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Webライターとは? 仕事の種類、求められる業界、必要なスキルはこれ

Webライターとはどんな仕事か

わたしが文章作成の仕事を始めた頃には、Webライターという言葉を聞くことはありませんでした。いまでは「初心者からでも挑戦できる!」みたいな触れ込みで、Webライターを推す声が多くなりました。そもそもライターにしろ、そのほかの職業にしろ、未経験から挑戦できるに決まっているんですけどね。

本稿ではWebライターなる職業の正体に迫ります。どんな仕事内容で、どんなスキルが必要で、いったい幾らくらい稼げるのでしょうか。また、無印のライターとWebライターとは、何が違うのかも考えてみます。

Webライターとは読んで字のごとく、Webのライター

Webライターとは、Web(インターネット)に掲載される文章を書くライターのこと。ひと昔前、インターネットが今ほど広まっていない時代であれば、ライターが活躍するのは紙媒体でした。雑誌や書籍、新聞やパンフレットなどですね。

90年代に入ってインターネットが普及し始めると、企業や個人がホームページを開設するように。個人のホームページは、現在でいうブログに近いものが多かったのですが、企業のホームページはいまと同じような位置付けで存在していました。デザインのトレンドやそもそも表現するための技術が進歩していますので、見た目や得られる情報においては、現在の方が比べ物にならないほど豊かではありますが。

ちなみに俳優の阿部寛さんのホームページは、古き良き時代のテイストのまま、現在も更新し続けられています。これを「ダサい」とみるか、「ノスタルジックでいいな」と懐古な気分に浸れるかは、あなた次第です。

話を戻して、企業のホームページ。ここに掲載されていたのは、90年代においても、公式な情報でした。個人が日記のように書いた文章ではなく、多くの場合では、プロのライターが文章を作成していたのです。担当したライターさんは、「自分はWebライターだ」という意識はなかったでしょう。『これまで書いていた、会社案内のパンフレットに掲載していた文章の掲載先がインターネット上に変わっただけ』という感覚だったかもしれません。

勘の良いライターであれば、当時からインターネットの可能性を感じ取っていて、「これからはインターネットの時代になるぞ」と気が付いていた可能性はありますね。

Webライターが書く場所

前段で少し触れましたが、Webライターとは従来のライターと違い、インターネット上に掲載される文章を執筆します。企業のホームページをそのひとつとして取り上げました。ただし当時は、従来の紙媒体に書いていた文章がインターネットに載せ変えられただけ。現在ほどインターネットの重要性は高くありませんでしたし、Webライター特有のテクニックも不要でした。

Webライターの特異性について紹介するためにも、彼らがどのような媒体で執筆しているのかを知っておくと話が早そうです。

Webライターと呼ばれる人たちは、先に挙げた企業のホームページに掲載する文章を執筆します。他にも、企業が運営しているオウンドメディアにも寄稿しています。Web上にある広告文章も作成するでしょう。ニュースサイトの記事も書きますし、ECサイトの商品説明文章も書いています。1年ほど前に話題となった、キュレーションサイトの文章(と呼んでいいのか悩むところですが)も執筆していました。メールマガジンの文章を執筆するケースもあります。

Webライターが書く場所とは、インターネット上にあるあらゆるテキストが該当するのです。と書いておいて疑問が生じたのですが、プレゼンテーションに用いる資料作成は該当するのでしょうか。90年代からパワーポイントは存在して、プレゼンで活用されていました。マイクロソフト社のオフィスシリーズですね。ところが昨今では、マイクロソフトもそうですが、グーグル社が提供するプレゼンテーションツール『Google スライド』があります。このスライドに記載する文章をつくる場合も、Webライターならではの仕事といえるのか。答えのない疑問でした。

Webライターが求められている業界・ジャンル

Webライターのニーズが高い業界であったり、ライティングを依頼されるジャンルについても考えてみます。Webライターが求められる業界は、他の仕事や紙媒体のライターと比べて偏りがあるのでしょうか。結論から述べると、Webライター業界(なんだそれ)全体でみれば偏りはなさそうですが、相対的には広義のWeb系の企業やスタートアップ・ベンチャー企業からの依頼が多いという肌感覚です。

Webライターに限らずライターは、基本的には『文章を求めているクライアント』という発注主が存在します。基本的と表記したのは、自社コンテンツの制作者というライターやWebライターが存在するからです。このようなケースと個人が趣味でやっているブログを除外すれば、発注主がいてこそ成り立ちます。自分の好きなことだけを書けるわけではないのです。

