コンテンツマーケティングがはやっているらしい。ぜひ我が社でも導入したい。しかし、何から始めたらいいんだ? カネがかかるんだろ? 難しいんだろ? いいえ、何も難しいことはありません。あなたのビジネスでも取り入れられる、世界一カンタンなコンテンツマーケティングの取り入れ方をご紹介します。
コンテンツマーケティングってなんだっけ
まずはじめに、コンテンツマーケティングとは何かをおさらいしておきましょう。
横文字であることからも分かりますが、多くのビジネス手法・概念と同じように、アメリカから輸入されたマーケティングの概念です。
一般的には「コンテンツ」という言葉が指し示すのは、映画や楽曲などかと思います。しかしコンテンツマーケティングの文脈では、「情報の受け手にとって有益な情報」と広義。単に「情報」だけではなく、顧客や見込み顧客などの「受け手にとって有益」である点に注意が必要です。また、情報を発信する手法や場なども包括して、コンテンツと呼ぶことがあります。
コンテンツマーケティングの原型は1800年代につくられており、無から生まれた真新しい考え方ではありません。ところが昨今のソーシャルメディアやデジタルメディアの台頭により、企業側からの一方通行な情報提供ではなく、双方向性をもち、かつリアルタイムのコミュニケーションが取れるようになりました。
これを後押ししたのが、通信環境やデバイス、リテラシーなどの技術革新。人々は、誰でもいつでもどこででも、情報に触れること・発信することが可能となりました。このような時代背景を含めて、日本においてもコンテンツマーケティングがブームとなっているのです。
明日から始められるコンテンツマーケティング
世界で一番カンタンなコンテンツマーケティングの始め方は、ブログを書くこと。
勿体つけておいて、「そんなことか!?」とご立腹なさったかもしれません。でも事実として、「ウェブメディアを立ち上げる」などと大げさなことをせずとも、ブログを作成することで代用が効くのです。
ここで思い出していただきたいのが、冒頭にお伝えした「コンテンツ」とは何か。「情報の受け手にとって有益な情報」であると定義しました。これを意識することで、たかがブログではなく、立派なコンテンツマーケティングの機能を果たすのです。
自社のサービスについて広めるために、コンテンツマーケティングを取り入れるのであれば。社員が感じていることや直面していることを、ブログに載せて発信するのです。
この場合、想定している読者は顧客および見込み顧客。日々の営業で顧客と対面した際、どのような話をしたのか、どのようなソリューションをしたのかを書くだけで良いのです。
顧客は何らかの課題を解決するために、あなたの持つ商品やサービスを利用しているのでしょう。では、どのような課題を持っていたのか。解決手段として、これまでに何を検討して取り入れてきたのか。その結果、課題は解決されたのか。
課題解決がなされていなければ、貴社の商品やサービスのどこに魅力を感じてくれているのか。導入するにあたっての障壁は何があるのか。その壁をどうやって乗り越えるのか。導入後のフォローであれば、困っていることや成功事例など。
これだけで、あなたの広めたいサービスをコンテンツに乗せて発信することができます。肝となる「情報の受け手にとって有益な情報」であることも、充分に満たせるでしょう。
成功事例だけにこだわらず、失敗したことや質問されたこと、他社と比較されたことなどでもかまいません。毎日の営業日報を、外部に見せられるように加工するだけ。
何も難しいことはなく、必要以上の予算もありません。このようにブログは、非常に簡単に始められるコンテンツマーケティングなのです。
ブログで広がる、二次利用によるコンテンツマーケティング
コンテンツ資産の有効活用として、eBookを検討してみましょう。同じカテゴリにくくれる記事をまとめて、ダウンロードできるコンテンツに二次利用するのです。ダウンロード時にメールアドレスを取得すれば、見込み顧客への連絡先を取得することも可能。とにかく広く読んで欲しいのであれば、何のアクションもなくダウンロードできる状態でよいでしょう。
コンテンツに少し手を加えて再利用することで、過去のものとなった記事でも、有益な情報を再配信する口実がつくれるのです。
ブログによるコンテンツマーケティング成功事例
ブログの有用性をお伝えしたところで、実例をひとつご紹介します。ブログからコンテンツマーケティングを開始し、大きな成果を得た事例です。
Mint.com社は、MintLife というブログを運営しています。きかっけはスタートアップらしく、広告に投下するお金がなかったことだそう。予算を使えない分、知恵を絞って考え出したのが、ブログによるコンテンツマーケティング。
当初は創業者が記事を書くという体制でスタートし、徐々に外部ライターによる寄稿記事を増やしていきました。結果、個人資産に関する情報ブログとして認知されることに。同社が見込み顧客とする個人資産に興味がある人が検索するキーワードにおいても、上位表示されるほどのブログに成長しました。
MintLifeに掲載される記事は、例えば以下のようなものがあります。
◎How Do I Start Saving for My Child’s College Education?
(子供を大学に通わせるためには、どうやって貯金をしたら良い?)
◎How Much to Spend on Your Valentine
(バレンタインを成功させるには、高額な贈り物が必要?)
◎The Lifetime Costs of Pets
(ペットを家族に迎えるために、必要となる費用)
多様な記事が掲載されながらも、決してブレていないのが「個人資産にまつわる記事」「家計に関係する記事」を出し続けるという方針です。
直接的に家計簿ソフトを売り込むのではなく、見込み顧客となり得る人が興味を持つ話題を発信しています。売り込みたいプロダクトの周辺情報を、ユーザーのニーズに合わせて記事にしているのです。
例えば、子供が生まれて、将来は大学まで通わせたいと思っている両親。いったいどのくらいの貯金が必要で、その金額を貯めるまでの期間や方法について知りたくなります。きっとパソコンやスマホから、検索エンジンを利用するはず。いくつかのページを見るうちに、MintLifeにたどり着くでしょう。MintLifeには多くの記事が掲載されており、個人資産についてのさまざまな情報を得ることになります。
同時に、家計簿ソフトMint.comの存在を知ることに。すぐに利用を始めなくても、名前が刷り込まれたり、有益な情報を得るためにRSSに登録というアクションを起こすことは想像できます。
このようにして同社は、見込み顧客を増やすことに成功したのです。すべてがブログの効果とは言えませんが、現在では会員1000万人を突破するほどのサービスに成長しました。広告費用が捻出できないから始めたブログが、狙いを定め継続することで、大きなリターンに変わった事例です。
ブログで始める、世界で一番カンタンなコンテンツマーケティング
いかがでしたでしょうか。コンテンツマーケティングという敷居の高い言い方を忘れて、ブログで日々の仕事を発信する。それだけで、コンテンツマーケティングははじめられるのです。
社員が書くブログだけではなく、専門家による解説やプロの文章が欲しいのであれば、予算を計上して本格的にコンテンツマーケティングを実施することも可能。手始めとして、カンタンにスタートできるブログによるコンテンツマーケティングについてご紹介しました。
明日からでも始められる、世界で一番カンタンなコンテンツマーケティングの始め方でした。現場からは以上です。