどうか、は論点にならないそうです。
個人事業主の経費は、意外と認められやすい
個人事業主の場合、思ったよりもずっと、広範囲の支出が経費として認められるようです。接待交際費は100%算入できますし、家賃や光熱費も按分で算入できます。
服や美容院代も可能ですし、もちろんパソコンやスマホは大事な仕事道具ですから問題なし。個人事業に関連性を持たせること、その名目を考えること。それができれば、ほとんどの経費は認められるという感覚でした。
いったん、ここまで。