Web上に掲載するコンテンツを執筆するわけですから、必然的にWebを活用している企業なりが発注者となるケースが多くなります。よって比率的には、Web系企業が増えると考えられるのです。

ただしインターネットが普及する前から存在していた大企業やレガシーな会社であっても、いまどきWebを活用していないほうが稀有な存在ですよね。自動車メーカーでも銀行でも、食品会社でも飲食店でもそう。慶長何年から続く老舗の旅館みたいなところでも、Webサイトを構えて集客に勤しんでいます。またニュース記事の読まれ方を考えても、新聞や雑誌の発行部数の減少に対して、スマホやパソコンで読む人が増えているわけですから、新聞社や出版業界もWebライターと無縁なわけがありません。

Web業界ど真ん中ではない企業だとしても、特にWebライターを活用しているのは、小売系の企業や会社でしょう。場合によっては、商店のような中小・零細企業や個人事業主も該当します。昨今では、Amazonや楽天、yahoo! といったネットショッピングが盛んです。

下のグラフは『【2018年版】国内EC市場のEC化率|BtoCとBtoBをプロが徹底解説!』という記事から拝借しました。記事によると、2017年度のBtoCにおける国内EC市場規模は16兆5,054億円となり、前年比で9.1%の伸び率だそう。記事ではEC市場の伸び率が減退気味と語られていますが、それでも16.5兆円の規模があるわけです。

確かにECサイトは盛んなのですが、増えすぎたゆえの障害もあります。普通にECサイトを使っているだけでは、売上が見込めない状態にまでなりました。そこで小売店やメーカーは、自社商品・製品をより魅力的にみせるためのオウンドメディアを立ち上げます。他の商品よりも、いかに自分のところのアイテムが優れているかという情報を消費者に届けたいのです。またインターネット上に無数の店舗が存在し、同じような商品を販売しているため、どうにかして自社店舗(ネットショップ)に訪れてもらうために、チャネルの拡大と流入の最大化を目的としてWeb上にコンテンツをばらまいています。

Webライターの仕事の種類

Webライターがライティングの腕をふるう媒体については、オウンドメディアやECサイトの商品紹介を含む、インターネット上のあらゆるテキストと紹介しました。ここらでもう少し、Webライターが書く文章の種類を考えてみます。

Webライターの仕事1:ニュースサイト記事

ご存知Yahoo! ニュースGIGAZINE、テクノロジーニュースやガジェット情報のITmedia、生活に役立つ情報のライフハッカー[日本版]ギズモード・ジャパン、専門家による信頼できる情報のAll About、元祖面白メディアのデイリーポータル ZJ-CASTニュース、へんてこニュースが楽しめるロケットニュース24などなど、枚挙に遑がないですね。

Webライターの仕事で大きな割合をしめるのが、これらのニュースメディアへの記事提供です。

Webライターの仕事2:オウンドメディア記事

Webライターの仕事でかなりの比率を占めるのが、オウンドメディアでしょう。ただしオウンドメディアというものが非常に広義なので、まずはその語句をWikipediaさんに聞いてみます。

オウンドメディア(英: owned media )とは、自社発行の広報誌やパンフレット、インターネットの自社ウェブサイト・ブログなど、企業や組織自らが所有し、消費者に向けて発信する媒体を指す。「ペイドメディア(Paid Media)」「アーンドメディア(Earned Media)」と合わせて、企業マーケティングの核となる3つのメディアとして認識される媒体といえる。
引用:Wikipedia

『自らが保有する媒体』とでもくくっておけば良いでしょう。ついついオウンドメディアと聞くとWebサイトを想像しますが、実際にはオフラインのもの、紙媒体も自らが保有する媒体に違いありません。そういう意味では、数年前のオウンドメディアブーム到来よりもっと以前から、オウンドメディアの執筆はライターの仕事であったわけです。Webライターの仕事というくくりで考えると、Web上で公開されるオウンドメディアの執筆と定義しておきます。ただこの定義だと、先に挙げたWebニュースメデイアもオウンドメディアに該当するような……。つまり、そのくらい広義の意味を持っている言葉だとご理解ください。

Webライターの仕事3以降で紹介するものについては、オウンドメディアに掲載されるケースが多分に含まれます。便宜上の区別をしておきますが、正直なところこの分類はMECEではないことをご了承ください。

Webライターの仕事3:コラム記事

Webライターの仕事として、コラムの執筆も存在します。ところでコラムって、どのような執筆物を指すのかご存知ですか?

コラム:本来は縦列,また新聞・雑誌の欄を意味するが,一般的には,一定の枠によって囲まれた,署名または匿名による短評時評の欄をいう。『朝日新聞』の「天声人語」,『読売新聞』の「編集手帳」,『毎日新聞』の「余録」,『東京新聞』の「大波小波」などは新聞のコラムの代表的なもの。なお,こうした短評欄への執筆者をコラムニストという。
引用:コトバンク

Webライターがコラムを執筆した場合、それは『Webコラムニスト』と呼ぶのがふさわしいかもしれません。基本的にコラムとは、短評=短い批評のことと理解しておきましょう。ちなみに批評とは、『良い点も悪い点も踏まえた上で価値を決めること』をいいます。新聞のコラムでは、時事ネタに対して批評がなされていますね。タイムリーな話題に対して、長所と短所の両方をとらまえた上で意見を述べる短めの主張文章です。

紙媒体の時代では、埋め草=新聞や雑誌の空いたページや余白を埋める記事として、コラムが重宝されていました。短い文で完結するので、余ってしまったスペースに合わせた記事が重宝されたのです。Web媒体においては余白や空いたページという概念がありませんので、箸休めであったり、読み物として楽しんでもらう記事として利用されることが多い印象があります。ちなみに『連載コラム』なんてものがありますが、基本的には一話完結であることが条件かなというのが個人的見解です。

Webライターの仕事4:エッセイ記事

コラムがきたら、もうひとつ存在するWebライターの仕事として、エッセイを挙げておきたいところ。

エッセイ:思索や意見、感想などを形式にとらわれず、簡潔に述べた文学の一ジャンル。エッセイまたはエセーは日本語では一般に「随筆」の意味で用いられ、文学の一ジャンルとして確立している。英語のessayはフランス語の「試す、試みる」を意味する動詞essayerから発している。
引用:コトバンク

エッセイは日本語で、『随筆』と訳されるのが一般的ですね。清少納言の枕草子とか。エッセイにおいてもエッセイストなる言葉があるので、Webライターがエッセイを書いた場合は『Webエッセイスト』と呼ぶのが正しいかもしれません。

エッセイを依頼されるとしたら、その人が有名人であったり、何らかの理由で読み手を引きつける内容・人物である可能性が高いです。なぜなら一般的にエッセイとは、形式が決まっておらず自由に書きなぐれるから。内容は著者自身の体験だったり、思っていることを書く場合が多いです。体験ならまだしも、思っていることまで書けてしまうわけですから、単なる妄想やマスターベーション的な内容もOKになってしまいます。

コラムとエッセイの違いは、エッセイは体験を基に書くことで、コラムは根拠を基に書くこと。法律で定められたような厳密な決まりはないのですが、一般的には前述のように区別されています。まあどちらにしても、依頼されるとしたら、あなたの腕を買ってくれているということでしょう。あまり気負わずにありのままを表現したら良いんじゃないでしょうか。

Webライターの仕事5:インタビュー記事

記事の掲載先が紙媒体からWebに変わっても、依然として必要とされるのがインタビュー記事。著名人であったり、普通の人(でも聞くべき相手)にテーマに沿ったインタビューを実行し、記事へとまとめる仕事です。

オウンドメディア内にインタビュー記事を掲載するケースは多く、自社サービスの事例紹介としてインタビュー記事を活用する企業が増えている印象があります。この場合は著名人の必要はなく、社長であったり担当者であったりとマチマチ。読者にとって最適な人選こそが、インタビュー記事を成功させるポイント。雑誌などの媒体では、取り上げる人物のファンをターゲットとするため、当該人物が語っているだけでも一定の意味がありました。

Webメディアが跋扈してインタビュー記事が溢れている現代においては、『誰が語るか』よりも『何を語るか』の比重が高まったように感じます。特に一定以上の著名人であれば、インタビューを受ける機会が非常に多い。同じ話を聞いて記事にしても、「どこかで読んだことがある」と思われるのが関の山です。よってWebライターがインタビュー記事を書く場合は、まだ世に広まっていない人物を取り上げるか、(Webメディアによる)手垢のついた人物の場合は、他では語っていない内容を記事にすることが求められています。

Webライターの仕事6:体験レポート記事

Webライターに依頼される仕事のひとつとして、特におもしろ系メディア(なんだそれは)で量産されている体験レポート記事があります。体験レポートというからには、広告宣伝したい物事について、Webライターが実際に使ってみた一部始終を記事にするものです。おもしろ系メディアと書いたのは、SNSのフィードに登場するような、友人が「面白かった」とシェアされることで目にするケースが多いから。

『●●は本当にすごいのか体験してみた』のような記事がそれです。広告を出すだけでは、なかなか一般消費者がリアルを実感しにくい場合に用いられます。普通に使うだけでは引っ掛かりがないため、面白い使い方であったり、著名人を起用したり(その場合は著者が体験者じゃないケースも)、通常とは異なる環境や使用方法をレポートすることが多いです。

Webの世界で盛んにいわれている「バズる」という現象が起きやすいのが、異次元な体験レポート記事の特徴とも考えられます。商品やサービスを体験することで、読者に「おもしろそう」「美味しそう」「使ってみたい」と感じてもらうわけですから、広告記事といっても差し支えないでしょう。

Webライターの仕事7:イベントレポート記事

イベントレポートもWebライターの仕事に数えましょう。インターネット以前の時代から、イベントは数多く実施されていました。それでもWebの爆発的な発達によって、イベント内容をレポートするライティングの仕事はといえます。

有名なところでは、世界をログする書き起こしメディア『logmi(ログミー)』がそれ。ログミーとは、イベントに行きたかったけど参加できなかった人、動画でシェアされているけど閲覧している時間がもったいない人を対象に、イベントを書き起こして提供しています。テキストの優れた部分として、時間あたりに得られる情報量の豊富さがある。同じ1分間でも、動画では300文字分ほどの情報しか入ってきませんが、読むという行為の場合は500文字程度まで得られます。もちろん動画の場合は、どのような人が喋っているのか、どんな表情なのか、聴衆はどのくらいいて、どんなリアクションなのか、喋っている会場はどこで、どのくらい素敵な装飾がされているのか……などの情報を得られるのですが、スピーカーが1分間に喋る文字数としての比較です。

他にもイベント内容を書き起こした記事は多数あり、その存在はWebというお手軽な掲載先によって成り立っているといっても過言ではないでしょう。Web上で展開されるイベントの記事ですから、Webライターの出番です。会場に足を運んで書き起こしてもいいですし、後から音声だけをもらうケースもあります。お得な依頼だと、テープ起こしをしたテキストまで提供してもらうことも。

もっともログミーにしても他の媒体にしても、本当に書き起こし、「素起こししてケバやヒゲをとりました」程度で掲載されることは非常に少ないです。わたしが参加したイベントがログミーに掲載されていたときは、「おいおい、それはちょっとマズいんじゃないか?」という箇所は、やっぱりカットされていました。またわたしが主催したイベントにログミーが入ったときも、掲載前に記事の確認と修正、削除の依頼ができたものです。

よってWebライターがイベント記事を執筆する場合、単純な書き起こしではなく、要点を絞ったり理解を促す修正を加えたりと、編集およびライティングの技術が必要になります。

Webライターの仕事8:広告

紙媒体と同じように、Webの世界にも広告が存在します。ライトなものであれば、リスティング広告のテキストもそう。バナーにもテキストがありますし、WebサイトやWebメディアによっては、記事の真ん中、もしくは全面に広告を表示することもあります。

画面全部を覆ったり、みたいコンテンツの邪魔をする広告を『インタースティシャル広告』と呼びますが、あれもWebライターがお金をもらって文章作成をするステージです。もっともインタースティシャル広告は、Googleから嫌われており、コンテンツの価値を低いと判断するペナルティを与えることが発表されたため、今後は減ってくることが予想されます。

Webライターの仕事9:ランディングページ

広告と同じと考えることもできたのですが、あえて別にしてみました。どちらかというと、バナーなどの広告があって、その先にランディングページという、これまた広告扱いのクリエイティブが存在するからです。

ランディングページとは何かというと

ランディングページとは、「様々なネット広告やリンクをクリックした際に表示されるする、サイトを含むWEBページ全般」を指す言葉で、LP、ランペ、などとも呼ばれています。
引用:LISKUL

画像引用:Gyro-n

先述した通り、広告を踏んだ(クリックした)後に登場することの多い、商品なりサービスの詳細説明をしているWebページです。その多くは、マウスホイールをなんども回転させるくらい、縦に長いWeb画面です。まれにキャッチコピーと簡単な説明、そしてサービスの購入やユーザー登録を促すボタンや入力フォームだけというケースもありますが。ランディングページについても、広告のさらに踏み込んだ情報提供ページであり、Webライターが活躍する場所です。Webライターの仕事8の広告と、このランディングページを担当するWebライターのことを、『Webコピーライター』と表現しても良いのではと思います。

Webライターの仕事10:PR記事

これもある種の広告ですが、『記事広告』と呼ばれる書き物です。Webライターの世界、というかオウンドメディアをはじめとするWeb媒体の世界では、『ネイティブアド』と呼ばれることも多くあります。ネイティブアドとは

ネイティブアドとは「広告掲載面に広告を自然に溶け込ませることで、“ユーザーにコンテンツの一部として見てもらう”ことを目的とした広告」のことで、具体的な広告フォーマットを指すのではなく、いわば概念です。
引用:デジタルマーケティングラボ

概念だそうです。最近ではWebメディアの記事を読む際に、「これは●●●●というメデイアだな」と認識していることが少なくなりましたが、もしお気に入りのWebメディアがあるとして、媒体社の企画・編集によるオリジナル記事ではなく、スポンサーが付いている広告チックな記事を読んだことがありますよね? 上手なネイティブアドであれば、それが広告記事と気がつかないケースもあるのですが。

ネイティブアドとは、記事の冒頭やアイキャッチ画像に『PR』や『スポンサード』『ブランドパネル』などの表記がある記事です。掲載されているメディアの読者にとって、違和感のない形で「実は広告だった」記事が入り込んでいます。明らかな宣伝の場合がほとんどですが、読み物として面白かったり、求めている情報が得られるので、本来であれば嫌われ者である広告が行為的に受け取ってもらえる手法です。

PR記事は、単純な広告やLPとは違い、長文であったりインタビューであったり体験記であったり著名人が登場したり、読み物として完結していることが特徴だといえます。

Webライターの仕事11:企業サイト記事

冒頭のほうで昔からあるWebライターの仕事として紹介した、企業ホームページの文章も挙げておきます。オウンドメディアも企業サイトであると考えられますが、ここでは会社ホームページ(オフィシャルサイト)や採用ページ(リクルーティングサイト)に限定しましょう。

それぞれコンテンツは企業(というか企画者)が趣向を凝らしており、一定のフォーマットはあるものの、独自なページが用意されています。わたし自身もWebの仕事では、もっとも多く依頼いただくのがリクルーティング系のページ作成です。社長のインタビューや社員のインタビューがあったり、座談会を記事にしたり、会社の凄さを見せつけるためのデータやグラフや表を用いたり、ときには動画を差し込んだりもします。

Webライターの仕事12:SEO記事

SEO記事という名称がなんともトホホではありますが、Webライターの一番引き合いが多い記事がこれでしょう。マーケティングの一環として避けては通れなくなった、Googleをはじめとする検索エンジンからの顧客・見込み顧客の流入を目的としたページが大量生産されています。

自社の商品やサービスを知ってもらうために、あらゆる検索ワードに対応した記事を用意するため、1記事、10記事という単位ではなく、数10記事から100記事を必要としているのです。多いところでは数100から1,000記事以上を掲載しているSEO目的のWebサイトもあります。

とにかく大量のコンテンツが必要なため、一人のライターに依頼するには重たすぎる。そこで発注者は複数のライターに依頼したり、SEO記事生産を専門で請け負う業者に依頼します。専門業社においても、結局はWebライターに依頼を丸投げするため、搾取されただけの記事執筆が回ってくる構図です。

とSEO業者を悪く書いてしまいましたが、まともな専門業社であれば、イチWebライターではなし得ないSEO効果を上げるためのノウハウを持っています。どのようなキーワードが最適か、キーワードのバランスはどうか、共起語は含まれているか、Webサイトの設計は最適か……といったコンテンツ制作以外の知見をふるって、Webライターにライティング部分だけを発注しているのです。

Webライターの仕事おまけ:メールマガジン・資料作成・アフィリエイトサイト・SNS文章

冒頭で述べましたが、メールマガジンや資料作成においても、Webライターとは必要にされています。実際のところ資料作成は、Webライターの仕事かと詰問されると、すぐに「ごめんなさい」と言ってしまうのですが。メールマガジンについては確実にニーズがあります。先だって紹介したECサイトおよびその店舗にとっては、いまだにメールマーケティングが欠かせない手法です。

店舗やモールによっては、毎日数十通のメルマガを送ることも珍しくありません。とはいえ店舗やECサイト運営者は、メルマガ作成が本業ではないため、Webライターに外注しているのです。メルマガというと軽く思えますが、送り主にとっては広告です。文章の専門家に依頼したいと考えるのは自然なこと。ここにもWebライターへのニーズがあるわけです。

そしてアフィリエイトサイトを運営している企業および個人にとっても、Webライターは欠かすことのできないパートナーです。個人のアフィリエイターであれば、記事制作ご外注することは少ないかもしれません。それでも一定以上の収益が上がってくると、文章作成とは別の仕事に乗り出しがち。キャッシュカウとなったアフィリエイトサイトを維持するためにも、記事作成はWebライターに発注するようになります。

もっともアフィリエイトサイトということは、多くの人を流入させて紹介している商品を買わせる・サービスに登録させる必要があります。流入という観点でみると、『Webライターの仕事12:SEO記事』と同じ文章作成が求められているといえるわけです。

オウンドメメディアを活用したコンテンツマーケティングに取り組む企業、Web系の企業、そして老舗企業までもが、最近ではSNSアカウントを運用しています。企業公式のアカウントを取得し、ファンやフォロワーを増やすことに挑戦しています。企業がツイートや投稿をする文章は、誰が作成しているのでしょうか。各社の広報部や宣伝部の社員がライティングすることがありますが、同じくらい(根拠はありません)外注を活用している企業もあります。

SNSオフィシャルアカウントでの発信を、外注のライターに依頼しているのです。この場合はWebSNSライター? SNS自体でWebに決まっているので、SNSライターと呼んでも間違いではなさそうですね。とにもかくにも、SNS文章を作成する仕事も、Webライターの活躍ステージとなっています。

Webライターに必要なスキルとは

Webライターとは、どんな仕事をする職業なのかが理解いただけたでしょうか。続いて紹介するのは、Webライターに必要なスキルについてです。従来のライターと比較して、Webライターだからこそ必要なスキルがあります。

Webライターにしても紙媒体のライターにしても、仕事の内容は文章を書くこと。必要なスキルのベースは相違がありません。文章力、日本語力、情報収集力、編集力、コミュニケーション力……ライターとして当たり前のスキルですね。

ではWebライターならではのスキルとは何でしょうか。すばり、Webライターの仕事12で紹介した、SEOの知識と適切な文章を作成するスキルです。紙媒体の場合を想像してみてください。新聞にしろ雑誌にしろ記事を読む人は、その媒体に興味や関心があって、自らの意思で手に取ってページをめくります。基本的には、『読んでもらえる記事』であるといえます。媒体を手に入れてもらったあとは、コンテンツによる満足度を上げることに注力すればいい。

ところがWebライターの書く記事となると、そもそもたどり着いてもらうのが難しい現状があります。無数のコンテンツが(しかもそのほとんどが無料で)存在するわけですし、先述したように『自分はこのメディアを見ている』という認識がない読者も大勢いると考えましょう。なぜなら、SNSで知り合いがシェアした記事を目にしたり、検索エンジンを利用して『疑問の解決』のために、たまたまたどり着いた記事ページでしかないのです。

『いかにして記事にたどり着いてもらうか』が解決するべき課題となっているため、その手段となりうるSEOはトップクラスの重要度を誇ります。記事の依頼主としても、道楽や税金対策でもない限り、お金を払ってつくらせる記事ですから、一人でも多くの読者を集めたいと思うのが人情。読んでもらえない記事、見つけてもらえないコンテンツはゴミに等しいわけです。手垢のついた言い方をするなら、金をドブに捨てるのと同じ。

わたし個人としては、良質なコンテンツをつくりたい一心でライターをしています。ですから「SEO対策なんてしゃらくせぇ!」と暴言を吐きたくなることもあるんです。ただ同時に、自分のつくった記事を多くの人に届けたいし、「喜んでもらったり笑ってもらったり、悩みを解決したり、少しでも前向きになって欲しい」とも思ってしまう。だからこそ、Webライターとして記事を書くことになったら(記事がWebに掲載されるのなら)、SEO対策についても意識せざるを得ないですし、それが自分自身のためになると思って我慢しています。現場からは以上です。

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